中国政府は、香港で激しい抗議活動が続けられるなか、隣接する本土の都市、深圳の開発計画の指針を示す文書を公表した。19日にその概要を報じた国営メディアによると、中国的特性を有する社会主義の試験地域とし、香港より良い場所とすることを目指すという。
『AFP通信』や香港メディア
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』などが報じた。中国中央テレビなどの国営メディアは19日、深圳を「中国的な特性を持った社会主義」の試験地域とすることを目指し、政府が公表した一連の指針について、その概要を伝えた。
深圳は、インターネットサービスを展開するテンセント(騰訊)や通信機器大手ファーウェイ(華為技術)などの中国主要企業が本拠を構える。同市は、中国の「グレートファイアウォール」により、ニュースや情報の入手が制限されているが、40年前に開始した改革開放政策の象徴となっている。...
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『AFP通信』や香港メディア
『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』などが報じた。中国中央テレビなどの国営メディアは19日、深圳を「中国的な特性を持った社会主義」の試験地域とすることを目指し、政府が公表した一連の指針について、その概要を伝えた。
深圳は、インターネットサービスを展開するテンセント(騰訊)や通信機器大手ファーウェイ(華為技術)などの中国主要企業が本拠を構える。同市は、中国の「グレートファイアウォール」により、ニュースや情報の入手が制限されているが、40年前に開始した改革開放政策の象徴となっている。香港では、激しいデモや抗議集会、占拠活動などが続いて危機状態に陥っており、中国政府はこれを深圳開発の好機とも考えているようだ。
開発の指針を示した文書には、法律、金融、医療、社会など様々な分野における深圳市の改革計画が示されている。同市の公共サービスや環境保護のレベルを引き上げ、「経済的な強みと開発品質」を2025年までに世界で最高水準のものに改良するというような内容も含まれるが、具体的な方法については余り書かれていない。
同文書はまた、2035年までに深圳は経済の全般的な競争性において「世界を主導する」とも記述している。深圳は既に、同市などが属する広東省と香港・マカオを統合する大型経済圏構想「グレイターベイエリア(大湾区)」政策の中心都市となっており、中国政府は今後3地域の関係をさらに密接にしていきたい意向であるという。
指針によれば、香港やマカオ出身だが深圳で就業し居住する人は、住民として扱われる。また、香港との境界で「より開放的で便利な」出入りが可能とするよう支援し、外国人永住者らに科学技術面での起業も認めるなどとされている。
こうした深圳の発展構想の一方で、中国共産党の機関紙「人民日報」系の「環球時報」国際版(グローバル・タイムズ)は、専門家らの発言も引用し、香港が深圳に遅れを取る可能性を示唆した。同紙は、「もし香港がなお、中国の開発に参加する機会を受け入れる用意がないのなら、香港の開発は将来非常に限定されたものとなり、深圳はそれよりずっと早く発展していくだろう。」との専門家の見方を紹介している。
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