メキシコ治安省は20日、2019年に同国で発生した殺人件数は、前年比2.5%増の3万4,582件となり、1997年に統計を取り始めて以来最多となったと発表した。同国では麻薬撲滅戦争が激化した2006年以降、暴力事件が蔓延している。
地元メディアのほか、
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた。2019年のメキシコの年間殺人件数は、過去最多だった前年の3万3,743件を上回り、過去最多の3万4,582件となった。1日当たりの平均件数は約95件となり、月間の犠牲者が最も多かった6月には2,993人が殺害された。
メキシコは2006年以降、麻薬カルテル対策に軍を投入してきた。こうした麻薬撲滅運動によって主要な密売人が逮捕または殺害されたにも関わらず、麻薬関連の暴力事件の減少にはつながらず、犯罪組織間の抗争により、さらに多くの殺人事件が発生している。...
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地元メディアのほか、
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた。2019年のメキシコの年間殺人件数は、過去最多だった前年の3万3,743件を上回り、過去最多の3万4,582件となった。1日当たりの平均件数は約95件となり、月間の犠牲者が最も多かった6月には2,993人が殺害された。
メキシコは2006年以降、麻薬カルテル対策に軍を投入してきた。こうした麻薬撲滅運動によって主要な密売人が逮捕または殺害されたにも関わらず、麻薬関連の暴力事件の減少にはつながらず、犯罪組織間の抗争により、さらに多くの殺人事件が発生している。
2018年12月に就任したメキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領は、麻薬カルテル対策を継続し、より対決色を出さない穏健な治安対策を打ち出している。しかしながら、暴力事件は収束せず、その後も数が増加している。
ロペスオブラドール大統領は、対策の効果が表れるには時間が必要としているが、過去数カ月で2度の大きな事件があり、その方針に対し懸念や批判が高まっている。10月には、麻薬王「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン受刑者の息子オビディオ容疑者を一時拘束したものの、その後身柄を解放し、弱腰であると非難された。11月には、3人の母親と6人の子どもが麻薬カルテルの男らに銃殺され、国内外から強い批判を浴びた。
こうした問題に対処するため、メキシコ政府当局は先週、刑事司法制度の全面的な見直し案を議会に提出した。議会上院は来月同法案を審議することとしており、これによって米国との治安をめぐる協力体制の構築の進展が期待される。
今回の刑事司法制度の改革案には、私的な通信内容を証拠として用いることを認め、容疑者の身柄の引き渡しの遅延を避けるために異議申し立てを制限するなど、米国発祥の内容の条項が多く含まれているという。メキシコのアレハンドロ・ゲルツ司法長官は、上院議員らに対し、法案は犯罪行為の源を断つだけでなく、染みついた腐敗の風土や、刑罰を免れることを防止するものであると説明している。
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