医学雑誌「LANCET」に掲載された最新の論文では、2017年に提言された9つの生活習慣リスク(幼少期の教育、高血圧、肥満、難聴、うつ病、糖尿病、運動不足、喫煙、社会的孤立)に加え、3つの生活要因(アルコール摂取、中年期における頭部への損傷、高齢期における大気汚染)が認知症のリスクを高めると指摘し、生活スタイルの変化で、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとしている。
7月30日付英国
『ガーディアン』は「生活スタイルの変化で認知症の4割が発症を遅らせるか減らせる」との見出しで以下のように報道している。
過度の飲酒、空気汚染、頭部損傷が認知症のリスクを高めると専門家が指摘。12の生活要因により、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとする最新エビデンスを集めた「ランセット」の報告論文。世界の認知症患者は約5000万人、イギリスでは85万人で、2040年までに1200万人を超えると予想されている。...
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7月30日付英国
『ガーディアン』は「生活スタイルの変化で認知症の4割が発症を遅らせるか減らせる」との見出しで以下のように報道している。
過度の飲酒、空気汚染、頭部損傷が認知症のリスクを高めると専門家が指摘。12の生活要因により、世界の認知症の40%は発症を遅らせるか防ぐ事が出来るとする最新エビデンスを集めた「ランセット」の報告論文。世界の認知症患者は約5000万人、イギリスでは85万人で、2040年までに1200万人を超えると予想されている。治療法は今のところまだないが、遺伝子や人種など変えられないリスク因子が存在する一方で、多くは生活スタイルによるもので防ぐ事が可能だと考えられる。論文の共著者でロンドン大学の老年精神医学博士は、どの年齢層でもリスクを下げる行動をとることが可能であり、遺伝子リスクの有無にかかわらず発症の可能性を軽減できるという。
認知症の三分の一は9つの生活習慣(中年期の聴力喪失、鬱、幼少期の教育の不足、喫煙など)により防ぐことが可能だ。世界の認知症の1%は中年期の過度の飲酒、3%は中年期の頭部への損傷、2%は老年期の大気汚染が要因となりうるとしている。個人レベルで改善できるものもあるが、多くは政府主導の改善が必要となる。
論文著者は、ジョンソン首相による、肥満防止策(肥満や運動不足がリスク要因)やコロナによる死者を減らす対策を評価。米国では認知症発症者が過去30年間十年ごとに15%減っており、喫煙者が減るなど生活スタイルの変化によると思われる。だが、発症者数は寿命が延びたため増加している。コロナ禍により、医学研究基金が平均40%減額されていることもあり、研究の重要性を訴える。生活スタイルによるリスク要因に個人、そして社会で、取り組む事が重要だとする。
同日付中東『The National』は「12のリスク要因を減らす事で40%認知症が防げる」との見出しで以下のように報道している。
12のリスク要因を減らせば、40%の認知症が抑えられるとの研究報告。ランセット医学ジャーナルは、2017年の論文で示された9つの要因に加え、3つの新たな要因が見つかったという。それらは、アルコール摂取、中年期における頭部への損傷、高齢期における大気汚染にさらされることである。これらが6%認知症発症に起因しているという(3%が頭部損傷、1%が中年期の過度な飲酒(週に21杯以上)、2%が後年の大気汚染)。
また、多くの認知症ケースに関連した要因に、幼少期の教育の欠如(7,8%)、中年期の喫煙(5%)との関連がみられるという。現在の認知症発症者は5千万人だが、2050年までに低所得国と中所得国(3分の2を占める)で増加し、1億5200万人に達すると予想されている。
神経変性疾患は、本人、家族、経済へ影響を与え、世界のコストは年間1兆ドルと言われている。しかし特定の国では、高齢の認知症患者の占める割合が低く、教育、栄養状態、ヘルスケアの改善や生活スタイルの変化が要因とみられており、予防することにより認知症の発症率を下げることができることを示している。論文では、リスクを下げるため、全ての子どもへの初等中等教育、アルコール摂取を減らす、頭部への損傷を防ぐ、大音量から耳を守るためイヤホンの使用を避ける、大気の状態を改善すること等9つの提言をしている。
この9つのリスク起因は35%だが、途上国ではその割合は高くなり、中国,インドでは40%前後、ラテンアメリカでは56%となる。
また、認知症患者は、年齢、高血圧などの既往症によりコロナ感染リスクも高くなると考えられ、ガイドラインを理解し守る事が追いつかず、フィジカルディスタンスを取るのも難しくなると指摘している。
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トランプ大統領の先行き不透明な政策が日常茶飯事で横行する中、アメリカの経済学者らによる月曜日発表の調査結果によれば、「近々ではアメリカ経済が急激な不景気に襲われることはないが、そのリスクは十分ある。」との旨、発表された。
The National Association for Business Economics (NABE)の四半期ごとの調査によれば、
経済成長の予測については6月の調査結果からは概ね変化はなく、「2017年は2.2パーセントで2018年は2.4パーセント」との結果となった。しかし、9月の調査では、50人の経済学者によれば、48パーセントの人は景気が今後下降するだろうと予測し、43パーセントの人は予測よりも景気はよくなるとした。
NABEの調査アナリストのケン・シモンソン氏は、「このやや悲観的な予測が生じる背景には様々な要因が考えられる。」と主張する。
同氏によれば、第一の要因としては、「北朝鮮の核問題と連邦準備銀行の金融引き締め」が考えられるという。また、「トランプ政権の政策にサクセスストーリーが少なく、景気に対する楽観主義の雰囲気がなくなりつつある。」と答えている。しかし、あくまで「経済成長が鈍化するだけで不景気になることはないでしょう。」とも答えている。
また、トランプ政権下では、減税についても2018年までに策定される見通しになっていたが、「公約通り行われることを期待している人の割合」も、6月の調査の83パーセントから73パーセントと下降している。シモンソン氏も「今のトランプ政権下ではホワイトハウスの政策が両極化して分裂状態なので、本当に2018年度に税制改革が行われるのか疑問です。」とトランプ政権への不信感を隠しきれないという。
しかし、経済学者らは、連邦準備委員会が徐々に利子率を上げることを期待していて、アナリストも12月に利子率引き上げの絶好のチャンスがあると予測しているという。
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