これは、歴史上最大のロシア外交官追放と言える。20カ国以上が英国と連携して100人以上の外交官の追放が発表された。
ロシアは「挑発的行為」に報復することを誓った。同国は、イングランド南部のソールズベリーでセルゲイ・スクリパリ氏とその娘ユリアが襲撃されたことへの関与を全面否定している。依然として二人は重体だが安定した状態にある。
EU各国は、先週、ロシアがこの襲撃事件の背後にいる可能性が高いことに合意した。...
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これは、歴史上最大のロシア外交官追放と言える。20カ国以上が英国と連携して100人以上の外交官の追放が発表された。
ロシアは「挑発的行為」に報復することを誓った。同国は、イングランド南部のソールズベリーでセルゲイ・スクリパリ氏とその娘ユリアが襲撃されたことへの関与を全面否定している。依然として二人は重体だが安定した状態にある。
EU各国は、先週、ロシアがこの襲撃事件の背後にいる可能性が高いことに合意した。英メイ首相は「プーチン政権は、ユーラシア大陸及び世界の、共通の価値観と利益に反する攻撃的な行為をとっている。EUやNATOと肩を並べ、この脅威に立ち向かっていくつもりだ」と述べた。ボリス・ジョンソン外相も、英国同盟国の「類まれな国際的対応」を称賛した。
ロシア外務省は、各国の動きは「対立的な道筋」を示していると語った。「これらの国々の非友好的行為に我々が気づいていないはずはなく、報復することは言うまでもない。」
英国は今月初めにロシア外交官23人の追放を発表した。他国も26日、この動きに協調することを決定した。現在、国外追放を命じられたロシア外交官の人数は以下のとおり。
米国:60名
EU諸国:フランス(4名)、ドイツ(4名)、ポーランド(4名)、チェコ共和国(3名)、リトアニア(3名)、デンマーク(2名)、オランダ(2名)、イタリア(2名)、スペイン(2名)、エストニア(1名)、クロアチア(1名)、フィンランド(1名)、;ハンガリー(1名)、ラトビア(1名)、ルーマニア(1名)、スウェーデン(1名)
ウクライナ:13名
カナダ:4名、さらにロシアからの申請3件の却下
アルバニア:2名
オーストラリア:2名
ノルウェー:1名
マケドニア:1名
アイスランドもロシア当局とのハイレベルの対話を中止し、首脳は6月にロシアで開催されるワールドカップには出席しないと発表した。
英国は今月初めに、ワールドカップに閣僚や王室メンバーを派遣しないと述べた。
オーストリア、ギリシャ、ポルトガルなどは、外交官追放の予定はないが、英国を支持し、神経剤襲撃を非難している。
タスク欧州委員委員長は先週、ソールズベリー襲撃に関する会合の結果、EU加盟国がロシアの外交官を追放することを決めたと述べた。「さらなる追放を含む追加の措置が、今後数日及び数週間以内に取られる可能性がある」と同氏は述べた。
米国務省は声明のなかで、「同盟国である英国に対するこの攻撃は、無数の無実の命を危険にさらし、警察官をはじめとする3人に重大な傷害をもたらした。攻撃は化学兵器禁止条約への違反と国際法違反だ。」と発表した。米国はワシントンにあるロシア大使館の48人の特使を追放し、ニューヨークの国連では12人を追放する。また、シアトルにあるロシア領事館閉鎖を命じる。
団結の明確な表れだ(BBC外交特派員、 ジョナサン・マーカス氏)
今回の件は、ロシアのクリミア侵攻以来、ロシアと西欧諸国間の最も深刻な外交危機に発展している。
ロシアは否定しているが、英国同盟国は、ソールズベリーでの軍用神経剤使用にロシアが関わっている可能性が高いとの見解を明確に認めている。
米国とEU諸国によるロシア外交官追放は、英国と団結する姿勢の明確な表れである。英国とEUの関係が、英国EU離脱交渉のため緊迫しているにもかかわらずだからだ。
欧州委員会ドナルド・タスク委員長は「追加措置」がある可能性を示唆している。
本件は、メイ首相の外交的勝利だと言える。同盟国からの言葉での支持に続いて、協調した行動に発展しているからだ。また、ロシアに対するトランプ政権の立場を大変厳しいものにしている。
米国は緊張を強める(BBC News、ワシントン駐在クリス・バックラー氏)
先週のプーチン大統領との電話会談で、米大統領はソールズベリーでの襲撃に言及せず、大統領再選についても米当局の助言に反して祝福の意を伝えた。
しかしここにきて外交官追放という態度の変更は、米国内やその他の地域でのロシアの活動について真の懸念を抱いていることを示している。2年前の大統領選介入疑惑に加えて、ロシアは、スパイ容疑や重要なインフラを標的にしたサイバー攻撃で非難されている。シアトルのロシア領事館閉鎖は、こういった具体的な懸念を反映している。潜水艦の基地と航空宇宙企業のボーイングがどちらもシアトル近くにあるからだ。
ロシアの外交的報復は避けられないとみられる。ロシア大使館は、ツイッターでフォロワーに、どの米国領事館を閉鎖すべきかの投票に参加するよう呼びかけた。
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