習近平(シー・チンピン)指導部は、“一帯一路経済圏構想(OBOR)”政策の下、中央・東南・南アジアからアフリカの途上国向けに港・鉄道・道路等のインフラ建設攻勢をかけてきている。南アジアのスリランカにおいても、OBOR政策の一環でのシーレーン(真珠の首飾り戦略)上の重要拠点のひとつとして、同国南端のハンバントタ港に親国際港湾を建設した上で、資金繰りに喘ぐ同国より、向こう99年間の港湾運営権を取得している。これに対して日本は、長らく同国に支援をしてきたこと、更に、中国影響力増大で航行の自由が制限されることを懸念して、同国西部の首都コロンボに海上自衛隊保有の最大級のヘリコプター搭載護衛艦を寄港させ、中国牽制に努めている。一方、経済支援にもつながる中国人旅行者のスリランカ訪問は、同国にとって2番目となる程増大しており、この点で日本は遥かに中国に差を付けられている。
10月6日付米
『ロイター通信』:「スリランカへの中国影響力増大を牽制するため、海上自衛隊の護衛艦が同国に寄港」
海上自衛隊保有する最大級のヘリコプター搭載護衛艦“かが”が9月30日、スリランカ首都のコロンボに寄港した。
日本は、同国西部のコロンボ港を国際港湾に増強し、欧州・中東とアジアを結ぶ国際航路の経由地とすべく、これまで長い間同国に低金利の融資を提供してきた。
しかし、ここ数年、中国がOBOR政策の一環で、同国南部のハンバントタ港に国際港湾を建設し、同国資金難を利用して、超長期間の港湾運営権を取得する等、同国への影響力を増大してきている。...
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10月6日付米
『ロイター通信』:「スリランカへの中国影響力増大を牽制するため、海上自衛隊の護衛艦が同国に寄港」
海上自衛隊保有する最大級のヘリコプター搭載護衛艦“かが”が9月30日、スリランカ首都のコロンボに寄港した。
日本は、同国西部のコロンボ港を国際港湾に増強し、欧州・中東とアジアを結ぶ国際航路の経由地とすべく、これまで長い間同国に低金利の融資を提供してきた。
しかし、ここ数年、中国がOBOR政策の一環で、同国南部のハンバントタ港に国際港湾を建設し、同国資金難を利用して、超長期間の港湾運営権を取得する等、同国への影響力を増大してきている。
2050年までに海軍を世界最大級に押し上げるとしている中国は、潜水艦等を西太平洋を越えてインド洋まで派遣してきている。一方日本も、安倍晋三政権の下で軍事的影響力を高めてきている。
護衛艦“かが”司令官の福田達也少将は、日本政府のインド太平洋海域における自由な航行を確保するとの方針の下、今回の本艦のアジア太平洋地域への派遣が行われたものとコメントした。
同艦は、スリランカに向かい南シナ海を航行途上、フィリピン及びインドネシアとそれぞれ共同海上訓練を実施しているが、このためもあってか中国のフリゲート艦が南シナ海を追尾してきていた。
また、コロンボ港寄港前に英国海軍とも共同訓練を行い、中国側を牽制している。
スリランカ外務省のマヒシニ・コローン報道官は、インド洋内の港湾拠点として、また、インド洋における自由で開かれた航行を確保するため、日本も含めた数々の同盟国の艦船の寄港を歓迎すると述べた。
なお、河野太郎外相が今年1月、日本の外相として16年振りに同国を訪問しており、また、防衛相も8月に(中国が進出している)ハンバントタ港を視察している。
一方、同日付中国『新華社通信』:「9月のスリランカ向け中国人旅行者数が3.5%増」
スリランカ観光省は10月6日、9月のスリランカ訪問の中国人旅行者は19,600人と、前年同月比+3.5%増となり、インドに続いて2番目の訪問客数となったと発表した。
3番目以下は英国、ドイツ、豪州と続く。また、総数では14万9,087人と+2.8%増となっているという。
1~9月までの期間においても、中国人旅行者は累計20万9千人と、同国訪問者総数170万人の12%余りを占めている。
同国のジョン・アマラトゥンガ観光相は、中国人旅行者向けのキャンペーンが奏功して、同訪問者数の大幅増に結びついているとみられると語った。
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