豪州側の対中関係改善切望に拘らず、中国軍の傍若無人振りは不変【米・豪州メディア】(2023/11/21)
11月6日付GLOBALi「
豪州首相、7年振りに訪中(2)」で報じたとおり、9年振りに政権に返り咲いた豪州労働党の首相が、中・豪関係を修復すべく、11月4~7日の間、豪州首脳として7年振りに訪中した。しかし、中国軍高官らは、中国を敵視するクワッド会議(注1後記)やAUKUS(注2後記)が気に喰わないのか、頻発する米軍機等への嫌がらせ行為に止まらず、豪州軍艦に対しても不適切行為を仕掛けている。
11月20日付米
『CNNニュース』、豪州
『スカイニュース豪州』、
『ABCニュース』等は、豪州首相が、中国軍艦による危険な行為を糾弾したと報じている。
アンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)は11月20日、CNN傘下の『スカイニュース豪州』のインタビューに答えて、日本海に停泊中の豪州軍艦に対して中国軍艦が行った“危険かつプロ意識に欠ける行為”によって、“1人の船員が負傷した”として非難した。...
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11月20日付米
『CNNニュース』、豪州
『スカイニュース豪州』、
『ABCニュース』等は、豪州首相が、中国軍艦による危険な行為を糾弾したと報じている。
アンソニー・アルバニージー首相(60歳、2022年就任)は11月20日、CNN傘下の『スカイニュース豪州』のインタビューに答えて、日本海に停泊中の豪州軍艦に対して中国軍艦が行った“危険かつプロ意識に欠ける行為”によって、“1人の船員が負傷した”として非難した。
同首相は今月初め、長らくギクシャクしていた中・豪関係修復のため、豪州首脳として7年振りに訪中したばかりであった。
これに先立つ11月18日、リチャード・マールス国防相(56歳、2022年就任)が声明文を発表して、“長距離フリゲート艦「トゥーンバ」(2005年就役)に乗船していた豪州人潜水夫が11月14日、同船のスクリューに絡まった漁網を取り除こうとしていたところ、中国軍艦が危険を伴うソナー(水中を伝播する音波を用いて、水中・水底の物体に関する情報を得る装置)を操作した”とし、“事前に潜水行為を実施していると通知したのにも拘らず、中国艦による無謀な行為で潜水夫のうちの1人が軽傷を負った”と糾弾していた。
同首相は11月16日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席している習近平国家主席(シー・チンピン、70歳、2012年就任)と会談していたが、メディア側質問に対して、同国家主席に本問題について話題にしたかどうかは答えず、ただ、“本件については適切な機会に明確かつ率直に中国側に伝えており、中国側も我々の関心事をよく理解している”と付言するに止めた。
しかしながら、中国外交部(省に相当)の毛寧報道官(マオ・ニン、50歳、2022年就任)は11月20日の定例記者会見で、“中国軍は、常に高度に規律を重んじており、かつ常に国際法と国際慣行に基づいて専門的な活動を行っている”とコメントした。
その上で同報道官は、“政府関係者は中国の玄関口で悪戯に騒ぐのは止めて、中国と協力して中豪関係改善に向けて邁進して欲しい”とけんもほろろに付言している。
この問題について、スタンフォード大学(1891年設立のカリフォルニア州立大学)安全保障問題研究センターのレイ・パウウェル所長は、“中国軍艦の無謀なソナー操作の指示は誰が出したのか不詳だ”としながらも、“もし艦長が指令していたとしたら、豪州海軍の場合に照らし合わせると、同艦長は即座に解任されるか、もしくはもっと悪い懲罰が下されるだろう”とコメントした。
しかし、同所長は同時に、“中国軍においては、一切不問に付されるだろう”とも言及している。
(注1)クワッド会議:日・米・豪・印4ヵ国でつくる連携や協力の枠組み。メンバー国は、民主主義等の価値観を共有していて、それぞれ連携を強めることで、インド太平洋地域で影響力を高める中国の行動を抑えたい狙いを持つ。特に米国は、中国に対抗する上で価値観を共有する同盟国や友好国との連携を重視していて、クワッド会議を首脳レベルに引き上げて、2021年3月にオンライン形式の首脳会議を主催。同年9月には対面での首脳会議を初めて開き、今後は毎年開催することで合意。2022年5月には日本が主催。
(注2)AUKUS:2021年発足の米・豪・英の軍事同盟。米・英国は、豪州による原子力潜水艦の開発および配備を支援し、太平洋地域における西側諸国の軍事プレゼンス(影響力)を強化することを目指す。
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米:夏時間(サマータイム)から冬時間(標準時間)へ移行(2023/11/06)
米国では、1年に2回、時計を1時間進めたり戻したりする夏時間(サマータイム)が採用されており、
3月第2日曜日の午前2時から11月第1日曜日の午前2時が夏時間となっている。米国ではここ数年、夏時間廃止への動きが加速している。
11月4日付米
『ABCニュース』:「夏時間終了にあたり議論が再燃」
この時期、時計を午前2時から1時に時計を戻さねばならない夏時間をめぐる永年の議論が再び浮上している。今月5日に夏時間は終了し、標準時間へ移行、これが次の3月10日まで継続される。
最新の世論調査によると、国民の殆どはこの時間変更制度の廃止を支持している。更にアメリカ医師会もこれに同意。スケジュールの混乱や習慣の中断というデメリットに加え、専門家によると、更に深刻な健康への影響があるという。...
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11月4日付米
『ABCニュース』:「夏時間終了にあたり議論が再燃」
この時期、時計を午前2時から1時に時計を戻さねばならない夏時間をめぐる永年の議論が再び浮上している。今月5日に夏時間は終了し、標準時間へ移行、これが次の3月10日まで継続される。
最新の世論調査によると、国民の殆どはこの時間変更制度の廃止を支持している。更にアメリカ医師会もこれに同意。スケジュールの混乱や習慣の中断というデメリットに加え、専門家によると、更に深刻な健康への影響があるという。
スタンフォード大学小児科の医師は、睡眠に影響を与えるあらゆる変化は、積み重なると、気分障害や集中力、判断力の低下、血圧や血糖の変化等、長期的問題を引き起こす場合もあるとする。
多くは睡眠時間を奪われ、睡眠サイクルの乱れが非常に大きくなる。「時間を元に戻し時間を遅くする」のは、「前に進め時間を早める」より比較的体への負担は軽いとされるが、研究によると、慢性的睡眠不足は、ストレスホルモンを増やし、心拍数や血圧、炎症を引き起こす科学物質の上昇を招くという。
アメリカ自動車協会(AAA)は、時間移行に伴い、「ドライバーは眠気に加え、あたりが暗くなる時間が早まることに注意して運転しなければならない」と路上での事故増加へ警鐘を鳴らしている。
国会では夏時間廃止に向けた動きがある。2022年3月上院で超党派法案「日照保護法(Sunshine Protection Act)」が通過したが、下院で否決された。今年マルコ・ルビオ上院議員により再提出されている。
同日付米『USAトゥデイ』:「サマータイムは何時に終わる?」:
今週末、夏時間の終了を迎えることから、数百万人の米国人は時計の針を遅らせ、1時間の睡眠時間を確保することとなる。
この時間の調整は時計の変更から、睡眠不足まで国民全体の日常生活に影響を与えており、このような混乱からここ数年、世論はこの時間制度に疑問をもつよう変わってきているが、国会での廃止の動きは滞ったままとなっている。
国会では時間移行廃止への動きがあり、2022年上院では夏時間(日光節約時間)を恒久化する法案「日照保護法」が全会一致で可決するも、下院で否決されたことから、バイデン大統領の署名による法制化は実現しなかった。
全ての州や米国領で夏時間があるわけではない。ハワイ州とアリゾナ州(ナバホ地区は例外)に夏時間はなく、サモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、ヴァージン諸島も同様となっている。砂漠気候であることから、アリゾナ州では夏時間は採用されておらず、殆どの州が統一時間法を導入した後、同州では時計を調整する理由がないとして導入が見送られた。ハワイ州は、赤道に近いことで日照時間の変化があまりないことから夏時間が使われていない。
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