今年に入ってからアメリカ合衆国人事管理局の情報がハッキングされ、政府は当初110万人分としていたが、この度さらに560万人分もの指紋情報が流出したことが明らかになった。アメリカの各メディアは以下のように報じている。
9月24日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はアメリカ合衆国人事管理局がハッキングの被害に遭い政府関係者の個人情報が流出した事件について、当初考えられていた数字の5倍以上の560万人の指紋情報が盗まれたと政府が発表したことを伝えている。この情報流出事件は今年に入っから明らかになったもので、約220万人の政府関係者とその家族の情報が流出したものである。
政府の調査関係者はおそらくは中国政府がこの件に関わっているのではないかとみているものの、公に発表はされていない。...
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9月24日付
『ヴォイス・オブ・アメリカ』はアメリカ合衆国人事管理局がハッキングの被害に遭い政府関係者の個人情報が流出した事件について、当初考えられていた数字の5倍以上の560万人の指紋情報が盗まれたと政府が発表したことを伝えている。この情報流出事件は今年に入っから明らかになったもので、約220万人の政府関係者とその家族の情報が流出したものである。
政府の調査関係者はおそらくは中国政府がこの件に関わっているのではないかとみているものの、公に発表はされていない。オバマ大統領も中国の習近平国家主席が訪米の際にサイバー攻撃について強く言及するつもりであるという。サイバー攻撃は企業秘密の分野で両国間の懸案事項となっているのだ。
仮に中国政府が件の情報流出にかかわっていたとしても、政府関係者の個人情報の使い道が今一つ明らかでないという。政府関係者によれば、現時点で情報が悪用された事実は見つかっていないという。また、指紋情報は現時点では不正使用の可能性は低いものの、今後の技術進歩によっては状況は変わり得るという。もっとも、指紋情報の流出は海外での諜報活動に悪影響を及ぼす可能性は否定できないとする。
9月23日付
『フォックス・ニュース』(アメリカ)は個人情報流出の被害者総数は約220万人と、前回の発表以来変化はないものの、指紋情報の流出数が約5倍以上に増えたことを報じ、政府はローマ法王の訪米のタイミングに合わせてこのニュースを発表し、あまり騒がれないようにしたのではないかという共和党議員のザッセ氏のコメントを載せている。また同氏は「この事件は国家安全の危機というよりは政府の広報活動の危機と言っていいいだろう。アメリカ国民は事件の全容が明らかにされたなどとは考えていないし、政府がサイバー攻撃に振り回されていると思っている。」と述べたという。
9月23日付
『ksnt.com』(アメリカ)はこの事件は憶測の域内ではあるものの中国のスパイ活動が関わっているとしたうえで、情報流出が情報提供者を獲得したり、海外でのスパイの発見に利用されるだろうと報じている。また、この事件により人事管理局の局長は辞任したことを伝え、関係者はこの事による被害は長引くものの、その実態は公にはされないだろうと語ったという。
9月24日付
『ワールド・ネット・ダイアリー』(アメリカ)では指紋情報がどのように利用されうるのかについて述べている。インターネットでの人権保護活動団体「電子フロンティア財団」によるとまず、指紋情報はFBI(連邦捜査局)に送られ身元調査に使用されるという。その後そのデータは保管され、犯罪捜査目的にも利用されるという。そしてFBIが今年実施したプライバシー影響評価(情報提供者のプライバシーへの影響を事前に評価する仕組み)によると、指紋情報はFBIのデータベースに保管され、指紋情報を提出した時点で犯罪者情報と一致しなくても一日に数千回も行われる、法執行機関による照合に使用されるという。
アメリカ政府は指紋情報流出による実害は生じていないとするものの、個人がピンポイントで特定される情報なだけに苦しい言い訳にも聞こえる。
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