フランスで16日、15~16歳を対象に新しい兵役の形となる「普遍的国民奉仕」制度が試験的に開始された。今年度は参加者2千人を募り、13の県で実施されている。次年度は4万人に対象が広げられ、将来的には全国の高校1年生が対象となる。この制度を通じて、愛国心を高め、またテロや災害に備えた危機対応力を身に付けてもらうことが目的となっている。
「普遍的国民奉仕」制度は3つのステージで構成されている。第1ステージは、「融合のフェーズ」と呼ばれ、2週間の合宿生活を行う。第2ステージは、「公共利益のための奉仕」と呼ばれ、2週間の奉仕活動を行う。自分の好きな県での活動を選択することができる。
第3ステージは強制ではなく、希望者のみより長期的な奉仕活動に携わることができる。
『France 24』によると、今回の試験的実施に応募した約4千人の応募者のうち、障害者50人を含む2千人の若者が選ばれた。...
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「普遍的国民奉仕」制度は3つのステージで構成されている。第1ステージは、「融合のフェーズ」と呼ばれ、2週間の合宿生活を行う。第2ステージは、「公共利益のための奉仕」と呼ばれ、2週間の奉仕活動を行う。自分の好きな県での活動を選択することができる。
第3ステージは強制ではなく、希望者のみより長期的な奉仕活動に携わることができる。
『France 24』によると、今回の試験的実施に応募した約4千人の応募者のうち、障害者50人を含む2千人の若者が選ばれた。参加者は自分の居住県以外の県にある国民奉仕受け入れセンターに配属された。今回のパイロット版に協力した各県では、寄宿舎、休暇村、大学キャンパスなどを受け入れセンターとして使用している。
また参加者は、高校生、中途退学者、実習生や職業訓練生が混ざった形でのグループ分けとなっている。第1ステージの合宿生活では、全員が制服を着て過ごし、毎朝6時半に起床し、国旗敬礼と国歌斉唱で1日を始める。
期間中、応急処置の訓練、地図の読み方、状況別緊急対応訓練、その他のスキルを教わる。
軍事精神を基本とした制度であるため、国民奉仕センターは「旅団長」によって管理される。宿泊施設は5棟の各定員10人の建物で構成されている。各建物には大人の管理人がいるものの、10代の若者達が自分たちで家事を分担し家を管理する。
ガブリエル・アタル国民教育・青少年大臣付副大臣が『Le Parisien』に語ったことよると、参加者は防衛問題、持続可能な開発、共和国の価値についてなど、多様なカリキュラムを受ける。一日の終わりに1時間の自由時間が与えられ、その時間にのみ携帯を使用することが許される。
夜は、差別や過激主義など様々な社会問題ついての討論会に参加する。17日夜は、フランスの女子サッカーチームの試合の後、男女平等についての討論が行われた。
アタル大臣は「われわれは若者たちに、テロ攻撃や自然災害が起きた際に防御、保護、対応する反射神経を身に付けさせ、行方不明者のための捜索隊の組織化などを求めている」とも述べた。 奉仕期間の終わりには、玉突き事故や原子力事故のような危機的状況のシミュレーションを体験する予定となっている。
今回のパイロットプログラムの参加者は、第2フェーズとして夏の終わり又は学期期間中に、慈善団体や地方自治体でのボランティア活動など、「共同プロジェクト」の奉仕が待っている。
フランス社会は、左派と右派、富裕層と貧困層、信仰者と無神論者の間での深い分裂と戦っており、マクロン大統領は、愛国心と社会的結束を育む方法としてこの新しい形の兵役を導入した。
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