12月13日付
『ロイター通信』は、「エア・インディア、500機ものジェット機の大型購入契約締結間近」と題して、インド国内のみならず、国際航空市場でも業容を大規模発展させるため、近来稀に見る大規模発注を行う見込みだと独占報道している。
エア・インディア（AI、1932年前身設立）は、間もなくエアバス（1970年設立）及びボーイング（1934年設立）から合計500機ものジェット機を買い付ける契約を、数日中に締結する見込みである。...
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12月13日付
『ロイター通信』は、「エア・インディア、500機ものジェット機の大型購入契約締結間近」と題して、インド国内のみならず、国際航空市場でも業容を大規模発展させるため、近来稀に見る大規模発注を行う見込みだと独占報道している。
エア・インディア（AI、1932年前身設立）は、間もなくエアバス（1970年設立）及びボーイング（1934年設立）から合計500機ものジェット機を買い付ける契約を、数日中に締結する見込みである。
航空事業関係者が12月11日、匿名を条件に『ロイター通信』に語ったもので、親会社のタタ・グループ（TG、1868年設立、インド最大の財閥複合企業）がAIをインド国内の別の航空会社と合併させて事業拡大を図る一環で実施されることになるという。
発注見込みジェット機は、400機のナローボディ機及び100機のワイドボディ機で、エアバスA350（中～大型ワイドボディ機、約170～370席）、ボーイング787（長距離用中型ワイドボディ機、約250席）・777（大型ワイドボディ機、約400席）が含まれるという。
かかる大型発注案件は、世界最大の航空会社アメリカン航空（1930年設立）が、10年ほど前にエアバス及びボーイングから合計460機を買い付けて以来の事態であり、実施されれば世界最大規模の発注となる。
対象機のメーカー希望小売価格を合計すると1,000億ドル（約13兆8千億円）超となるが、仮に大量割引が適用されたとしても、数百億ドル（10兆円超）に上るとみられ、新型コロナウィルス感染流行問題で大打撃を受けた航空機メーカーにとって救いの神となる契約となろう。
今回、大型発注の話となる背景は、AI親会社のTGが、シンガポール航空（1947年設立）と共同出資しているビスタラ航空（2014年設立、拠点デリー）とAIを合併させ、インド国内のみならず国際航空業界でも大手航空会社の仲間入りをしようとしたことである。
そもそもAIは、1953年に国営化されていたものの、特に2000年代に度重なる資金問題にさらされて、航空会社としての信頼度含めて低評価されるに至っていた。
そこでTGが今年1月、再びAIを子会社化することとなり、以降、インド国内最大のインディゴ航空（2006年設立）を追い越すのみならず、デリー空港やムンバイ空港発着国際線を牛耳っているエミレーツ航空（EA、1985年設立、拠点アラブ首長国連邦・ドバイ）を凌駕しようと目論んでいる。
今回の大規模発注は、顕著な経済成長に伴い、世界最速ペースで拡大を続けるインドの航空旅行市場需要に適うものであり、また、ナレンドラ・モディ首相（72歳、2014年就任）が標榜する、インド国内総生産（GDP）を5兆ドル（約690兆円）の大台に乗せるとの目標実現にも貢献することになるものである。
（編注；2021年世界GDPランキングは、①米国23兆ドル、②中国18兆ドル、③日本5兆ドル、④ドイツ4兆ドル、⑤英国3兆ドル、⑥インド3兆ドル）
ただ、航空業界専門家は、AIが目論む業容拡大には多くの困難が待ち受けるとする。
例えば、貧弱な国内インフラ施設、パイロット不足、更には、強力な支配力を有するEA他大手航空会社との熾烈な競争にさらされることになるからである。
また、AIが発注対象としているエアバスA321neo（長距離用中型ナローボディ機、約240席）が、少なくとも2028年まで完売となっている。
『ロイター通信』は今年7月、AIが想定しているエアバスA350やボーイング787・777の導入検討には時間がかかる、と報じていた。
しかし、AIのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者（51歳、2022年就任）は先月、今後5年間でAIの保有航空機を“飛躍的に増加”させる意向だとし、“控えめな表現としても、当該投資は現実的なものである”と発言していた。
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