ここ数ヶ月、インフレ率はユーロ圏で4.9%と記録を更新している。これは20年来の最高水準となる。バルト三国、ベルギー、スペイン、オランダ、そして欧州最大の経済大国であるドイツでは6%と、高いインフレが続いている。
仏放送局
『RFI』は、新型コロナウイルスの流行が落ち着いてきたと同時に、消費の回復と景気の回復により、需要が爆発的に増加したと伝えている。供給が需要に追い付かず、サプライチェーンに支障が出ている。コンサルティング会社Tenzing社のエリック・デラノイ社長は、「投資が再開されても、非常に強い需要に生産能力が適応するには時間がかかる。これは1年半にわたって麻痺していた物流回路にも言えることで、例えばルノーでは半導体が不足しているために自動車の製造ができないでいる。サプライチェーンを再構築して販売できるように、物流回路、グローバルな回路を再構築する必要があるが、半年から1年かかる。」と指摘している。
需給調整を妨げているもう一つの問題は、米国のバイデン政権や欧州の景気刺激策などの大規模な景気刺激策により、市場に大量の流動資産が注入されていることだという。
インフレが長期的に継続する可能性については、米国では、巨大な景気刺激策と、家計を支援するために非常にコストのかかる財政措置がとられたため、インフレ圧力が持続する可能性がある。一方、ユーロ圏については、ジュネーブにある国際開発研究所(IHEID)の名誉教授であるチャールズ・ウィプローズ氏は、「この1年間、一時的なインフレであるという主張と、人々は失った購買力を取り戻したがるためにインフレが続くという主張の間で議論が交わされてきた。個人的には、インフレ率は2%から3%程度に戻ると思っている。2022年までは続くが、徐々に落ち着いてくるはずである。しかし、中央銀行や政府が何をするかは分からない。」と語っている。
仏誌『ル・ポワン』によると、単一通貨を採用している19ヶ国の消費者物価は前年比4.9%上昇し、25年前の統計開始以来、最も高い上昇率となった。
フランスでは、11月の1ヵ月間で、サービス価格の上昇が加速する一方、食料品の価格は急上昇し、製造業製品の価格上昇は同じペースで続き、エネルギー価格の上昇は鈍化したという。フランスでは、夏以降、物価上昇が加速し、7月のインフレ率は前年同期比1.2%にとどまったが、8月には1.9%、9月には2.2%となった。
金融ニュースサイト『ブルソラマ』は、コロナの感染再拡大とオミクロン株の出現に直面する中、フランスの政治家たちは、経済活動再開のために不可欠な消費者の自信を崩さないために、インフレに対して安心感を与える発言が目立つと伝えている。なお、フランス銀行は、オミクロン株の発生によって予測が大きく変わることはないと断言し、新型コロナウイルスの波が周期的にやってくるものの、時間の経過とともに経済的な影響が少なくなってきていると指摘している。
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