中国政府指導者のゴシップを専門とする香港の出版社関係者が相次いで失踪し、中国本土に連行されたとの観測が浮上して波紋を広げている。香港警察が捜査に乗り出す一方で、1984年に香港を中国に返還した英国政府は失踪事件に強い関心と懸念を示している。「一国二制度」の下、香港には中国政府の法律執行権が及ばないと考えていた香港市民は大きな衝撃を受けている。
1月6日付
『CNBCCニュース』は「ロイター通信」電として、香港の書店主の失踪について、英国が重大な関心を示していると報じている。先週香港で失踪した中国政府に批判的な出版社代表の妻は、夫は自分の意思で中国に行ったと語り捜索願を取り消した。この出版社は中国共産党指導者のゴシップ本を発行しているが、他の4人の仲間も昨年後半から行方不明となっている。香港警察は捜査願いが取り消されたことを公式に認めたが、捜査は継続するとしている。北京の英国大使館広報官は、リー氏は英国のパスポートを持っており、失踪し拘束されたことを深く憂慮していると表明した。
香港では中国の国営メディアによる厳しい報道がされるにつれて、中国が香港への締め付けを強化するのではないかとの懸念が高まっている。梁振英香港行政長官は、もし中国の工作員が関係しているとすれば、許されないことであり憲法違反であると述べている。しかし、中国の国営メディア「グローバル・タイムズ」はリー氏の出版社が発行した本の多くが中国の政界の噂話を「悪意を持って捏造した内容」であり、有害な影響を与えていると報じている。リー氏は昨年11月、「ロイター通信」に対し、出版社の仲間が逮捕されたのは恐らく近く出版予定の本が理由だろうと語っていた。
1月7日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、香港にある中国指導者のゴシップ本が専門の出版社の編集者やその同僚が失踪し、香港市民に動揺が広がっていると報じている。編集者の妻は失踪届を警察に提出したが、夫が本人の自書で捜査に協力するため自発的に中国本土に行っているという文面の手紙がファックスされたことから、突然失踪届を取り下げた。だが、香港出入国管理は同氏の出国記録を確認していない。
リー・ボ(英名:ポール・リー)氏と4人の同僚の失踪事件はスパイ・スリラー小説顔負けである。しかし、香港に住む720万人にとっては、一国二制度として知られる合意によって21世紀半ばまでは香港が中国政府の影響から保護されるとの保証に疑問符が付いたことで、深刻な恐怖が広がっている。この事件は、最近「黄金の10年」の幕開けを宣言した中国と英国の関係に水を差す恐れがある。英国のフィリップ・ハモンド外務大臣は、リー氏は英国人であると述べ、多くの香港市民が疑うようにリー氏が香港から中国に連行されたのなら、香港を中国へ返還した1984年の条約に対する「甚だしい違反」であると述べた。一方、中国政府広報官は「中国の内政に対するあらゆる外国の干渉」に反対するとの簡単な回答で応じた。
1月5日付
『アルジャジーラ』は、先週リー氏が失踪した時、中国本土へ旅行許可を所持していなかかったと伝えられており、本人は中国に行く予定はなく中国工作員が拉致したと推測されると報じている。同僚の4人は中国本土やタイで失踪している。「台湾中央通信社」は、「自分が処理しなければならない口外できない重大問題があり、自分の意思で関係当局の捜査に協力するため中国本土に戻った」とリー氏が自書した画像を公開したが、香港警察は他の仲間も含め引き続き捜査を継続している。そのうちの1人はスウェーデン人であり昨年10月タイで失踪している。
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