米新興企業のハーミアスは、音速の5倍の速度で飛行する極超音速旅客機の開発計画を発表した。本計画が成功すれば、現在7時間以上を要する米ニューヨークと英ロンドン間が、わずか90分ほどで結ばれることとなる。大西洋横断の商用飛行に革命的な変化をもたらすものとして期待されるが、開発には相当の時間が必要とみられている。
米
『CNN』『Foxニュース』、英
『サン』などが22日までに、ハーミアス(Hermeus) の開発計画を報じた。同社は米ジョージア州アトランタに拠点を構える新興の航空宇宙企業であり、金額は明らかにしなかったが、投資家などから開発資金を確保したという。
極超音速機の開発は、既に航空機大手など数社が手がけている。米ボーイングは2018年6月に極超音速旅客機の開発計画を明らかにした。米ロッキード・マーティンやアエリオンも取り組んでおり、ハーミアスが新たに開発競争に名乗りを上げた。...
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『CNN』『Foxニュース』、英
『サン』などが22日までに、ハーミアス(Hermeus) の開発計画を報じた。同社は米ジョージア州アトランタに拠点を構える新興の航空宇宙企業であり、金額は明らかにしなかったが、投資家などから開発資金を確保したという。
極超音速機の開発は、既に航空機大手など数社が手がけている。米ボーイングは2018年6月に極超音速旅客機の開発計画を明らかにした。米ロッキード・マーティンやアエリオンも取り組んでおり、ハーミアスが新たに開発競争に名乗りを上げた。
同社の極超音速機の巡行速度は時速3,300マイル(約5,300キロ)、航続距離は4,600マイル(約7,400km)で、計画が成功すれば、英仏共同開発の超音速旅客機コンコルドの2倍超の速度で大西洋を横断することとなり、革命的な変化をもたらす可能性がある。
ハーミアスの共同創業者のAJ・ピプリカ最高経営責任者(CEO)は、同社のウェブサイトの声明で、「我々は世界の交通インフラを変革する旅に出発した。長距離の旅のスピードを劇的に増すことにより、(ネット接続が)ダイヤルアップからブロードバンドの時代に移行したように変革をもたらす。」と強調した。
しかしながら、専門家は、極超音速機は大きな推進力を生む進化した種類のエンジンが必要であり、旅客機の開発には時間を要すると指摘する。また、燃料を大量に使用することにより、経済効率や環境面での問題も乗り越える必要があるという。ピプリカCEOは米メディアに対し、旅客機の開発には10年かかると述べ、技術の結集と試験飛行の繰り返しが大きな課題であるとした。また、ニューヨーク・ロンドン間の極超音速機による航空運賃は、片道3,000ドル程度(約33万円)になると説明した。
ハーミアスの創設には、テスラのイーロン・マスク氏の米宇宙開発企業スペースXや、アマゾンのジェフ・ベゾス氏の米航空宇宙企業ブルー・オリジンの元従業員も参加している。4人の創業者は全員、ジェネレーション・オービット社で極超音速ロケット機や米空軍の最新の実験機Xプレーンの開発を行っていた。
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