第四回、災害(11月2日)
(地球温暖化が日本の災害被害を拡大)
日本は災害列島である。噴火や大地震、大津波、台風や竜巻、水害など、歴史的にみてももともと多い国だが、地球温暖化による異常気象はさらにそれらがやってくるスピードを早め、力を増幅させながら日本列島を襲い破壊尽くすような勢いに変えている。今や日本列島は亜熱帯のような気候になり、春と秋がほぼなくなり、40度近い異常高温による熱中症による死者増加、異常降雨による道路の冠水、土砂崩れなどがほぼ毎年、当たり前のように発生する状態になっている。...
全部読む
(地球温暖化が日本の災害被害を拡大)
日本は災害列島である。噴火や大地震、大津波、台風や竜巻、水害など、歴史的にみてももともと多い国だが、地球温暖化による異常気象はさらにそれらがやってくるスピードを早め、力を増幅させながら日本列島を襲い破壊尽くすような勢いに変えている。今や日本列島は亜熱帯のような気候になり、春と秋がほぼなくなり、40度近い異常高温による熱中症による死者増加、異常降雨による道路の冠水、土砂崩れなどがほぼ毎年、当たり前のように発生する状態になっている。日本列島は台風の通り道と化しており、毎年大型の台風が来るような流れになっている。その被害は年を追うごとに酷くなっている。台風15号、台風19号による農作物被害額は1800億円を軽く超え、このまま同じ規模かそれ以上の台風が毎年来続ければ、日本は農作業が困難な国になるかもしれない。台風による被害は大規模化してきており、人員不足も手伝って電線や上下水道などのインフラの修復作業が終わらないうちに次の台風が来てしまい修復作業も行えないという状況も生まれている。加えて多くの原子力発電所を抱える日本は自然災害や人為的なテロなどによる原発リスクの懸念もある。
(災害対応省の立ち上げが急務)
日本は東京、大阪、名古屋など首都圏に国の重要な機関や機能が集中しているために首都圏直下型大地震、南海トラフ大地震のどれかひとつだけでも起きてしまえば国として機能が低下する可能性がある。台風と地震が一度に来てしまえばこの流れは決定的になる。国民性と言ってしまえばそれまでだが、日本人はどこかでこうした災害の脅威をどこか他人ごとのように考えているのではないかという気がしてならない。つまり、東日本大震災や福島原発事故など、どんな強い地震や津波それに伴う放射能事故、台風を経験してもそれを経験として生かすことができない。時間が経てばそうした経験はリセットされてしまい、実際に起きるまでは起きないと考えている。ハザ-ドマップが作ってあったとしてもまともに具体的対策は考えない。台風で窓ガラスが粉々に吹っ飛ばされても、またその同じ場所に同じようなガラスをはめこむというような効率の悪い作業を繰り返している。浸水エリアに高額な鉄道車両の車庫を置いていたり、全てがいきあたりばったりで何も考えているようには思えない。こんなことを繰り返しているようであればいずれ日本は立ち行かなくなるに相違ない。日本がまず行うべきは米国のFEMAより強力な災害対応省を立ち上げるべきである。
閉じる
第三回、少子高齢化(10月30日)
(少子高齢化を放置すれば日本は存続の危機に立たされる)
日本では盛んに少子高齢化が喧伝されている。日本の現在の人口は1億2653万人であり、意外に思うかもしれないが、世界第11位の人口規模を誇り、先進国ではトップクラスの人口である。ただしそれは今だけの話で、40年後には日本の人口は9000万人を下回り、100年以内には5000万人を切るという国立社会保障人口問題研究所による驚くべき試算結果が発表されている。...
全部読む
(少子高齢化を放置すれば日本は存続の危機に立たされる)
日本では盛んに少子高齢化が喧伝されている。日本の現在の人口は1億2653万人であり、意外に思うかもしれないが、世界第11位の人口規模を誇り、先進国ではトップクラスの人口である。ただしそれは今だけの話で、40年後には日本の人口は9000万人を下回り、100年以内には5000万人を切るという国立社会保障人口問題研究所による驚くべき試算結果が発表されている。少子化に関していえばこれまでの少子化によって女性の絶対数が足りなくなってしまっているため、簡単に解決することはできない。高齢化に伴う社会保障費の増大が、現役世代を追い込んでいる。2012年には1人の高齢者を2.4人の現役世代で支えてきたが、2050人にはほぼ1人で1人の高齢者を支えることになる。日本のように急激に人口が減る国家は世界史ではかって例がなく、この状況を放置しておけば、日本は国として機能しなくなる。少子高齢化は日本が直面している最大の問題である。
(少子高齢化に処方箋はあるのか?)
AIやロボットを援用したり、外国人労働者の雇用によって一時的な労働力不足は凌げるかもしれないが、構造的な解決とはならない。最も重要なのは生産性を上げ、1人あたりの国内総生産を伸ばしていくことだが、世界的な低成長時代にこれと言って決定打がない日本にそれが達成できるのかどうかは疑問である。かと言って少子高齢化になっていく状況を指をくわえて見ているわけにもいかない。日本としてはできる所から手を打ち、少しでもましな方向に状況を改善していくしかない。本質的な解決ではないが、そもそも高齢者の定義というものが実情に合わないということもあるので、その定義を変えてしまうことも考えられる。高齢者を65歳から80歳にすると、高齢者の数が減るという考え方はどうだろうか。今後、少子高齢化社会の中で生み出される、日本のノウハウをそのままサービスに転用するぐらいの戦略をもってこの先ありとあらゆる知見を総動員して取り組んでいかなくてはならない局面を迎えている。
閉じる
第二回、技術開発 (10月29日)
日本は多くのノーベル賞受賞者を輩出し、ソニーのウォークマンなどのような優れた様々な製品を開発し、これまで世界を驚愕させてきた。またJAXAに代表されるような宇宙研究開発分野やiPS細胞などの医療分野、省エネ・環境技術など日本の技術開発で期待されている分野も多くあるが、その一方で日本の基礎研究者の層の薄さやベンチャー企業が育っていないことなどが将来の不安要素として指摘されている。例えばIT業界に革命をもたらすといわれている量子コンピューターを例にとると、量子コンピューター関連技術に投じるための日本の年間予算は欧米や中国に比べて一桁少ないと言われている。...
全部読む
日本は多くのノーベル賞受賞者を輩出し、ソニーのウォークマンなどのような優れた様々な製品を開発し、これまで世界を驚愕させてきた。またJAXAに代表されるような宇宙研究開発分野やiPS細胞などの医療分野、省エネ・環境技術など日本の技術開発で期待されている分野も多くあるが、その一方で日本の基礎研究者の層の薄さやベンチャー企業が育っていないことなどが将来の不安要素として指摘されている。例えばIT業界に革命をもたらすといわれている量子コンピューターを例にとると、量子コンピューター関連技術に投じるための日本の年間予算は欧米や中国に比べて一桁少ないと言われている。米国政府は約220億円、中国は140億円、EUは130億円なのに対し日本は45億円しかない。このままでは開発のスピードに大差が出てしまうだろう。一部の研究者は「日本の先端技術研究は風前の灯火であり、もはやガラパゴスすら作れない状況にある」と嘆いているが、日本の潜在力を考えれば今ならまだ間に合う。QS世界大学ランキングで東大が日本の大学としては過去最高の22位にランクインしたように日本の研究開発もまだまだ挽回の余地はある。日本の研究・開発への懸命な努力と奮起を期待したい。
閉じる
第一回、安全保障(10月28日)
日本が第二次大戦後、経済のみにその力を集中できていたのは日米同盟によって米国が安全保障を担ってくれていた側面が非常に大きい。世界最強の軍事国家・米国の核の傘の下に守られ、且つ米軍基地が日本にあるため、他国もうかつに日本に手出しができない状況が続いていた。だが、トランプ大統領就任を機にその米国の態度が変容しつつある。安倍総理とトランプ大統領は表面的には蜜月状態を演じ、日米関係はこれまでになく良い関係のように見えるが、近い将来に日米関係は今までのようにはいかなくなるかもしれない。...
全部読む
日本が第二次大戦後、経済のみにその力を集中できていたのは日米同盟によって米国が安全保障を担ってくれていた側面が非常に大きい。世界最強の軍事国家・米国の核の傘の下に守られ、且つ米軍基地が日本にあるため、他国もうかつに日本に手出しができない状況が続いていた。だが、トランプ大統領就任を機にその米国の態度が変容しつつある。安倍総理とトランプ大統領は表面的には蜜月状態を演じ、日米関係はこれまでになく良い関係のように見えるが、近い将来に日米関係は今までのようにはいかなくなるかもしれない。2019年6月、トランプ大統領は「日本は安全保障にただ乗りしている」と声高に叫び、「日本が攻撃されれば米国は日本を守るが、米国が攻撃されても日本は米国を守らない。日本人はそれをソニーのテレビで見ているだけだ」と痛烈に日本を皮肉り、日本人を驚愕させたことは記憶に新しい。これがトランプ大統領の本音であり、現在、日本は多額の米軍駐留経費を負担しているが、トランプ大統領はそれ以上の負担を目論んでおりそれを言うタイミングを見計らっているようにみえる。トランプ大統領が2020年の大統領選で再選した場合、安倍総理の任期よりも長くなるが、ポスト安倍総理が登場した段階がそれを言い出すタイミングなのかもしれない。後ろ盾となっているはずの日米同盟がギクシャクし足元をみられ始めた場合、中国・ロシア・北朝鮮が黙ってそれを見ているということは考えられない。より具体的に言えばこれまで以上に領海侵犯、領空侵犯が増え、日本近海の海や空で合同軍事演習という名の威嚇をしてくることが考えられる。北朝鮮は年内の米朝対話が不調に終わった場合、短距離、準中距離ミサイル、SLBM実験、場合によっては核実験も再開する可能性もある。韓国も日本との調整がうまくいかず11月23日のGSOMIA失効を迎えた場合には日本の潜在的敵国に転じることすら考えられる。
中国・ロシア・北朝鮮に不測の行動をとらせないためにも、日本は米国から効果的に武器を購入し自分の身は自分で守るようにすべきである。その際、注意すべきことは米国から高値で武器を買わされたり、意味のない武器や時代遅れの武器を買わされないためにも武器相場に精通してゆき、効果的な戦略構想を考える必要がある。今、日本は自分の身を守るために何ができるかを真剣に考え、議論してゆく必要性が生じてきたのではないか。
閉じる
日本の課題
日本は1990年代初頭にバブルが弾けるまで、モノづくりに秀でている経済強国として右肩上がりの経済発展を遂げてきた。その後、失われた20年といわれるデフレ期を経て現在に至るが、アベノミクスや日銀の異次元の金融緩和の効力も薄れつつある今、日本の前途に暗雲が漂っている。そのことは国民も漠然と感じているに違いない。その暗雲の正体を安全保障、技術開発、少子高齢化、災害列島、外交という5つの分野に分けて分析していきたい。
「日本の課題」内の検索