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「土俵の充実」と「綱の品格」・ファンの願いは(3月23日)
「申し訳ない。何でもしたいという気持ちでいっぱいです」大相撲春場所9日目、横綱白鵬が、前日に井筒審判部副部長(元・逆鉾)が負傷した件について謝罪した。事の顛末は8日目の関脇・嘉風との対戦。寄り切りで土俵を割った嘉風を、白鵬が勢いよく投げ落としてしまった。土俵下にいた井筒審判長に直撃する形となり、そのまま救急車で搬送。左脚付け根付近の骨折で約3カ月の加療と手術が必要だという。
この行為について白鵬は審判部に呼び出され、伊勢ケ濱審判部長(元・旭富士)から口頭で注意を受けた。...
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「申し訳ない。何でもしたいという気持ちでいっぱいです」大相撲春場所9日目、横綱白鵬が、前日に井筒審判部副部長(元・逆鉾)が負傷した件について謝罪した。事の顛末は8日目の関脇・嘉風との対戦。寄り切りで土俵を割った嘉風を、白鵬が勢いよく投げ落としてしまった。土俵下にいた井筒審判長に直撃する形となり、そのまま救急車で搬送。左脚付け根付近の骨折で約3カ月の加療と手術が必要だという。
この行為について白鵬は審判部に呼び出され、伊勢ケ濱審判部長(元・旭富士)から口頭で注意を受けた。8日目だけでなく、4日目の隠岐の海との取組でも、勝負がついた後に花道まで突き落としていたため、一連の行為を“駄目押し”と判断されたのだ。ちなみに今場所は7日目の三段目の相撲で審判を務めていた錦戸親方(元水戸泉)が、土俵から転落した力士に激突され負傷退場している。場所中に2人の審判がけがで休場するという異例の事態となった。
常日頃、「土俵上ではなかなか闘志を抑え切れない」と弁明している白鵬。気力のない相撲を取った同じモンゴルの後輩・逸ノ城にも、寄り切った後に強烈な喉輪で喝を入れたこともあった。しかし、一歩間違えば観客にも被害が及びかねなかった一連の相撲。思うところはあるだろうが横綱には是非とも謙虚な反省と自覚をお願いしたい。4日目の隠岐の海戦の際、TV解説で「注意しておきます」と話していた師匠の宮城野親方も、今回の事態を防げなかったことを重く受け止めて欲しい。よく「横綱の品格」という言葉が取り沙汰されるが、立ち合い変化での勝利などあっけない相撲を取る横綱にも、容赦ない批判が巻き起こるのも相撲の世界。優勝争いが過熱する終盤戦、相撲ファンは激しくも凛々しい「横綱相撲」「力相撲」を期待している。
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甲子園の熱戦譜開幕・次の世代の子供たちへ(3月22日)
「当たり前にあった景色がなくなる、その重みを僕たちは忘れたくありません」甲子園の青空の下、清々しい声が響き渡った。20日、第88回センバツ高校野球大会が開幕。小豆島高校の樋本尚也主将の選手宣誓は、自身で「100点」と胸を張る堂々の出来栄えだった。普段何気なく過ごしている日常への感謝と誓いの言葉とともに、32校による熱戦の火蓋が切って落とされた。
小豆島高校は2日目の第一試合で、釜石高校と対戦。21世紀枠同士の激突となった試合は、2点を追う小豆島が最終回に粘りを見せたものの惜敗。...
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「当たり前にあった景色がなくなる、その重みを僕たちは忘れたくありません」甲子園の青空の下、清々しい声が響き渡った。20日、第88回センバツ高校野球大会が開幕。小豆島高校の樋本尚也主将の選手宣誓は、自身で「100点」と胸を張る堂々の出来栄えだった。普段何気なく過ごしている日常への感謝と誓いの言葉とともに、32校による熱戦の火蓋が切って落とされた。
小豆島高校は2日目の第一試合で、釜石高校と対戦。21世紀枠同士の激突となった試合は、2点を追う小豆島が最終回に粘りを見せたものの惜敗。瀬戸内海からフェリーで駆け付けた大応援団、そして東北の被災地で声援を送った仮設住宅の人たちにも、両校ともに精一杯の全力プレーで応えてみせた。来春統廃合される小豆島高校のナインたちは、この青春の一頁を胸に焼き付けて、夏の甲子園を目指す新しい日々を再びスタートさせる。
今大会から高野連は新しい試みとして、甲子園のバックネット裏118席を「ドリームシート」と名付け、小中学生を招待する取り組みを始めている。観戦した子供たちの反応も上々の様子だ。今回は近畿地方のみの招待だったが、夏の大会での実施も検討中とのことで、長い夏季休暇を利用して全国の少年少女を招待することになりそうだ。この素晴らしい企画、現在は子供たちだけの観戦となっているが、解説する専門ガイドを配置するなどの新提案も出ているようで、大きな発展性を秘めていると言えよう。また、1試合ごとの入れ替えとはいえ、夏場の暑いスタンドでの観戦はなかなか過酷だ。水分補給や休憩などの配慮も必要になるだろう。快適な環境の中、少年少女たちに甲子園の記憶がより鮮明に受け継がれることを望みたい。
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小兵力士の躍進・相撲の醍醐味は復活するか?(3月20日)
序盤戦を終え、連日熱戦が繰り広げられている大相撲春場所。綱取りを目指す大関・琴奨菊、さらに地元大阪の平幕・勢が好調で、浪速の相撲ファンの熱狂もますます高まってきた。
そんななか、幕内力士に劣らないほどの大きな歓声を集めているのが、西幕下二枚目の宇良(うら)である。大阪府寝屋川市出身の23歳。身長173cm、体重122kgの軽量ながら、アマチュア時代から豪快な反り技などを決め、入門時には多くの取材陣が押し掛けた。...
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序盤戦を終え、連日熱戦が繰り広げられている大相撲春場所。綱取りを目指す大関・琴奨菊、さらに地元大阪の平幕・勢が好調で、浪速の相撲ファンの熱狂もますます高まってきた。
そんななか、幕内力士に劣らないほどの大きな歓声を集めているのが、西幕下二枚目の宇良(うら)である。大阪府寝屋川市出身の23歳。身長173cm、体重122kgの軽量ながら、アマチュア時代から豪快な反り技などを決め、入門時には多くの取材陣が押し掛けた。6日目、初めて十両の土俵に上った宇良の対戦相手は十両最重量203kgの巨漢・天風。宇良は立ち合いで一気に相手の足元に潜り込むと、天風の右足に飛びつき、送り倒しで80kgも重い相手を土俵下に転がした。敗れた天風が「消えて見えなくなった」と舌を巻く早業だった。宇良はこれで無傷の4連勝。早々に勝ち越しを決め、新十両に大きく近づいた。昇進を確実なものにするためにも、残り3番で一つでも多く白星を積み重ねておきたいところだ。
現在の大相撲は外国人力士の増加もあり、ますます身長、体重ともに大型化し続けている。幕内の平均身長は182Cmを超え、昨年の十両以上の力士の平均体重は163・7kgと、過去最高を更新中だ。昭和40年代には120kgだったのと比べ40kgも増えた計算になる。当時なら宇良も平均的な体格だった訳だ。一方、土俵の大きさは当時から全く変わっておらず、そのため決まり手は「寄り切り」「押し出し」が大半を占め、少し変わられると脆くも「はたき込み」が決まってしまう。何より大型化と比例して怪我も深刻になっており、単なる重量化では土俵の充実は難しいだろう。宇良には十両、そして幕内の土俵で、大相撲の醍醐味、「小よく大を制す」を実践してくれることを期待したい。
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ラスト会見は笑顔で…名将最後のメッセージ(3月19日)
「これまで選手たちと世界を目指して仕事が出来た。これは本当に僕の大きな宝物」18日、退任の記者会見を開いたサッカー女子日本代表の佐々木則夫前監督。その顔は晴れやかで、いつものノリさんスマイルが垣間見られた。会見場ではジョークで記者団の笑いも誘い、気さくな指揮官らしい朗らかなラスト会見だった。
2006年1月、女子代表コーチとU-17代表監督に就任以来、11年間日本の女子サッカーに携わってきた佐々木氏。...
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「これまで選手たちと世界を目指して仕事が出来た。これは本当に僕の大きな宝物」18日、退任の記者会見を開いたサッカー女子日本代表の佐々木則夫前監督。その顔は晴れやかで、いつものノリさんスマイルが垣間見られた。会見場ではジョークで記者団の笑いも誘い、気さくな指揮官らしい朗らかなラスト会見だった。
2006年1月、女子代表コーチとU-17代表監督に就任以来、11年間日本の女子サッカーに携わってきた佐々木氏。2008年からは監督として「なでしこジャパン」を率い、通算80勝16分け29敗。W杯や五輪などで日本女子サッカー史に輝かしい功績を残した。今回のリオデジャネイロ五輪最終予選。その最終戦直後の会見で彼が険しい表情に変わったのは、スポーツ紙の報道に対して言及した時だった。
リオへの切符を逃し、メディアにはなでしこジャパンに対する批判記事が溢れた。試合後の一部選手の発言にはネットでのバッシングも起きていた。特に目立ったのはチーム内の人間関係の「不協和音」、代表選考に関する「憶測」などのゴシップ的な情報だった。「僕の批判はいい」と前置きしたうえで、佐々木氏は「負けた時ゴシップのような記事の内容を書くのはスポーツ新聞ではない」と断じ、同じ仲間として、メディアの力を借りたいと要望したという。得てして芸能ネタのような裏情報はセンセーショナルに取り上げられる。一般大衆もついピッチ外の話題に関心が行きがちである。そんな状況に警鐘を鳴らし、この名指揮官は最後までなでしこたちを気遣ったのだ。「頼りなさそうな私でしたけど、よくここまでついてきてくれた」と選手への感謝を表した佐々木氏。その優しいまなざしと、女子サッカー発展のための厳しい視線を、私たちは決して忘れることはないだろう。
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引き際の美学・表舞台を去るアスリートたち(3月18日)
春は出会いと別れの季節である。スポーツ界でも若いニューカマーの登場とともに、表舞台から去り競技人生に幕を下ろす者もいる。今週は五輪や国際大会の第一線で活躍してきたアスリートの現役引退の報が相次いで飛び込んできた。
14日は女子卓球界を牽引してきた平野早矢香が引退を表明。福原愛、石川佳純と共に2012年のロンドン五輪女子団体で、日本卓球界初となる銀メダルを獲得。その時からリオ五輪を次の目標に定めていたが、伊藤美誠、平野美宇ら若手選手が台頭。...
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春は出会いと別れの季節である。スポーツ界でも若いニューカマーの登場とともに、表舞台から去り競技人生に幕を下ろす者もいる。今週は五輪や国際大会の第一線で活躍してきたアスリートの現役引退の報が相次いで飛び込んできた。
14日は女子卓球界を牽引してきた平野早矢香が引退を表明。福原愛、石川佳純と共に2012年のロンドン五輪女子団体で、日本卓球界初となる銀メダルを獲得。その時からリオ五輪を次の目標に定めていたが、伊藤美誠、平野美宇ら若手選手が台頭。2月に行われた世界卓球2016では代表から漏れていた。しかし、その後も新キャプテンの重圧に苦しんでいた福原にアドバイスを送り続け、銀メダル獲得に向けて大きな支えとなった。「残りの大会を精一杯戦い、自分の力を出しきりたい」。出場は残り2試合。4月9日の日本卓球リーグ佐賀大会が、闘志あふれるプレーを見せ続けた彼女の終着点となる。
15日に今季限りでの現役引退を発表したフィギュアスケートの小塚崇彦。祖父の代からのフィギュア一家の生まれ。元五輪代表の父を持ち、フィギュア界のサラブレットと呼ばれた小塚。バンクーバー五輪では8位入賞、翌2012年には世界選手権(モスクワ)で銀メダルに輝いた。4月17日のスターズオンアイス最終公演にて、ファンの前で別れを告げる予定だという。
そして、16日にはアテネ五輪の体操男子団体で金メダルをもたらしたベテラン・塚原直也も引退会見を行った。アテネを含め3大会連続の五輪出場。日本代表から外れた後もオーストラリアで最後まで五輪挑戦を続けていた。38歳までの27年間の競技人生にピリオドを打ち、来月から所属チームの総監督に就任するという。長年日本スポーツ界を牽引してきた3選手に心から労いと感謝の気持ちを送りたい。
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