ロシアとトルコは、ときには対立し、また、協調関係を誇示したりと、不安定な関係にある。そして、1月中旬にシリア内戦に関わり、ロシア・トルコ間でイドリブ休戦が合意した後も、ロシアの支援を受けたシリア政府軍とトルコ軍間の休戦破りの戦闘が続くに至り、ロシアとトルコの代理戦争になりつつある。そうした中、ウラジーミル・プーチン大統領支持者の画家が、トルコ首都イスタンブールの目抜き通りで、同大統領を賛辞する行動を取って、トルコ当局の神経を逆なでしている。
2月16日付米
『ロイター通信』:「ロシア人画家、イスタンブールでプーチン大統領は“スーパーヒーロー”だと賞賛行動」
ロシア人画家のアレクサンデル・ドンスコイ氏は2月15日、イスタンブールの目抜き通りで、ウラジーミル・プーチン大統領を描いた大型ポートレートをかざして、“プーチン氏はロシアのスーパーヒーロー”だと訴えた。
これに対して、トルコ当局は、同氏が無届でかかるポートレートを掲げたとして、同行為を差し止めた。...
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2月16日付米
『ロイター通信』:「ロシア人画家、イスタンブールでプーチン大統領は“スーパーヒーロー”だと賞賛行動」
ロシア人画家のアレクサンデル・ドンスコイ氏は2月15日、イスタンブールの目抜き通りで、ウラジーミル・プーチン大統領を描いた大型ポートレートをかざして、“プーチン氏はロシアのスーパーヒーロー”だと訴えた。
これに対して、トルコ当局は、同氏が無届でかかるポートレートを掲げたとして、同行為を差し止めた。
同氏は『ロイター通信』のインタビューに答えて、“ロシアとトルコはときに関係がギクシャクするが、だからこそプーチン氏の素晴らしさをトルコの人に理解してもらいたい”とコメントした。
ロシアとトルコは、国防やエネルギー事業で協力関係にあるが、直近では、シリア内戦を通じて対立している。
すなわち、イドリブ県(シリア北西端で、トルコ国境付近)争奪戦で、ロシアの支援を仰ぐシリア政府軍とトルコ支援の反政府武力勢力の間で戦火が続いているが、ロシア・トルコ間で一時的に政治的決着を果たしたものの、依然戦闘は激化するばかりである。
特に、今月初めにイドリブ県駐留のトルコ軍兵士13人がシリア政府軍の攻撃によって殺害されて以来、緊張が高まっている。
在トルコのロシア大使は今週、メディアに対して、何者かから数度にわたり殺害予告の脅しを受けていると語っている。
なお、ドンスコイ氏は、“自身は平和の特使”だとして、西側諸国による対ロシア制裁について再考するよう訴えているとコメントした。
一方、同日付ロシア『タス通信』:「プーチン・エルドアン両首脳会談の開催時期についてモスクワで2月17日に両国高官が協議」
トルコのメブリュト・チャウシュオール外相は2月15日、現在開催中のミュンヘン安全保障会議の機会をとらえてロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した。
会談後同外相は、2月17日にトルコ外交団がモスクワを訪問の上、ロシア側高官と次回のプーチン・エルドアン首脳会談開催時期について協議することになったと発表した。
ただ、同外相によれば、“イドリブ県の問題含めて議題に上げる”としながらも、“両首脳会談開催が必要だという話になった場合”との注釈を付けた。
イドリブ県における紛争については、プーチン・エルドアン両首脳会談で停戦合意をみたが、2月5日のシリア政府軍の攻撃でトルコ兵等が犠牲になっている。
シリア政府は、テロリスト武装集団を攻撃したものだとしているが、トルコの支援を受けている反政府武装グループは2月11日、シリア陸軍基地に大規模攻撃を仕掛けており、シリア内戦は鎮まる気配がない。
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