能登半島地震1か月・限界の被災地・浮かぶ日本の“脆弱性”(2/4放送)
能登半島地震から1か月。自治体の職員は元日から住民の避難先や食事の手配など、不眠不休で対応を続けている。甚大な被害を前に先が見通せない被災地。日本社会が抱える構造的な脆弱性が早期の復旧を困難にしていることが明らかになってきた。
自治体職員の減少が続くこの国を襲った今回の地震。能登町では1か月が経った今もなお、約900人が避難所で生活。多くの人が在宅避難を余儀なくされている。こうした被災者を発災直後から支援してきた役場の職員たちは、自からも被災した人が多く、疲労がピークに向かいつつある。...
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能登半島地震から1か月。自治体の職員は元日から住民の避難先や食事の手配など、不眠不休で対応を続けている。甚大な被害を前に先が見通せない被災地。日本社会が抱える構造的な脆弱性が早期の復旧を困難にしていることが明らかになってきた。
自治体職員の減少が続くこの国を襲った今回の地震。能登町では1か月が経った今もなお、約900人が避難所で生活。多くの人が在宅避難を余儀なくされている。こうした被災者を発災直後から支援してきた役場の職員たちは、自からも被災した人が多く、疲労がピークに向かいつつある。
ふるさと振興課・小川勝則担当課長は従来からの業務に加え、避難所で暮らす被災者たちの支援も行っている。国の担当者に避難先で使う生活必需品の手配を依頼、休む間もなく仮設住宅の建設を進める会議にも参加。複数の業務を一手に引き受けている。小川さんは「仲間の人たちにすごく助けられて、やってこれている。助けてくれたものは精一杯やりたい。その仲間たちがそれぞれに自分のやれることを寝ずにやってくれている」とつらい胸の内を語った。
珠洲市が今、直面している大きな課題の一つが仮設住宅の建設。2年前に更新された計画では建設予定地は28か所あったが、想定を上回る規模の地震でその半数以上が被災し、新たに10か所以上の土地を探す必要に迫られた。
工事の現場でも東日本大震災や熊本地震を経験したエキスパートが駆けつけているが、過去の経験が通用しないような事態が起こっていた。甚大な家屋の被害を受けた珠洲市周辺では作業員が宿泊できる場所が確保できないのである。
宿泊拠点は最も遠い場合、渋滞すると片道4時間程度かかり、往復の時間を考慮すると1日僅か5時間程しか作業に当たれないことになる。
今回は過去の地震と比べても復旧に時間がかかっている。重要な生活インフラである水道は今回1か月が経った今月1日時点での復旧は6割程だが、同じ1か月が経った時点で東日本大震災では8割が復旧、熊本地震の時はほぼ全戸復旧していた。自治体の職員が懸命に対応し、全国から多くの応援も入っているが、復旧復興に向けた動きは十分に進んでいない。
地震の激しい揺れにより、水道管が抜けたり折れたりした箇所が想像以上に多く発生しているために復旧が遅れている。要因の1つが交通アクセスの悪さ。さらに水道管の耐震対策が進んでいなかったことも被害を大きくしたと指摘されている。断水を少しでも早く解消するため、復旧支援チームは既存の水道管の調査や修復を後回しにし、代わりに新たな水道管を通常よりも浅い部分に設置し、最短距離で工事することで時間の短縮を図る新たな試みを始めている。
インフラ復旧の基盤となる道路に関しては、能登半島の主要な幹線道路の9割で緊急の復旧が終わったとされているが、奥能登の動脈となってきた国道249号線の寸断がいまだに続いているなど、復旧が手付かずの道路も数多く残されているのが現状。その復旧を担っている多くが自からも被災した人たちである。
大阪公立大学大学院・菅野拓准教授は「通常、1か月というとそろそろ復興計画のことを考え、復興に向けたフェーズに移り変わっていくところだが、今回、被災地がかなり広い範囲で、さまざま地域差も出ている。珠洲や輪島はなかなか緊急のフェーズを抜けられない状況が続いている」と指摘、その要因として「県や政府の現地対策本部が置かれた金沢だとわりと平時の生活ができてしまうような状況があり、危機意識が持てなかったことが初動の一部の遅れを生んでしまったのではないか」と推察した。
今回の地震が突きつけたもうひとつの構造的な課題は高齢化が進んだ地域が被災地になった時の対応の難しさである。今回、甚大な被害があった能登半島北部では高齢化率が珠洲市で52%に上るなど、全国の水準を大きく上回っている。こうした地域の高齢者を長期的にどう支えていけばいいのか、2次避難を巡る難しさも浮き彫りになっている。地域の在宅介護を下支えしてきた珠洲市のデイサービスではほとんどの事業者が今も再開できていない。1か月が過ぎ、高齢者介護の現場でも疲労はピークに近づいている。
避難生活の長期化で懸念されるのが高齢者の健康状態の悪化。詳しい検査ができないため、提供できる医療には限界がある。施設では安心して医療や介護を受けられる2次避難先への移動を促しているが、住み慣れた土地を離れられないなどそれぞれに事情があり、2次避難も容易ではない。地震発生から2週間にわたって孤立状態が続いた輪島市七浦地区では支援の手が十分に届かない中、集落を離れる人が相次ぎ、351人いた住民は148人に減少した。
大阪公立大学大学院・菅野拓准教授は「今回の地震が浮き彫りにした課題は日本の多くの地域が抱える課題でもある」とした上で、「災害の法律に福祉という視点が足りない」と指摘した。
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衝突の根源に何が~記者が見たイスラエルとパレスチナ~(1/28放送)
昨年10月7日のハマスの襲撃への報復として始まったイスラエル軍の攻撃。イスラエル側ではおよそ1200人が殺害され、240人以上が人質になった。イスラエル軍の報復攻撃によってガザ地区ではおよそ半数の建物が損壊し、犠牲者はおよそ2万6000人に及び、その数は今も増え続けている。今、イスラエルとパレスチナの対立はかつてないほど深まり、緊張は極限に達している。
イスラエルの諜報機関の出身で首相の特別顧問も務めたヨシアルファ氏は20年前、イスラエル側からパレスチナとの共存に向けた青写真を作成していた。...
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昨年10月7日のハマスの襲撃への報復として始まったイスラエル軍の攻撃。イスラエル側ではおよそ1200人が殺害され、240人以上が人質になった。イスラエル軍の報復攻撃によってガザ地区ではおよそ半数の建物が損壊し、犠牲者はおよそ2万6000人に及び、その数は今も増え続けている。今、イスラエルとパレスチナの対立はかつてないほど深まり、緊張は極限に達している。
イスラエルの諜報機関の出身で首相の特別顧問も務めたヨシアルファ氏は20年前、イスラエル側からパレスチナとの共存に向けた青写真を作成していた。
アルファ氏は1993年に世界中が注目したオスロ合意が「個人的には2国家共存に導いてくれるものと希望を抱いていた」と話した。元パレスチナ暫定自治政府閣僚・ガッサンハティブ氏も「その時期、私たちパレスチナ人、そしてイスラエル人の大半は希望に満ち、新しい時代に移行しつつあると楽観視していた」と語った。
ところがイスラエル政府は暫定自治を認める一方で、ガザやヨルダン川西岸地区へのユダヤ人の移住を促し、入植地を拡大、さらに占領を継続したのである。これに対しパレスチナ過激派がイスラエルで激しいテロを繰り返し、2003年頃には、パレスチナ全域の解放を掲げるハマスがガザ地区で支持を広げていき、両者の期待は失望へと変わっていった。
こうした状況を目にしたヨシアルファ氏は「もし解決したいのならお互いに協力すべきだったが、それを両者ともしなかった」と語った。一方、ガッサンハティブ氏はこうした失望感により「パレスチナの若者の大半は平和的手段で目的を達成することを諦めてしまった」と指摘した。
世界の目がガザに向けられる中、ヨルダン川西岸地区ではユダヤ人入植が次々と建設されていった。入植活動は国際法違反とされるが、イスラエル政府などは計画を推し進めていった。去年10月以降、住民が殺害されるケースも急増し、これまでに子どもを含む350人以上が兵士や入植者による銃撃などで亡くなっているという。
ネタニヤフ政権に参加し、入植を促進している右派政党・宗教シオニスト党・ツビスコット議員は「(入植者による暴力が)存在しないとは言わないが、ごく少数だ。それは取るに足らないぐらい少なく、割合でみればほぼないに等しい」とした上で、入植を推し進める理由について「我々は世界中で虐殺されてきた。イスラエルはユダヤ人にとって世界で唯一安全な場所だ。絶対に譲ることはできない」と語った。
イスラエルのネタニヤフ政権の閣僚でパレスチナに強硬な姿勢をとるニルバルカト経済産業相は「ハマスが降伏すればすぐにでも戦争は終わる。イスラエルはいかなる土地も占領していない。パレスチナ人の土地などはそもそもない。二千年前、三千年前に遡ってほしい。地面を掘ればどこにでもユダヤ人のルーツがある。ここは唯一のユダヤ人国家ということだ」とした。
さらにニルバルカト氏は「当然のことながら(占領という言葉を)我々は受け入れない」とし、米国・バイデン大統領が触れた「2国家共存」について「明らかにうまくいかない解決策を押し付けないでほしい」と語った。
PLO(パレスチナ解放機構)の最大派閥を率いるジブリルラジューブ事務総長は「10月7日の出来事はイスラエルがパレスチナ人にしてきたことに比べればかわいいものだ」と語り、イスラエルの現政権が存続する限り2国家共存は不可能だと主張した。
一連の衝突が始まって間もなく4か月となるが、未だに多くの人質が解放されないまま出口が見えない状態にある。取材を通じてNHK取材班の心に残ったのは「もはや自分たちの力では暴力の連鎖を止めることはできない」という悲鳴のような人々の訴えだった。
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能登半島地震・いのちの危機をどう防ぐ-(1/21放送)
厳しい寒さが続く能登半島。震度7の地震発生から3週間近く経った今も被害の全体像さえつかめず、石川県によると避難所に避難している人だけでもおよそ1万5000人に上る。今、注目されているのが避難生活での災害関連死をどう防ぐかということ。
8年前の熊本地震では避難生活で体調を崩すなどして、命が失われる災害関連死が地震そのもので亡くなった人の4倍を超えたことが知られている。こうした知見を今回どう生かせるのかが問われている。...
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厳しい寒さが続く能登半島。震度7の地震発生から3週間近く経った今も被害の全体像さえつかめず、石川県によると避難所に避難している人だけでもおよそ1万5000人に上る。今、注目されているのが避難生活での災害関連死をどう防ぐかということ。
8年前の熊本地震では避難生活で体調を崩すなどして、命が失われる災害関連死が地震そのもので亡くなった人の4倍を超えたことが知られている。こうした知見を今回どう生かせるのかが問われている。
災害関連死を防ぐために専門家たちが作る学会が重要だとしているキーワードはトイレ、キッチン、ベッドの頭文字を合わせた「TKB」。
ここではベッドについてみていく。専門家が強く勧めているのが段ボールベッドであり、行政や段ボールメーカーから継続して被災地に送られている。
使うのを断る人も多いという段ボールベッドだが、災害関連死の予防を期待できることが様々な研究から明らかになっている。1つ目が血栓の予防。血栓が肺の血管に詰まるエコノミークラス症候群は避難所や車中泊避難で起きやすく、東日本大震災や熊本地震でもこの症候群で亡くなった方は多い。
段ボールベッドの高い避難所ほど、血栓の発生率が低いことが研究で明らかになっている。新潟大学・榛沢和彦特任教授は「高さがあるベッドだと起き上がりやすいため、自然に運動量が増える」という。
また「雑魚寝だと移動する際に人を踏んでしまうこともあるため、夜中にトイレに行くことを我慢してしまい、水分不足になる人が多い」が、段ボールベッドであればそうした問題が解決される。
さらにもうひとつ期待できるのが、新型コロナウイルスなど感染症の予防である。ポイントは床からの高さで、ウイルスが付着した床の上を人が歩くと床から30センチほど舞い上がることが研究からわかっている。30センチよりも高いところで寝ればほこりを吸い込むのを軽減できる。
今回の能登半島地震で特に注意しなければいけないのが寒さと高血圧。既に寒い避難所で寒くて眠れず体調が悪化し亡くなった人もいる。災害関連死が多かった2016年の熊本地震で災害関連死の原因として最も多かったのは肺炎や気管支炎など呼吸器系の病気(28.9%)だったが、それと同じくらい多かったのが高血圧が大きな原因となる心不全や脳卒中といった心臓や血管などの病気(27.5%)だった。
苅尾七臣医師は「環境が壊れ、生活のリズムが壊れてしまったなどの要因に寒さが加わると血圧が上がり、循環器の疾患につながりやすい。特に高齢者に影響が出やすく、60歳以上の方が亡くなられている。温度が10度下がると血圧が10上がることが調査でわかっている」と指摘する。
山岸暁美看護師は「避難所には大分、暖房が入ってきたが、トイレが外にあるところもあり、寒暖差が体に与える影響が懸念される」と語った。
今、政府や県が進めようとしているのが被災した地域からより安全な場所に移る2次避難。石川県によると21日午後4時発表時点で2次避難先として3万518人分が確保されているが、2次避難所に入ったのはわずか2607人だという。
珠洲市大谷町の男性によると地域愛が強い地区のため、ふるさとを離れたがらない人もいるということで今も説得が続けられている。世話をする人が減ってお世話される人が残るというのは最悪の事態となる。石川県は輪島市、珠洲市、穴水町能登町、七尾市、志賀町で被災した住民を対象に2次避難についての要望や悩みを聞き取る電話相談の窓口を設けている。
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調査報道・新世紀・北朝鮮・極秘ミサイル開発-(1/14放送)
パンデミック以降、3年半にわたり外国との往来を厳しく制限してきた北朝鮮。国内からの情報は大幅に減り、その闇は更に深まり、ブラックボックス化している一方で、ミサイル開発を推し進め脅威となっている。今回のNHKスペシャルは、北朝鮮ウォッチャーたちの分析を幾重に積み重ねることでその脅威が新たな次元に入っていることを浮き彫りにした。
公開された情報を分析し真相に迫ろうとする調査手法はオープンソースインテリジェンス(オシント)と呼ばれる。...
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パンデミック以降、3年半にわたり外国との往来を厳しく制限してきた北朝鮮。国内からの情報は大幅に減り、その闇は更に深まり、ブラックボックス化している一方で、ミサイル開発を推し進め脅威となっている。今回のNHKスペシャルは、北朝鮮ウォッチャーたちの分析を幾重に積み重ねることでその脅威が新たな次元に入っていることを浮き彫りにした。
公開された情報を分析し真相に迫ろうとする調査手法はオープンソースインテリジェンス(オシント)と呼ばれる。中でも地上の実態をありのままに映す衛星画像は重要な情報源となる。
米国・フロリダ州在住のジェイコブボーグルは、衛星画像のサイトでひたすら北朝鮮を探索している人物で、7万を超える地点を観察した結果、北朝鮮ではコロナ禍以降、国境沿いのフェンスが二重に強化されたことを突き止めた。フェンスに沿っておよそ50メートル置きに新設された監視所が1万5000か所にも及んでいることも明らかになった。隔離フェンスは60キロ以上に及んでいるという。
さまざまな実験を繰り返し2022年は少なくとも73発と、かつてないペースでミサイルを発射し、開発を加速させる北朝鮮。腕利きのITエンジニア・草薙昭彦は高度なプログラミング能力で北朝鮮のミサイル軌道を可視化した。ミサイル発射のニュースの度に必要な情報を検索し、防衛省の発表などから発射場所や高度、飛距離などを確認。世界中の北朝鮮ウォッチャーが集うSNSも草薙の貴重な情報源である。草薙がこれまでに可視化したミサイルの軌道は250以上に及ぶ。
ここ数年、草薙が感じる明らかな変化はミサイルの多様化が急速に進んでいることだ。草薙は2022年1月に北朝鮮が発射実験に成功したと発表した極超音速ミサイルの軌道だけは残念ながら確認できなかったが、「ミサイルに関する脅威が高まっているということがひしひしと感じられている」と実感を込めて語ってくれた。
オランダ国防大学・ラルフサベルツベルク准教授はオープンデータを使って滑空する極超音速の能力を分析している。着目したのはエンジンの構造である。サベルツベルクは極超音速ミサイルには火星12型と同じエンジンが搭載されていると推測し。これをベースに極超音速ミサイル軌道をシミュレーションすることに成功。その結果、理論上の軌道と北朝鮮の計画軌道がほぼ一致し、理論上、極超音速ミサイルの能力を持ちうることが明らかになった。
なぜ北朝鮮はこれほど急速に弾道ミサイル技術を向上させることができたのか。米国の安全保障研究の権威でオシントを駆使した調査の先駆者としても知られ、独自の手法で北朝鮮の技術力を探る人物・カリフォルニア州在住のミドルベリー国際大学院・ジェフリールイス教授は、弾道ミサイルで使われる高い加工精度が求められるインペラーという部品をある写真の中に見つけ出した。
その写真はキムジョンウン総書記が工場を視察しているとされる写真で、総書記の背後にインペラーが写り込んでいた。取材班が調査した結果、台湾の企業を経由しインペラーを含む工作機械が北朝鮮に輸出された可能性を導きだした。しかし、台湾には当該企業は既になかった。さらに調査を進めると、この会社の元代表が現在中国で工作機械の製造を手がける別の企業の社長を務めていることが分かった。取材班が連絡を入れるも取材は拒否された。浮かび上がってきたのは海外の技術を巧みに取り入れ、技術革新を続ける北朝鮮の姿である。
去年9月、キムジョンウン総書記が4年ぶりの外遊でロシアを訪問、プーチン大統領と会談をしたニュースは世界に衝撃を与えたが、北朝鮮の武器に精通する人物の一人・オランダのヨーストオリーマンズはウクライナの前線で撮影された大量の武器の写真を調べ北朝鮮製の武器がウクライナでロシア軍によって使用された可能性を導き出した。北朝鮮はロシアと同じ規格の武器を大量に生産し在庫もたくさんあるという。
北朝鮮のラジン港からロシアの港を経由し、北朝鮮製の武器がウクライナに運ばれている動きを突き止めた英国王立防衛安全保障研究所・ジェームスバーンは「北朝鮮は弾薬の見返りにお金はもちろんだが、技術を求めている。北朝鮮がロシアから受ける見返りは世界や東アジアに大きな影響を与えるだろう」と警告した。
2023年の秋、北朝鮮のメディアは連日、豊作のニュースを伝えていたが、実はこの時、台風の襲来で大雨に見舞われるなどし、北朝鮮の農業が打撃を受けていたことを韓半島安保戦略研究所・チョンソンハク博士が衛星データを使い突き止めた。一方、韓国・トンア大学・カンドンワン教授は海岸で北朝鮮からの漂流ゴミを集め北朝鮮の国力を分析。北朝鮮から流れ着いたサンダルを分析、裂けた部分が糸で縫い合わされ履きつくされていたことがわかった。カンドンワン教授は国力を度外視した軍事優先の体制の中、住民の暮らしが限界を迎えていると推察した。どうやら軍事開発を優先した代償を北朝鮮の人々が払わされているようである。
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世界に響く歌・日韓POPS新時代-(1/7放送)
今や世界の若者たちの日常に溶け込んだともいえるK-POPの躍進の原点は27年前、韓国を襲った経済危機だった。過剰投資による企業破綻でウォンが急落。国家破綻寸前まで追い込まれ、多くの人が職を失った。再建のため官民一体で取り組んだのが文化産業の強化。映像や音楽を海外で販売し、外貨獲得を目指した。大きな足がかりとなったのが日本市場。「冬のソナタ」の大ヒットと前後してK-POPは本格的に日本に進出した。...
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今や世界の若者たちの日常に溶け込んだともいえるK-POPの躍進の原点は27年前、韓国を襲った経済危機だった。過剰投資による企業破綻でウォンが急落。国家破綻寸前まで追い込まれ、多くの人が職を失った。再建のため官民一体で取り組んだのが文化産業の強化。映像や音楽を海外で販売し、外貨獲得を目指した。大きな足がかりとなったのが日本市場。「冬のソナタ」の大ヒットと前後してK-POPは本格的に日本に進出した。日本のアイドルも研究しながら独自のスタイルを磨き上げていき、2005年、YouTubeが誕生するといち早くミュージックビデオを丸ごと無料で公開。CDの売り上げが下がっても、とにかく海外で曲を聴いてもらい認知度を上げることを重視した。
そのころ、日本は韓国とは真逆の道を歩んでいた。音楽評論家・柴那典は「日本はまだまだCDが売れる国であり、CD市場にかなり依存したマーケットだった。それゆえデジタル配信への転換の遅れをとった」と分析した。
K-POPを代表するBTSは共同生活を通じて絆を深めながら歌、ダンス、語学力を磨き、世界を目指した。ネット配信はデビューする前から既に始めていた。2013年6月にデビュー。4年後には大規模な世界ツアーを行った。世界にその名を知られるようになってもBTSは何気ない日常の姿を配信し続けた。2020年、パンデミックでツアーができなくなると更にネット配信に力を入れ、コロナ禍の世界を明るく照らそうとBTS初の全編英語曲「Dynamite」が生まれた。全米ヒットソングチャートで1位に輝いた。K-POPは挑み続けた世界への道を見事に上り詰めた。
米国・ロサンゼルス。YOASOBIが出演するのはアジア系アーティストが多数出演する音楽フェスHead In The Clouds。全米各地から2万人を超える観客が集まる。アジア系アーティストにとって米国そして世界の音楽シーンへの重要な登竜門となっている。フェスを主催するショーンミヤシロはアジア各地で才能ある若手を発掘し、次々と全米ヒットチャートに送り込んでいるキーマンだ。中でも今、日本のYOASOBIに注目している。
1994年、Ayaseは瀬戸内海に面した工業都市の山口県宇部市で生まれた。ピアノ教師だった祖母の影響でクラシックを学んだ。その後ロックバンドを結成。21歳で上京し、メジャーデビューを目指すも、売れずに心労で倒れ入院。人生をかけたバンドは続けられなくなった。絶望と孤独の中でAyaseは日本のメーカーが開発したパソコン1台で誰でも自由に歌を作曲できる歌声合成技術ボーカロイドと出会う。Ayaseは独りぼっちの苦しみを歌ったボカロ曲をインターネットに投稿。Ayaseが作った歌はネットで反響を呼び、やがてレコード会社の目に留まる。ユニットを組んだのが当時、歌手を目指して路上ライブをしていた幾田りら(ikura)だった。
2019年、YOASOBIとしてデビュー。2人は次々とヒット曲を世に送り出した。瞬く間にJ-POPを代表するアーティストへと成長を遂げた。2022年、YOASOBI初の海外、インドネシアでのステージのことだ。客席で号泣する1人の女性の動画がSNSで拡散されYOASOBIはインドネシアで一気に有名になった。米国での初ライブの本番の日を迎えたYOASOBIは、会場を埋め尽くす2万5000人の観客に対し今回、英語ではなく、あえて日本語のまま歌うと決めた。YOASOBIは米国での確かな一歩を踏み出した。
一方、K-POPのNewJeansは驚異的なスピードでスターの階段を駆け上がっていた。デビューから僅か1年で全米アルバムチャート1位を獲得。去年8月には米国三大フェスのひとつLollapaloozaに出演し、7万人の観客を沸かせた。今、K-POPは更なる進化を遂げようとしている。
NewJeansのプロデュースを一手に担い、BTSメンバーのソロプロジェクトも手がけ、クリエーティブディレクターとして少女時代なども手がけたプロデューサー・ミンヒジンが、日本のテレビ初となる独占インタビューに応じ「ヒット曲の方程式が生まれるとそれが何度も繰り返されマネをされる。そうすると誰もが同じようなスタイルになってしまう。私はそれを破りたい」と話した。
最新プロジェクトNewJeansはK-POPの概念を変える新たなスタイルに挑戦し、自然でリラックスしたサウンドやダンスを目指した。日韓のエンターテインメントが世界を動かす時代がやって来た。新たに誕生したのは多国籍のK-POPグループ。オーディションには世界各地から12万人もの人が集まった。K-POPをけん引するNewJeans、ミンヒジンも挑戦の手を緩めない。インドネシア・ジャカルタでは今、YOASOBIの歌が若者たちを連帯させている。「紅白歌合戦」のYOASOBIのステージではNewJeansも共演した。
YOASOBI・Ayaseは「国も地域も関係なく自分達の自信をもって発信できる音楽をたくさんの人に届けたい」と語った。
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