今週末、中国主催の国際開発会議(チャイナ・ディベロップメント・フォーラム、CDF、注後記)が北京で開催されている。同会議には、中国の通商関係高官はもとより、世界中から大手企業の幹部らが出席している。同会議において、米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、中国のみならず、世界経済発展のため、中国はもっと市場開放する必要があると訴えた。ただ、中国メディア報道では、同CEO発言は中国市場を称える内容となっている。なお、同会議に日本側からは、中西宏明経団連会長を筆頭に、大手銀行、保険会社、総合商社、メーカー等の代表が出席している。
3月23日付米
『ロイター通信』:「米アップルのクックCEO、世界経済発展のため中国市場開放を強調」
米アップルのティム・クックCEOは3月23日、米中貿易紛争が続く中、中国に対して市場開放をもっと進めるべきとし、また、将来は世界が協力し合うことが必要だと訴えた。
現在北京で開催されている、CDF第20回会議において発言したもので、同CEOは、中国の市場開放は中国自身の可能性を高めるだけでなく、世界経済の繁栄のために不可欠だと強調した。...
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3月23日付米
『ロイター通信』:「米アップルのクックCEO、世界経済発展のため中国市場開放を強調」
米アップルのティム・クックCEOは3月23日、米中貿易紛争が続く中、中国に対して市場開放をもっと進めるべきとし、また、将来は世界が協力し合うことが必要だと訴えた。
現在北京で開催されている、CDF第20回会議において発言したもので、同CEOは、中国の市場開放は中国自身の可能性を高めるだけでなく、世界経済の繁栄のために不可欠だと強調した。
中国政府はこれまで、市場開放を続けていくと宣言しているが、専門家の見方によると、そのスピードが減速しつつあり、特に習近平(シー・チンピン)指導体制になってからは、むしろ後退しているという。
そして、習国家主席の方針で、私企業を犠牲にして、国営企業をより大きくしようとしていると懸念している。
なお、クックCEO発言の背景には、特に中国市場における競争の激化等に伴う同社スマートフォン販売の低迷が挙げられる。
同社が発表した昨年10~12月期の中国市場における売上高は、前年同期比▼26%も下落している。
一方、当日付中国『環球時報』:「米アップルのクックCEO、中国市場の拡大に期待」
北京で開催中のCDFに3年連続して出席している米アップルのクックCEOは、中国市場は今後も拡大し続け、世界経済の発展に寄与していくものと期待すると述べた。
アップルのiPhoneは、中国ブランドの小米(シャオミー)科技や華為(ファーウェイ)技術製品に押され、中国市場での販売が低迷しているが、同CEOは、短期的な結果に固執しないで、中国市場の長期的展望に期待して挑戦していくと付言した。
なお、同CDFには、世界主要国から150人以上の企業トップが出席しており、その3分の2が、フォーチュン500社(米経済誌フォーチュンが発表する世界のトップ企業番付)の会長やCEOである。
(注)CDF:中国国務院(内閣に相当)開発研究センター(DRC)及び中国開発研究財団が主催して、毎年3月に北京で開催。第20回の2019年会議のテーマは、“共に利益となる協力関係構築のための偉大な幕開け”。DRCの李偉(リー・ウェイ)センター長と独ダイムラー社のディーター・ツェッチ会長が共同議長。主要国の大手企業幹部ら数百人が列席。
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