日本の課題(12月30日)
(AIを制するものが次世代を制する)
これからの時代はIoTからインプットされたビッグデータをAIが判断し、アウトプットし、さらにディープラーニングさせ進化を遂げていくというのが当たり前の流れになる。自動運運転、監視カメラ、ランゲージトランスレーションの分野、特に医療や介護現場の現場ではAIはなくてはならない技術になりつつある。本格的にAIが定着するのは20年から30年ぐらい先の話になるが、AIを制するものが次の時代を制すると言っても言い過ぎではない。...
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(AIを制するものが次世代を制する)
これからの時代はIoTからインプットされたビッグデータをAIが判断し、アウトプットし、さらにディープラーニングさせ進化を遂げていくというのが当たり前の流れになる。自動運運転、監視カメラ、ランゲージトランスレーションの分野、特に医療や介護現場の現場ではAIはなくてはならない技術になりつつある。本格的にAIが定着するのは20年から30年ぐらい先の話になるが、AIを制するものが次の時代を制すると言っても言い過ぎではない。今は中国米国がこの流れをけん引している。
(AI分野におけるお寒い日本の現状)
日本はAI分野にて米中に圧倒的な遅れをとっている。2017年、世界のAIスタートアップの調達額1兆4278億円のうち、8300億円を米国企業が占め、さらに5900億円を中国企業が占めている。日本企業の調達総額はわずか17億円に過ぎず、けた違いに小さい。
(資金XビッグデータX国際イベントでAI精度高める中国)
中国の場合、13億人の人民経由のビッグデータを使い、より精度の高いAIにしていくことが可能であり、これによって投下した資金にさらなるリバレッジをかけることができる。つまり民主主義、人権の縛りがある米国よりも早く精度の高いAIを完成させることができる可能性が大きい。ここを米国は危惧しビッグデータなしにAIを進化させる仕組みも試行錯誤している模様だ。中国は、五輪などの国際イベントも援用し、テロなどを未然に防ぐことなどを大義名分にして世界各国からの来場者のビッグデータも堂々と流用する可能性もないとはいえない。すでに中国は2017年に「次世代AI発展計画」を発表し2030年までにAI市場を160兆円規模にまで拡大させる計画を発表している。この計画に参画するのは自動運転分野のバイドゥ、スマートシティやeコマースのアリババ、健康医療のテンセント、音声認識分野のアイフライテック、顔認識分野のセンスタイムなどで、これら企業の頭文字をとりBATISと言われている。BATISはそれぞれ得意分野に集中し特許を出願している。ただしアリババは高度顔認識技術を持つメグビーだけでなくセンスタイムにも出資するなど顔認識技術に強い関心を示している。センスタイムの顔認証技術は中国公安省も活用しているというから政治的に不安な要素もある。
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変貌する産業構造(12月28日)
これまで日本は、モノづくりにおいて世界市場で高く評価され、そのブランド力を維持してきた。今でもまだ高付加価値をのせたモノづくりでなんとかやっていけると見立てる人も多いが、時代のニーズは「モノ作り」から「インテグレーテッドサービスの展開」へと移行している。この流れを無視したまま日本の成長戦略を立てることは困難である。つまり消費者が求める価値が「モノの所有」から「機能の利用」や「価値の体験」すべてがインテグレーテッドされたサービスへと移行している。...
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これまで日本は、モノづくりにおいて世界市場で高く評価され、そのブランド力を維持してきた。今でもまだ高付加価値をのせたモノづくりでなんとかやっていけると見立てる人も多いが、時代のニーズは「モノ作り」から「インテグレーテッドサービスの展開」へと移行している。この流れを無視したまま日本の成長戦略を立てることは困難である。つまり消費者が求める価値が「モノの所有」から「機能の利用」や「価値の体験」すべてがインテグレーテッドされたサービスへと移行している。日本は今後、モノ作りを売り物にするだけでなく、インテグレーテッドサービスの展開を目指す方向に動いている。交通・宿泊・食事・医療・(カジノ含む)アミューズメント・スポーツ・文化遺産を一体となってパッケージで体験してもらうのがインテグレーテッドサービスである。例えばモノの販売のみならず、そのモノを活用・応用したサービスを事業として展開できるか、そのバリエーションをどの程度の規模で展開できるかに今後の日本の将来がかかっている。
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スウェーデン中銀マイナス金利の打ち切りを決定(12月21日)
(米中貿易戦争の部分合意で緩和した世界経済の不透明感)
米国・トランプ大統領と中国の習近平国家主席が20日、電話で会談した。習主席は米中の貿易交渉が第一段階の合意に達したことについて「世界の平和と繁栄にとってプラスだ」と述べ、評価した。トランプ大統領もツイッターに「とても良い話をした」と投稿し、来月予定の正式署名に向け今回の合意を互いに評価し合った。ただ習主席は米国議会で「香港人権法」が成立したことや、議会下院で「ウイグル人権法案」が可決したことに対し注文をつけ「米国が内政干渉するべきではない」と重大な懸念をし、米中間の基本的な溝は埋まっていないため、来月、署名に持ち込めるかどうかについては予断を許さない。...
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(米中貿易戦争の部分合意で緩和した世界経済の不透明感)
米国・トランプ大統領と中国の習近平国家主席が20日、電話で会談した。習主席は米中の貿易交渉が第一段階の合意に達したことについて「世界の平和と繁栄にとってプラスだ」と述べ、評価した。トランプ大統領もツイッターに「とても良い話をした」と投稿し、来月予定の正式署名に向け今回の合意を互いに評価し合った。ただ習主席は米国議会で「香港人権法」が成立したことや、議会下院で「ウイグル人権法案」が可決したことに対し注文をつけ「米国が内政干渉するべきではない」と重大な懸念をし、米中間の基本的な溝は埋まっていないため、来月、署名に持ち込めるかどうかについては予断を許さない。
(スウェーデン中銀マイナス金利の打ち切りを決定)
世界経済の不透明感が緩和されたことを受けて、スウェーデン中銀はマイナス金利の打ち切りを決定した。5年にわたるマイナス金利によって疲弊した銀行の余波は一般消費者にも及び、年金運用にも負の影響を及ぼし始めていたが、世界に先駆けてマイナス金利から脱却した。スウェーデン中銀・イングベス総裁は「マイナス金利は一時的な措置として導入されたものである」とした上で、「そもそも景気減速の兆候よりもマイナス金利の悪影響を懸念している」との考えを示した。今回のスウェーデン中銀の決定はマイナス金利を同じく採用する世界の他の中銀にとってもテストケースとなりえるものである。
(黒田日銀総裁・海外経済のリスクは全体的に高い水準)
マイナス金利を採用している日銀がどのような行動に出るのかに世界の注目が集まっているが、黒田日銀総裁は依然として「海外経済のリスクは全体的に高い水準で緩和方向維持が妥当である」との見方を示し、マイナス金利の手綱を緩める気配を見せていない。マイナス金利政策実行の結果、優秀な人材が銀行を離れ、外資系企業や外部の世界に流出しているといわれている。その結果、金融機関の体力は低下し、従来の銀行が手を出さないようなリスク商品にも手を出すようになった。よく知られるところではスルガ銀行による無謀な不動産融資がある。大手銀行も類に漏れず「レバレッジド・ローン」などの信用格付けが低い企業向け融資を積極的に拡大している。2008年のリーマンショックは信用度の低い消費者に向けたサブプライムローンが引き金を引いたことで知られているが、同じような状況が再度生じないよう細心の注意が必要になってきている。
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日本が直面する課題(12月18日)
(日本は今後も、大丈夫なのか)
日本の株価は表面的には悪くはないが、その実体は日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって買い支えられている。そういう意味では日本の実力を表しているものとはいいがたい。日本のGDPもこのところ、わずかプラス1.7%とほぼ横ばいで推移している。成長しているのか、いないのかよくわからない次元にとどまっている。来年度予算案を見てみると一般会計の総額が102兆円を超えとなり過去最大となる見通しになっている。...
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(日本は今後も、大丈夫なのか)
日本の株価は表面的には悪くはないが、その実体は日銀と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって買い支えられている。そういう意味では日本の実力を表しているものとはいいがたい。日本のGDPもこのところ、わずかプラス1.7%とほぼ横ばいで推移している。成長しているのか、いないのかよくわからない次元にとどまっている。来年度予算案を見てみると一般会計の総額が102兆円を超えとなり過去最大となる見通しになっている。医療や年金などの社会保障費が増加し、幼児教育と保育の無償化費用が来年度は年間を通して必要となるため、今後、予算規模はさらに膨らむ可能性がある。加えて北東アジア情勢を取り巻く安全保障リスクの高まりを受けて、防衛費の増大や台風や地震などの自然災害対策費用も今後うなぎのぼりになっていく可能性があることも踏まえると暗澹たる思いにとらわれる。日本の借金は現段階で約1103兆3543億円あり、これは国民1人あたり871万円の借金を抱えている計算になる。今後どこまで歳出を抑制できるかが日本存続の鍵となる。
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第五回、外交(11月12日)
30年前、ベルリンの壁が崩壊した時、世界は「自由・民主主義・グローバル化」という理想的世界に向けて良い方向に向かうかのように思われた。だが、協調性やルールが重んじられてきた国際社会はトランプ大統領の登場を期に様変わりした。周りを見渡せば米国・トランプ大統領、中国・習近平国家主席、ロシア・プーチン大統領、英国・ジョンソン首相、トルコ・エルドアン大統領、ハンガリー・オルバン首相、シリア・アサド大統領など、いずれも強権的な指導者が目立っている。...
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30年前、ベルリンの壁が崩壊した時、世界は「自由・民主主義・グローバル化」という理想的世界に向けて良い方向に向かうかのように思われた。だが、協調性やルールが重んじられてきた国際社会はトランプ大統領の登場を期に様変わりした。周りを見渡せば米国・トランプ大統領、中国・習近平国家主席、ロシア・プーチン大統領、英国・ジョンソン首相、トルコ・エルドアン大統領、ハンガリー・オルバン首相、シリア・アサド大統領など、いずれも強権的な指導者が目立っている。世界では局地的な紛争、暴動、テロが多発しているが、米国は世界の警察官をやめたと宣言してはばからない。多くの理想を掲げ、ルールを作ってきたてきたEUでさえもかつての勢いを失っている。国際社会の最後の砦ともいうべき国連も機能不全に陥っており、北朝鮮がミサイル実験を頻繁に行うことができるような恐るべき状況になっている。こうした中で憲法の制約がある日本が生き延びていくためにはこれまでになかったほど慎重で知恵のある外交が求められている。
まず、言えることは「資本主義」「民主主義」と同じ価値観を有する同盟国・米国とはこれまで通りうまくやっていかなければならないということである。不確定要素のあるトランプ大統領が日本に対しいろいろと要求を突き付けてくることは覚悟しておくべきである。例えば今後もあらゆる局面において安全保障や貿易で問題を突き付けてくる場面も考えられよう。さらに言えば米国が、日本にとっては納得がいかない合意を北朝鮮との間で結んでしまう可能性もある。米国が覇権争いで中国と対峙している間、日本は米国にとってはなくてはならない同志となる。こうしたことを念頭に入れ、時に納得いかないトランプ大統領の要請を、うまくかわしながら独自外交を展開し、日本は独自のポジションを構築していくべきである。更に言えばこれを外交上のカードにしていくようなことが必要とされている。
次に中国との外交であるが、隣国であり、今や米国を抜いて日本の一番の貿易輸出国である中国と日本は今後もうまくやっていく必要がある。今、中国は米中貿易戦争で疲弊した状況にあり、日本に急接近している。来春、安倍政権は習近平国家主席を国賓として招致する方向で話を進めている。日本はこの外交的なチャンスを最大限に活用していくべきである。また一方で日本は自由主義・民主主義国家の一員として中国に対し人権問題や表現の自由の問題でいうべきことは言わなければいけない立場にあるが、慎重な言い回しにした方がいいかもしれない。中国は「国家の主権」や「民族の尊厳」「香港・台湾」などに関わることについてはヒステリックなほどにこだわり、反応する一方で、「人権」「言論の自由」への言及についてはタブーである。中国の問題を理解し、現実的につきあっていくことができれば本質的な問題は残るが、実利的な外交は可能である。
米中以外に今の日本にとって重要なのが、環境問題にも積極的であり、民主主義・資本主義といった日本と同一の価値観を有し、懸案事項を抱えていないEUである。日本は日欧EPAのように今後、安全保障分野などいくつかの分野で手を結ぶことができるかもしれない。EUとうまくつきあっていくことは外交上肝要である。
一方、日本の外交においてミサイル実験を頻繁に行っている北朝鮮の存在および韓国との関係がうまくいっていないことが気がかりな要素として挙げられる。11月23日にも日韓GSOMIAが失効しかねない段階にまできている。米国がGSOMIAを失効させないよう必死の説得工作を続けているが、もし失効すれば日米韓で北朝鮮に対峙してきた安全保障のスクラムが失われることになり、やがて、核を持つ北朝鮮と韓国の緩やかな連合体に発展する可能性も出てくる。
ロシアに関して言えば、北方領土交渉はロシアの世論を考えれば今の段階ではこれ以上進みそうもないようにみえる。ただし、安倍首相とプーチン大統領の関係は悪くないし、ロシアの北極海航路開発などに協力しホルムズ海峡ルート以外のルートを確保しておくことも日本にとっては重要なことである。是々非々の外交がロシアには有効であると思われる。適度な距離を置きつつも現在の関係を続けていく必要がある
その他の国々に関しても触れておきたい。トルコ、イラン、中東湾岸諸国と日本は伝統的に良い関係を持っており、このエリアに石油を依存している日本にとって中東は切っても切れない関係にある。この関係は維持するべきである。例えば世界の中でイランと対話できる立場なのは日本だけであるという特殊なポジションは重要なことのひとつである。最後にASEAN諸国、インド、オーストラリアなどTPPやRCEPで関わるこれらの国々とも日本はこれまで通りよい関係を構築していくべきなのは言うまでもない。以上、一筋縄ではいかない外交を多面的に工夫をして、展開していく覚悟と戦略が大切だと考える。
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