9月7日付
『ニューヨークタイムズ』紙はロイター電として、東芝は直近の事業年度で純損失を計上するとともに大胆な改革の実施を誓約し、ようやく130億ドルの決算スキャンダルを乗り越えようとしていると報じた。当期の決算発表は会計上の不備により2回延期され、最終期限までに決算書が提出されない場合には、上場廃止の可能性もあった。
東芝は2015年3月期決算について、378億円の純損失を計上した。当初5月時点では1200億円の純利益予想であったものを不適切会計問題により撤回し、見直したものである。...
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9月7日付
『ニューヨークタイムズ』紙はロイター電として、東芝は直近の事業年度で純損失を計上するとともに大胆な改革の実施を誓約し、ようやく130億ドルの決算スキャンダルを乗り越えようとしていると報じた。当期の決算発表は会計上の不備により2回延期され、最終期限までに決算書が提出されない場合には、上場廃止の可能性もあった。
東芝は2015年3月期決算について、378億円の純損失を計上した。当初5月時点では1200億円の純利益予想であったものを不適切会計問題により撤回し、見直したものである。資産価値について、南テキサスプロジェクトの事業価値をより保守的に評価したことなどが影響している。一方、米国を拠点とするウェスティングハウスの原子力事業については、繰延税金資産の取り崩しは必要ないとしている。
また、同社は2009年3月期以降、合計1550億円の利益の水増しがあったと公表した。
東芝は7月の会計調査で、ガバナンスの機能不全と従業員が上司に反対しにくい企業風土が指摘され、田中久雄社長をはじめ数名の取締役が辞任した。室町正志新社長は、年末までに半導体、パソコン、テレビ事業の再建計画を公表すると約束し、買収によるヘルスケア事業の拡大について再検討する意向を明らかにした。
9月7日付
『RTTニュース』は、東芝の不適切会計を調査する第三者委員会は、同社が過去7年間に1518億円の営業利益の水増しを認定したと報じる。2015年3月期は、前年602億円の純利益から378億円の純損失に転じ、1株当り損失は8.93円となった。
東芝は当期1株当たり4円の中間配当をおこなったが、決算報告が遅れたことにより期末配当は実施しない。また、2015事業年度については、不適切会計の影響を見極めるため、現時点では業績予想を開示しない。配当については中間配当を見送り、期末配当は未定としている。同ニュースは「日経ビジネス誌」の情報として、東京証券取引所が、東芝を9月下旬に“取引注意銘柄”に指定するとともに、約9千万円の制裁金を課すと報じている。
9月7日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は、東芝が本年度決算で純損失を計上し、過去6年の業績の訂正を発表する一方、投資家の信頼を取り戻すため大胆な事業再構築を計画していると報じた。同社は、資生堂の前田新造前社長を会長に指名し、取締役を16名から11名に減らし、半数以上を社外取締役とする予定である。また、非現実的な目標を管理職に強いる企業風土の改革に乗り出すとともに、監査委員会の監視機能を強化する。政府の菅官房長官は、東芝が正しい情報開示をおこなわなかったことは大きな問題であり、今後も不適切会計の調査を継続すると述べた。金融財務当局は、同社が利益を水増し発表した期間に合計約1兆円の増資と社債を発行したことを調査しており、今後課徴金を命じられたり訴訟が起きる恐れがある。東芝は、当期決算で制裁金として84億円を引き当てている。
三菱UFJモルガンスタンレー証券のアナリストは「株価は悪材料を全て折り込んでいるが、東芝のバランスシートリスクは十分には解消されていない」と懸念を示している。
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