英国は昨年の日本との、そして今年6月のオーストラリアとの自由貿易協定の合意に続いて、今日、ニュージーランドとの貿易協定に合意した。英国は欧州連合(EU)からの離脱後、世界中で経済的なつながりを拡大しようとしている。
今回の合意について、英
『ガーディアン』は、英国は主要な同盟国であるニュージーランドと貿易協定を結び、中国への依存を食い止めようとしているが、この協定は英国の国内総生産(GDP)に何の付加価値ももたらさないだろうと報じている。
今回の合意で、衣料品、バス、船舶、ブルドーザーなど、さまざまな英国製品にかけられていた10%もの関税が撤廃される一方で、ニュージーランド産のソービニヨンブラン葡萄、マヌカハニー、キウイフルーツの価格が下げられることになる。...
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今回の合意について、英
『ガーディアン』は、英国は主要な同盟国であるニュージーランドと貿易協定を結び、中国への依存を食い止めようとしているが、この協定は英国の国内総生産(GDP)に何の付加価値ももたらさないだろうと報じている。
今回の合意で、衣料品、バス、船舶、ブルドーザーなど、さまざまな英国製品にかけられていた10%もの関税が撤廃される一方で、ニュージーランド産のソービニヨンブラン葡萄、マヌカハニー、キウイフルーツの価格が下げられることになる。
英国とニュージーランドの貿易額は現在、年間23億ポンド(約3624億円)に達しているが、英政府は、この協定によって中小企業のニュージーランド市場への参入が容易になるとともに、先端技術やサービスを提供する企業にとっての障壁が取り除かれるため、貿易額が増加すると予測している。
この協定は、日本との間で締結された貿易協定や、オーストラリアとの間で基本合意された協定に続くものであり、英国のこの地域への注力は、ジョンソン首相の10年計画の一環であり、英国の外交政策の焦点をインド太平洋に傾け、この地域の民主主義国の同盟と地位を強化し、中国に対する競争力を高めることを目的としているという。
ニュージーランドは中国との貿易依存度が高く、輸出の30%以上が中国市場向けとなっている。ニュージーランドのマフタ外相は、オーストラリアが経験している貿易戦争のような地政学的危機に対する脆弱性を軽減するために、輸出業者に輸出先の多様化を促すことを提案していた。
ニュージーランドの野党党首であるジュディス・コリンズ氏も今月、ガーディアン紙に対し、自由貿易協定なしでは、米国と英国はインド太平洋地域における中国の支配に「扉を開いたままにしている」と語っていた。
アーダーン首相は、新型コロナが国に教えてくれたこととして、「一次生産者、経済、国民に確実性をもたらすためには、世界に通用する製品はできるだけ多くの選択肢を持たなければならない」と述べている。
この取引により、ニュージーランドのGDPは9億7千万ドル(約0.3%)増加する可能性がある。しかし、英国政府の昨年の分析では、英国のGDPへの影響は、0.01%のプラス成長か-0.01%のマイナス成長の間で、長期的には、限定的な影響にとどまると予測している。
米『abcニュース』によると、英国農民組合(National Farmers Union)のミネット・バターズ会長は、今回の合意に対して「今後数年間、多くの英国の農場の存続が危ぶまれ、より多くの英国産の食品が店頭に並ぶことを望んでいる国民にとっても、農村地域や大切な農地の景観にとっても不利益となる」と述べている。そして、「これらの取引は英国の農業にとって良いものであるという言葉を繰り返すのではなく、政府はこれらの取引がどのように英国の農業、食料生産の未来、そして英国農家の高い水準に、恩恵をもたらすのかを説明する必要がある」と主張している。
一方ニュージーランドでは、1973年に英国が欧州経済共同体(European Economic Community)に加盟した際、ニュージーランドの輸出業者の多くが見捨てられたと感じ、その感情が今でも残っている。アーダーン首相は、この新しい協定は、そのような歴史に終止符を打つ時が来たことを意味すると述べている。
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