国際通貨基金(IMF)は23日、3カ月毎の経済見通しを発表し、2019年と20年の世界経済の見通しをそれぞれ3.2%、3.5%とし、前回4月時点の予測から0.1ポイントずつ引き下げた。世界の成長率の下方修正は、昨年10月以降で4回連続となる。
『ロイター通信』や
『AP通信』などの報道によると、IMFは、米中貿易摩擦の激化などにより景気の下振れリスクが高まっているとして、最新の世界経済の見通しを引き下げた。IMFは同時に、多国間の協調により、貿易摩擦や通商協定に関する不透明性を解消し、世界貿易機関(WTO)の規則の施行継続や各種改革などを呼び掛けている。
IMFは今回の報告で、米中貿易摩擦や中国景気の予想外の減速、英国の欧州連合(EU)からの無秩序な離脱の可能性やユーロ圏経済の回復の遅れ、中東情勢の混乱といった地政学的リスクなどが、成長を弱める要因となり、各国の投資を減らし、サプライチェーンを妨げる恐れがあると警告した。...
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『ロイター通信』や
『AP通信』などの報道によると、IMFは、米中貿易摩擦の激化などにより景気の下振れリスクが高まっているとして、最新の世界経済の見通しを引き下げた。IMFは同時に、多国間の協調により、貿易摩擦や通商協定に関する不透明性を解消し、世界貿易機関(WTO)の規則の施行継続や各種改革などを呼び掛けている。
IMFは今回の報告で、米中貿易摩擦や中国景気の予想外の減速、英国の欧州連合(EU)からの無秩序な離脱の可能性やユーロ圏経済の回復の遅れ、中東情勢の混乱といった地政学的リスクなどが、成長を弱める要因となり、各国の投資を減らし、サプライチェーンを妨げる恐れがあると警告した。世界の貿易活動にも悪影響をもたらすとしている。
貿易高の伸び率は、今年の第1四半期に約0.5%と2012年以降で最低を記録し、特にアジア地域の新興国での減速が顕著だった。IMFは今年の伸び率を16年以降で最低の2.5%と予測しており、4月時点の3.4%から大幅に引き下げた。20年には回復を見込んでいるものの、前回から0.2ポイント下げて3.7%とした。
各国別の見通しとしては、米国については利下げを見通し、トランプ大統領の通商政策の悪影響を相殺するとして、19年は2.6%と前回から0.3ポイント引き上げ、20年は1.9%と据え置いた。中国経済は、米国の関税拡大などで、19年は6.2%、20年が6.0%と0.1ポイントずつ引き下げた。天安門事件で経済制裁を受けた90年以来の低い伸びとなる。
ユーロ圏については、19年が1.3%で変わらず、20年が1.6%と0.1ポイント引き上げた。新興国・開発途上国の見通しは、19年が4.1%、20年が4.7%と、前回からそれぞれ0.3ポイント、0.1ポイント予測を下げた。中南米は、19年について大きく下方修正して0.6%と0.8ポイントも引き下げた。経済規模が大きいブラジルとメキシコや、アルゼンチンでの低迷が影響するとしている。20年は0.1ポイント低下の2.3%とした。
日本については、輸出や生産に弱さがあるとして、19年が0.9%、20年が0.4%と、ともに0.1ポイント下方修正した。今年10月の消費税増税の際の景気対策により、成長の不安定さは和らげられるとしている。
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