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偉業達成の“涙“・鉄人が垣間見せた本音(8月10日)
“3000”現地時間8日付のニューヨークタイムズ紙は大きなリード記事でその偉業を讃えた。マーリンズのイチローが、デンバーで行われたロッキーズ戦に8試合ぶりに先発出場。第4打席であわやスタンドインかという大きな当たりの3ベースヒットを放ち、メジャーリーグ30人目の通算3000本安打を達成した。
限られた出場機会の中で順調に大記録へのカウントダウンを進めてきたイチロー。7月6日には残り10本を切り、一気に大台を突破するかに思われた。...
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“3000”現地時間8日付のニューヨークタイムズ紙は大きなリード記事でその偉業を讃えた。マーリンズのイチローが、デンバーで行われたロッキーズ戦に8試合ぶりに先発出場。第4打席であわやスタンドインかという大きな当たりの3ベースヒットを放ち、メジャーリーグ30人目の通算3000本安打を達成した。
限られた出場機会の中で順調に大記録へのカウントダウンを進めてきたイチロー。7月6日には残り10本を切り、一気に大台を突破するかに思われた。しかしそこから足踏みが続き、ベンチスタートの日々。先週までのホーム・マイアミ10連戦での達成はならず。残り2本としてから9試合目の達成だった。「結構しんどかった。特にこの何日かは人に会いたくない時間もたくさんありました」記録の瞬間を待ち望む観客や、慣れない代打出場というプレッシャーは、さしもの天才打者をも苦しめたようだ。記録達成の瞬間には味方ナインがベンチを飛び出て祝福し、敵地デンバーのファンもスタンディングオベーション。その後、タイムリーでベンチに戻ったイチローはすぐにサングラスをかけた。その頬には一筋の光る物が流れていた。
メジャー16年目での3000本安打は史上最速のペースである。奇しくも同じ日に、メジャー通算3114安打のアレックス・ロドリゲスが引退を表明。イチローは現役選手中、最多の安打数を誇るメジャーリーガーとなった。イチローの大ファンで、安打数を表示した手製ボード「イチ・メーター」で知られるエイミー女史もデンバーまで遠征。記録の瞬間を見届け「私の旅もこれで終わり」と安堵した表情だった。「次の目標は4000本しかないでしょ?」50歳まで現役を目指すと公言しているイチローはそう笑ってみせた。彼の旅はまだまだ続く。
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この“一瞬”に全てを輝かせて…感謝の抱擁(8月9日)
「理に適ったきれいなフォームの時は、バーベルが上手く体の重心に乗って自動的に上がっていく感覚があります。実は殆ど重さを感じないんです」ウェイトリフティング48kg級の三宅広実は以前、競技中の心境についてそのように語っていたことがある。それはトップアスリートだけが体験する「神の領域の瞬間」だろう。
ロンドン大会で銀メダルを獲得し、今回のリオが4度目の五輪出場。しかし、現地入りしてからは、一昨年に痛めた腰痛が再発するアクシデントに見舞われていた。...
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「理に適ったきれいなフォームの時は、バーベルが上手く体の重心に乗って自動的に上がっていく感覚があります。実は殆ど重さを感じないんです」ウェイトリフティング48kg級の三宅広実は以前、競技中の心境についてそのように語っていたことがある。それはトップアスリートだけが体験する「神の領域の瞬間」だろう。
ロンドン大会で銀メダルを獲得し、今回のリオが4度目の五輪出場。しかし、現地入りしてからは、一昨年に痛めた腰痛が再発するアクシデントに見舞われていた。痛み止めの注射を打つ決断をして試合に挑んだ三宅。前半の一気にバーベルを頭上に掲げる「スナッチ」では、3回の試技を2連続で失敗。3本目を上げられなかった時点で終了となるギリギリの場面で、何とか自己ベストより6kg軽い81kgを成功し8位に入った。続いて、肩まで一度上げて静止してから頭上に持ち上げる「ジャーク」に逆転勝負をかける。ここでも1本目で厳しい判定に遭いながら、最後は107kgを成功。一気に順位を上げ、見事銅メダルを手にした。日本人女子がこの種目で2大会連続メダルを獲得するのは初めての快挙だ。
ロンドン五輪後、故障に苦しんだ彼女には、競技への取り組み方を変えた言葉があったという。毎日を必死で生きることを説いた『一日一生』。その言葉通り、「とにかく目の前にある重量を一つ一つ大切に一本ずつあげていきたい」との思いを持って臨んだ今大会。一瞬一瞬を大切に生きてきたからこそ、この147cmの小柄なアスリートは、再び栄冠を手にすることが出来た。最後の試技後、三宅はバーベルを愛おしむように抱擁した。「バーベルには思い出が詰まっているので、ありがとうとハグをしたかった」リオで感動の記憶の一頁が刻まれた瞬間だった。
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南米の地に集う世界の人々・最大の文化の祭典(8月8日)
人類の祖先はアフリカ中部で誕生したといわれる。その後長い時間をかけて進化を遂げ、ヨーロッパ、ユーラシア大陸、そして北米大陸へと進出。その果てしない移動の終着点である南米大陸の先端に到達したのが、およそ1万2000年前のことだ。その南米の地で初めて、世界中の多様な国から人々が一堂に会して行われる平和の祭典・オリンピックが開幕した。
ブラジルの様々な民族の歴史を表現したパフォーマンスが演じられたリオデジャネイロ五輪の開会セレモニー。...
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人類の祖先はアフリカ中部で誕生したといわれる。その後長い時間をかけて進化を遂げ、ヨーロッパ、ユーラシア大陸、そして北米大陸へと進出。その果てしない移動の終着点である南米大陸の先端に到達したのが、およそ1万2000年前のことだ。その南米の地で初めて、世界中の多様な国から人々が一堂に会して行われる平和の祭典・オリンピックが開幕した。
ブラジルの様々な民族の歴史を表現したパフォーマンスが演じられたリオデジャネイロ五輪の開会セレモニー。アマゾン流域に住む原住民。大航海時代にやって来たヨーロッパ人。アフリカから連れてこられた黒人たち。そして、世界各地から移民としてやってきた人々…それらの人間が共存し、築き上げてきたのがブラジルの国・そして文化である。様々な肌の色を持つ人類が、互いに肉体の限界に挑み、競い合うオリンピック。世界の民族の融合と尊重を目指すスポーツの祭典が、この多様性を誇る国で行われることには非常に大きな意味があるだろう。パフォーマンスの中では、ちょうど71年前のこの日、広島に原爆が投下された同じ時刻に、日系人による移民文化のパートが当てられるという演出も施された。実に平和への祈りに満ち溢れた開会式だった。
前述のように、人類は元々同じ一つの種から発達してきた存在である。そして、人を動物とは異なる存在として人たらしめているものが「創造する力」、つまり「文化」なのだ。文部科学省のホームページでは「競技スポーツは人類の創造的な文化活動の一つである」と定義している。世界中に広がった人類が今、その最終地点だった南米の地に集い、過去最大の“カーニバル”を行っている。この星の全ての生きとし生きる者たちに幸(さち)大からん事を。
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17日間の熱戦キックオフ・南米初の五輪開幕(8月6日)
いよいよ4年に一度のスポーツの祭典が幕を開けた。開会式に先立って始まったサッカー競技。日本の初戦の相手・アフリカ王者ナイジェリア代表は、試合前日まだアメリカ・アトランタに足止めを食っていた。チャーター機の代金支払いトラブルなどで再三ブラジル入りが延期になっていたが、ようやく現地マナウスに到着したのは試合開始のわずか7時間前だった。
「相手にどんなトラブルがあっても関係ない」と選手を戒めていた手倉森ジャパンだが、試合は開始早々からペースを握られ、前半6分、ナイジェリアに先制を許してしまう。...
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いよいよ4年に一度のスポーツの祭典が幕を開けた。開会式に先立って始まったサッカー競技。日本の初戦の相手・アフリカ王者ナイジェリア代表は、試合前日まだアメリカ・アトランタに足止めを食っていた。チャーター機の代金支払いトラブルなどで再三ブラジル入りが延期になっていたが、ようやく現地マナウスに到着したのは試合開始のわずか7時間前だった。
「相手にどんなトラブルがあっても関係ない」と選手を戒めていた手倉森ジャパンだが、試合は開始早々からペースを握られ、前半6分、ナイジェリアに先制を許してしまう。その直後に得たPKのチャンスをオーバーエイジ枠で出場の興梠慎三(浦和レッズ)がきっちり決めて即座に同点とするが、1分後に再び失点。すると12分には南野拓実(ザルツブルグ)のゴールで1点を取り返す。なんと開始から12分間で4ゴールが決まる大荒れの展開となった。
前半終了間際に勝ち越された日本は、後半に入っても劣勢が続く。強行移動で調整不足のはずのナイジェリアは守備に集中を欠いていたが、それ以上に日本側にはイージーなパスミスが随所に見受けられた。結局、アディショナルタイムに1点差まで追いすがったものの、4-5で初戦は黒星発進となってしまった。
ナイジェリア代表はアトランタ五輪の優勝国。あの“マイアミの奇跡“の日本代表に完勝し、予選突破を阻んだ相手だ。北京五輪でも日本代表を下し、銀メダルに輝いているこの強豪国が、三たび日本の前に立ちふさがった。予選で攻撃の柱だった久保裕也が、所属する海外クラブの許諾が下りず、直前になって出場出来なくなる緊急事態に陥った手倉森ジャパン。予選突破に早くも黄色信号が灯った形だ。次戦はコロンビアと対戦。”マナウスの奇跡“は起こせるか?
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涙の復帰、歓喜の初選出・2020東京追加競技(8月5日)
リオデジャネイロで行われたIOC総会で、2020年東京五輪の追加競技が正式決定した。東京大会の組織委員会が追加種目として提案していた5競技18種目(野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)は、全会一致で一括承認となった。
組織委員会の記者会見で、関係者から「完璧の結果だった」と安堵の声が聞かれた今回の決定。野球・ソフトボールは2008年北京大会以来3大会ぶりの復活。...
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リオデジャネイロで行われたIOC総会で、2020年東京五輪の追加競技が正式決定した。東京大会の組織委員会が追加種目として提案していた5競技18種目(野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン)は、全会一致で一括承認となった。
組織委員会の記者会見で、関係者から「完璧の結果だった」と安堵の声が聞かれた今回の決定。野球・ソフトボールは2008年北京大会以来3大会ぶりの復活。空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンは五輪史上で初の競技実施となる。日本オリンピック委員会・JOCでは、2020東京大会での金メダル獲得目標数を「世界3位以内」と設定している。国内最大のプロスポーツである野球や、北京大会で金メダルを獲得したソフトボール。さらに日本発祥の武道である空手などはメダル量産の期待が高い。今回の決定は目標達成にとって強い追い風だ。さらに、日本勢が表彰台を狙えそうなのがスポーツクライミング。時間内に登る高さを競う「リード」や、ロープなしで課題をいくつこなせるかが勝負の「ボルダリング」、壁を登りきる速さで争う「スピード」の総合で行われるこの競技。藤井快(こころ)は現在、今シーズンのワールドカップで男子総合首位。女子でも2年連続ワールドカップ年間優勝・野口啓代、ライバルの19歳・野中生萌など世界トップクラスの選手が揃っている。日本国内の競技者数は現在6万人だが、五輪種目になったことで、裾野は更に拡大するに違いない。
但し、手放しで喜んでばかりもいられない。新たに実施競技が増えればその分開催費が嵩むのは必至だ。新都知事が就任し、予算見直しが指摘されるなか、今まで以上に綿密な検証が必要になるだろう。越えなければいけない壁は高い。
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