世界の自転車シェアリング(2018/05/15)
近年自転車シェアリングが世界の都市部でシェアを伸ばしている。昨年中国自転車シェア大手「モバイク」が日本でも展開(今年LINE搭載のサービスが開始予定)している。サイクルポートを設置する維持費は抑えられ低価格でサービスを提供出来るメリットがあるが、道に乗り捨てられた自転車を回収する必要が生じる問題もあるという。数年後には米国で電気自転車の投入も期待されている。また、自動車のカーシェアリング業界も、車を降りた後自転車を利用する可能性を探るなどタイアップに関心を示しているという。
5月14日付英国
『BBC』は「世界の低価格サイクルポートなし自転車シェアリング」との見出しで以下のように報道している。
市内交通としての自転車は自転車王国オランダ発祥なのだが、現在ではハイテクなレンタル自転車が世界中で発展している。流行しているのは、サイクルポートの無い自転車。スマホを数回操作することでロックが解除され、数時間から数日、週単位でもレンタル可能で、時間が切れたらどこにでも乗り捨て可能なのだという。...
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5月14日付英国
『BBC』は「世界の低価格サイクルポートなし自転車シェアリング」との見出しで以下のように報道している。
市内交通としての自転車は自転車王国オランダ発祥なのだが、現在ではハイテクなレンタル自転車が世界中で発展している。流行しているのは、サイクルポートの無い自転車。スマホを数回操作することでロックが解除され、数時間から数日、週単位でもレンタル可能で、時間が切れたらどこにでも乗り捨て可能なのだという。これが世界中1608の都市1800万代(2016年末は200万台のみであった)。のレンタル自転車の大半を占めているという。
最も増加したのは中国で、ライバル大手2社(アリババ出資の業界最大手「ofo」とテンセント出資の「モバイク」)が競合し急成長を遂げた。上海に住む人は、レンタル自転車だと鍵を持たず、盗難の心配もないので、自分の自転車を持つより楽で、返却場所に戻さずに何処にでも行けるのが魅力なのだという。
その一方で、競争が激化したために、投棄される自転車も増加。昨年9月、中国の大都市は同社らに新規自転車の投入を禁止してからは投棄自転車も減少している。
中国以外でも、「モバイク」はマンチェスターやベルリンなど世界の100都市に展開。どこにでも乗り捨てられる便利さ以外にも、従来のサイクルポート型と比べて維持費がかからないのも魅力で、ロンドンのレンタサイクル25台用のポート設置と維持費で10万ポンドもかかる。
一方、ポートを持たずにロックと支払方法をモバイル化しただけで展開を非常に早めることができた。使用者はGPSセンサーにより使用可能な自転車をスマートフォンのアプリで検索、予約でき、QRコードをかざすかICタグで自転車のロック解除ができる。搭載機器類はペダル発電により充電された電力で動いている。
短所としては、使用者が乗り捨てる場所が、次の使用者にとって不便な場所である場合も多いため、オペレーターが移動をする必要も出てくるのだという。オスロでは、機械学習機能を使いどのように自転車を配置したら効率的かデータ解析している。また、カーシェアリング会社は、使用者が車を降りた後に利用出来るような自転車シェアリングとのタイアップにも関心を持っているという。
5月13日付米国『WIRED』は「未来の乗り物はハンドル付き2輪の自転車」との見出しで以下のように報道している。
自動運転車、人を運べるドローン、イーロンマスクの高速地下トンネルなど未来の乗り物の中で、100年以上の歴史をもつ自転車はまだまだ有力だ。
サイクルポートで自転車を借り、1時間程乗り、別のポートに返却する。これは60年代初試行されたが、当時は自転車が行方不明になったという。現代では、IT搭載の自転車を使用しポートを設置しない乗り捨て形態が台頭し、スマートフォンやGPS、Bluetooth、ICタグ、モバイル決済などの技術で行方不明問題は解決する。ポートを使用しないことは、コスト面でも功を奏しているという。そのため、米国での自転車シェアリングは2010年32万台から2016年280万台に成長。中国では、北京などの渋滞都市で急成長を遂げている。
シアトルでは、都市部以外の郊外での需要にも対応できると期待されている。
更に数年後には、乗り捨て型の電気自転車が登場するだろう。電気自転車はバッテリーが低価格で軽量。米国企業が開発する電気自転車は通勤で汗だくにならないため、既存ユーザーのニーズに対応できるとしている。
だが、自転車シェアリングにも限界がある。過疎地では機能しないのである。また、都市に自転車が大量に出回ると、歩道や道路に自転車があふれ、中国の様相を呈してしまう。そうならないよう都市は自転車の数を制限する必要がある。
イノベーションは全く新しいものとは限らない。昔ながらの道具に新しい技術を少し加えたものも素晴らしいものである。
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グーグルがITユーザーの健康管理アプリを開発中(2018/05/11)
米IT大手グーグルが、ユーザーに携帯電話やパソコンなどの使用時間を管理し健康促進に役立ててもらおうという趣旨のアプリを開発している。ITは人間の生活全般に関わるものになりつつあるが、皮肉なことに改善策もまたITを駆使するものである。近年IT業界では個人情報漏えい問題やITによる精神上の健康問題に注目が集まっており、グーグル社は、ユーザーは「テクノ・ライフ・バランス」を求めているおり、そのニーズに答えて開発を進めているとしている。
5月10日付英国
『ガーディアン』は「グーグルの携帯中毒改善策に皮肉も?」との見出しで以下のように報道している。
テクノロジーは我々を中毒にし、またテクノロジーを使ってそれをやめさせようとしている。これはビジネスのためなのか健康のためなのか。携帯をスクロールする時間が多くすぎて過ぎて落ち込んでいる皆さんに朗報だ。
グーグルが携帯中毒を緩和する「デジタル」の健康改善のツールを開発中である。...
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5月10日付英国
『ガーディアン』は「グーグルの携帯中毒改善策に皮肉も?」との見出しで以下のように報道している。
テクノロジーは我々を中毒にし、またテクノロジーを使ってそれをやめさせようとしている。これはビジネスのためなのか健康のためなのか。携帯をスクロールする時間が多くすぎて過ぎて落ち込んでいる皆さんに朗報だ。
グーグルが携帯中毒を緩和する「デジタル」の健康改善のツールを開発中である。
アンドロイドの最新バージョンは、携帯の使用時間や携帯を覗く回数を記録する「ダッシュボード」アプリを搭載。ユーザーはタイマーで使い過ぎ防止用の警告音などが設定できる。
グーグルは常にこのようなユーザーの健康対策には関心が高かった。時に図書館司書、百科事典、地図、ナビ、財布、郵便局員、カレンダー、ニュース局としてユーザーの生活を支えているが、今度はユーザーの「セラピスト」になろうというのである。
我々をIT中毒に仕立て上げた張本人のグーグルが、我々のデバイス使用時間を減らすためのテクノロジーを開発するなんて疑わしいものだが、同社にとっても、これはよいPRになる。グーグルは世界トップのブランドだが、個人情報、検索中立性、納税に関する批判を受けてきた。それ故に今後企業責任を問われるであろう批判を事前にかわす狙いもある。
近年シリコンバレーでは個人情報問題やITが我々に与える精神上の健康問題に注目が集まっており、この対策は当然ともいえるもの。今人々の関心は、「ワーク・ライフ・バランス」から、「テクノ・ライフ・バランス」に移行しているのである。グーグルの製品管理副部長は、ユーザーの7割がこのバランスを求めているおり、そのニーズに答えて開発を進めているという。
一方同社は、「グーグルアシスタント」というAIを開発。ユーザーの命令で電話をかけ、会話のニュアンスをくみ取ることも出来るアシスタント。また、部屋の中の特定の物等ユーザーの周りにあるものを検索してくれる視覚的検索エンジン「グーグル・レンズ」も開発中。
5月9日付米国『WIRED』は「グーグルのデジタル時代健康促進ツール開発研究の中身」との見出しで以下のように報道している。
火曜、毎年恒例のグーグル開発者向け会議が行われ、ユーザーのデバイス使用時間を監視するシステムなど、新規開発中の新機能がいくつか公開された。
人々がテクノロジーを使用する時間が増えるなか、その時間を有効活用しようという考えが出てきているが、テクノロジー使用時間などの研究は事例データなどを根拠にするもので、そのバランス感覚は難しい。
時間を管理するアプリは有効であるが、効果はユーザー1人当たり平均26分の減少と試算され、小さいものだと見られている。根本的な解決のためには、タイマー以外のものが必要だ。
Facebook社の内部研究によると、受動的に情報を追う場合、ユーザーは使用後に気分が悪くなり、一方能動的に他者とやり取りなどをした場合には、逆の影響がみられたという。ツイッターやインスタグラム、メールの使い方にも同じことが言えよう。これがITとの対話の目指すべき道だという。
あるコンピュータ科学者の研究によると、通知を解除した人の方がストレスが減り、仕事の生産性も上がったという。だが、仕事外の時間では、「何か重要な情報を見逃したり、他者の期待に背いたのではないか」と不安で心配が増したという報告があるという。
今年初頭のアメリカ心理学会の会議で発表された論文では、一日3回に分けて通知が来た被験者は非常に幸福感が高く、集中力も増し、通常の通知を受けた被験者に比べてストレスが低いた全くなかったとの報告があった。
通知が多すぎても少なすぎても「逃すことへの不安」((FOMO:fear of missing out)を感じやすいと分かったという。このFOMOとグーグルの提供する「見逃すことの楽しさ」((JOMO:the joy of missing out)」も同時に重要だという。
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