中国の電子商取引最大手のアリババグループ(1999年設立)の創業者である馬雲氏(ジャック・マー、56歳)は、昨年10月に中国金融当局を批判するコメントを出して以降、公の場から姿を消した。西側諸国及びメディアは、中国共産党一党独裁を危うくする恐れがある分子は、人権弁護士から大富豪まで悉く拘束・投獄されていることから、馬氏も同じ運命に陥れられたと騒ぎ出していた。しかし、消息を絶っていた間に何があったか等真相は定かではないが、ともかく馬氏が3ヵ月振りに中国国営メディアに姿を現した。
1月20日付米
『AP通信』:「公の場から姿を消していた中国電子商取引大富豪のジャック・マー氏がオンライン上に登場」
中国の電子商取引最大手のアリババグループ創業者のジャック・マー氏が1月20日、2ヵ月半振りに公の場に姿を見せた。
同氏が現れたのは、同氏が創設した「ジャック・マー農村教師賞」の式典にオンライン・ビデオ上であって、中国国営メディア『環球時報』が報じたものである。...
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1月20日付米
『AP通信』:「公の場から姿を消していた中国電子商取引大富豪のジャック・マー氏がオンライン上に登場」
中国の電子商取引最大手のアリババグループ創業者のジャック・マー氏が1月20日、2ヵ月半振りに公の場に姿を見せた。
同氏が現れたのは、同氏が創設した「ジャック・マー農村教師賞」の式典にオンライン・ビデオ上であって、中国国営メディア『環球時報』が報じたものである。
同氏は昨年10月24日、上海で行われたコンファレンスで、中国金融当局を批判する内容を含む演説を行って以来、消息を絶っていた。
また、その数日後、同氏が立ち上げたアントグループ(2014年設立、世界最大のオンライン決済プラットフォームAliPay等を運営)の株式上場が、当局によって延期に追い込まれていた。
そこで、西側諸国やメディアは、国際ビジネスで成功を収めた大富豪であり、かつITビジネス発展の功労者でもある馬氏が、当局によって拘束されたのか、あるいは法的トラブルに巻き込まれたのか等と懸念の声を上げていた。
しかし、同氏は長い沈黙を破って突如公の場に現われた訳だが、同氏事務局は1月20日、“馬氏は、1月20日開催の農村教師賞式典にオンラインで出席した”との声明を発表しただけで、消息を絶っていた間に何があったのかとか、今後の公式日程等については一切明らかにしなかった。
習近平指導部は、今年の重点政策として、IT企業群による寡占化を制御するとしていて、アリババグループ他大手IT企業に対して締め付けを強めている。
独占禁止法取締り部局は昨年12月、アリババグループ及び他5社に対して、新規参入者を妨害してはならないとの通達を出している。
なお、アリババグループの香港株式市場の株価は、馬氏が公の場から消えて以降、10%も値を下げていたが、今回の同氏再登場によって値を戻している。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)』紙:「アリババ創業者のジャック・マー氏、3ヵ月振りに公の場に現われ、農村教師賞受賞者に対してオンライン上で祝福」
地方紙報道によると、馬氏は1月20日開催の「農村教師賞」式典にオンラインで参加し、被表彰者100人を祝福したという。
同氏は50秒のビデオの中で、“地方の優秀な人を育てることに今後も尽くして欲しい”と述べたという。
「農村教師賞」は、馬氏が2015年に立ち上げたもので、中国全土の290万人余りの農村教師の中から、特に貢献度が高い100人を毎年選出し、海南島の式典会場に招待して、1人当り10万人民元(1万4,260ドル、約150万円)の報奨金を贈与していた。
今年は感染症問題のため、同式典はオンラインでの開催とされている。
なお、馬氏が3ヵ月振りに公の場に姿を見せたことから、当『SCMP』紙の親会社でもあるアリババグループの株価は一挙に11%急上昇し、同グループ傘下の関係会社の株価も軒並み値上がりしている。
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