主に欧州で開発・設置が進められた洋上風力発電は、21世紀になって中国も本格参戦し、2020年末には総設置容量で世界3位になる程躍進している。そうした中、中国は新たに洋上での海洋温度差発電(OTEC、注1後記)の開発に取り掛かっていて、この程初めて洋上での試運転に成功している。
9月13日付
『ECNS』(中国新聞社の英文オンラインニュース)等は、中国がこの程、初の洋上でのOTEC試運転に成功したと報じている。
広州海洋地質調査局(GMGS、1963年前身設立)は9月12日、この程南シナ海洋上で実施したOTEC試運転が成功した旨発表した。
同プロジェクト開発責任者の寧波氏(ニン・ボー)によると、20KW規模の発電装置(注2後記)を海洋地質調査船“海洋地質2”(ハイアンディジー)に積載し、南シナ海洋上で試運転の後、広州港に無事帰還したという。...
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9月13日付
『ECNS』(中国新聞社の英文オンラインニュース)等は、中国がこの程、初の洋上でのOTEC試運転に成功したと報じている。
広州海洋地質調査局(GMGS、1963年前身設立)は9月12日、この程南シナ海洋上で実施したOTEC試運転が成功した旨発表した。
同プロジェクト開発責任者の寧波氏(ニン・ボー)によると、20KW規模の発電装置(注2後記)を海洋地質調査船“海洋地質2”(ハイアンディジー)に積載し、南シナ海洋上で試運転の後、広州港に無事帰還したという。
8月に実施された試運転では、水深1,900メートルから汲み上げた冷水を使用して発電装置を4時間47分稼働させ、最高出力16.4KWを打ち出したとする。
寧波氏は『環球時報』のインタビューに答えて、“我々はOTEC発電で重要な深海冷水の汲み上げ用のパイプ設置や実際の汲み上げ等、技術的な問題をクリアした”とした上で、当該装置の部品等は全て中国国産で賄われており、低コストかつ抜群の機動力を達成できたと語った。
GMGSの60年に及ぶ海洋地質、海流、水文学(注3後記)の研究の結果を踏まえて、今回の洋上OTEC発電プロジェクトが進捗するに至ったとされる。
ただ、廈門大学(シャーメン、1921年設立の国立大)エネルギー経済研究センターの林伯強理事(リン・ボーチァン)は、今回の試運転成功で技術的問題をかなりクリアできたが、商業ベースの大規模発電までにはまだ長い道のりがある、とコメントしている。
(注1)OTEC :海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行う仕組み。深海(水深1000メートル程)から冷水を海洋表層へ汲み上げ、海洋表層の温水との温度差を利用してエネルギーを取り出す。
(注2)20KW規模の発電装置:同装置を1時間発電した場合の電気量は、17キロリットルの水を1度上げる熱量、あるいは平均的な家庭の約1日半の消費電気量。
(注3)水文学:地球上における水循環を研究し、水利用、水資源の確保、循環型社会、環境保全などを考えるための基礎知識を提供する学問分野。
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