【Globali】
プーチン露大統領、マクロン仏大統領と首脳会談(2017/05/30)
5月29日の
『Reuters』 、
『The Washington Post』 は5月29日フランスを訪れたプーチン露大統領とマクロン仏大統領のヴェルサイユ宮殿での首脳会談を伝えている。前週末のG7首脳会議ではロシア、ウクライナ問題等が重要な議題になったが、マクロン仏大統領はG7後に初めてプーチン露大統領と会談した西側指導者になる。会談は予定よりも1時間以上長く続いたが、 会談後シリア問題とイスラム国への対応への仏露の協力に関する共同声明を発表した。一方でマクロン仏大統領はロシアのメディアを偽ニュースだと非難した。マクロン仏大統領は今回の会談を、ロシアとの関係を再構築する第一歩に過ぎないとし意見の不一致があっても時間をかけて率直に直接的に多くを語り合うとした。プーチン露大統領は国連安全保障理事会の常任理事国であり核保有国であるロシアとフランスの緊密な協力の必要性を強調した。
マクロン仏大統領はプーチン露政権の出資するロシアのメディアのSputnikとRussia todayが報道機関ではなく重大な偽ニュースにより宣伝工作をする機関で自分や自分の選挙キャンペーンに悪影響を与えたと非難した。マクロン仏大統領によるプーチン露大統領の招待は、自身の選挙陣営へのハッキングを含め仏大統領選挙へのロシアの干渉問題に対し厳しい姿勢をこれまでマクロン仏大統領がロシアに取って来たことから驚きをもって迎えられた。...
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マクロン仏大統領はプーチン露政権の出資するロシアのメディアのSputnikとRussia todayが報道機関ではなく重大な偽ニュースにより宣伝工作をする機関で自分や自分の選挙キャンペーンに悪影響を与えたと非難した。マクロン仏大統領によるプーチン露大統領の招待は、自身の選挙陣営へのハッキングを含め仏大統領選挙へのロシアの干渉問題に対し厳しい姿勢をこれまでマクロン仏大統領がロシアに取って来たことから驚きをもって迎えられた。プーチン露政権は5月7日に仏大統領選挙への干渉を強く否定した。プーチン露大統領は5月29日再びこの問題を根拠のない報道機関の推測と否定した。プーチン露大統領はル・ペン仏国民戦線党首をロシアと友好関係を築くことを望んでいる政治家として大統領に落選したのは不思議だったと述べ、またル・ペン党首との会合は仏大統領選を混乱させるつもりではなかったとし、ロシアはマクロン仏大統領候補の勝利を予測する世論調査をよく理解していたと付け加えた。
マクロン仏大統領はロシアが支持するシリアのアサド政権の化学兵器使用はフランスにとって超えてはならない赤い線であり、フランスからの即時の報復につながると述べた。この報復内容を特定しなかったが、フランスは国際連合の一員としてイスラム国打倒のためシリアとイラクに戦闘機を飛ばすことになる。仏露両首脳はテロ対策に向けてより緊密な協力の道を探り、専門家の交流を協議することで合意した。プーチン露大統領はシリア国家を維持することの重要性を強調しテロとの戦いに不可欠であると述べた。マクロン仏大統領は同様に民主的な移行を図りながらシリア国家を維持してほしいとし、破綻した国家は民主主義の脅威でありテロリズムの燃料となると述べた。
マクロン仏大統領はプーチン露大統領にチェチェンでのLGBTの権利とロシアで闘争するNGOの権利について注視していると述べた。また、両首脳は独仏両国がロシア、ウクライナ問題を仲介する「ノルマンディー形式」でウクライナの新たな平和協議を行うことについて合意したと述べた。
首脳会談後、プーチン露大統領はセーヌ川近くの新しく建てられた聖トリニティ大聖堂を含むロシア正教会の精神文化センターを訪れた。この訪問は昨年10月に予定されていたが、仏オランド大統領がシリア問題に絡みロシアを非難したため延期されていた。この土地は仏人権団体からの批判があった中で、サルコジ元仏大統領によりロシアに売却された。プーチン露大統領の今回の仏訪問理由はピョートル露大帝のパリ旅行300周年にちなむヴェルサイユ宮殿での展覧会を見学することだった。しかしこの会談は仏露両首脳を分断するすべての厄介な問題を乗り越え、どこに共通点があるのかを見極める機会になった。
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