レポートは冒頭で今、韓国で起きていることを次の様に淡々と報じている。「韓国社会で反日感情が高まる中、日本の植民地支配の歴史を極めて美化する一冊の親日の本、「反日種族主義」が人気急上昇し、2週連続で韓国書店のベストセラーランキングのトップを記録し、刮目されている。 韓国日報は26日、1面トップで、元ソウル大学経済学部教授の李栄薫氏ら6人が連名で書いた本だが、7月初めに発売されて以来、高まっている反日ムードを横目に爆発的に売れ、2週間(8月7日~8月20日)で10万冊以上売れていると伝えている」。
レポートは肝心の本の内容について直接触れることなく、韓国日報の記事を引用することにとどまった。この本の中心的思想は、韓国社会の反日ひいては恨日感情が蔓延しやすいのは、過去に韓国社会が日本の朝鮮半島の植民地支配の歴史を歪曲した為、韓国民衆に対し、長期にわたり「親日は悪、反日は善」という根拠のない、シャーマン教に近い世界観で洗脳した結果だという。さらに、この本は日本軍の「慰安婦」や第二次世界大戦中の朝鮮半島労働者が強制徴用されたことを否定し、「あの人たちは自ら志願したのだ」と主張する。
勿論、『環球時報』はこの本の宣伝とならないように慎重に扱う一面もある。レポートはこのように続く。「韓国日報によると、反日感情が高まっている今、親日思想を貫くこの本がよく売れている。日本の植民地支配を美化した植民地の歴史観が韓国社会に浸透し、広がるのではないかと懸念し、これはまさに日本が見たい結果だとしている。」
「この本が発売されてから韓国の政界と学界で大きな反響となり、多くの人が本の中で主張されている極端な親日思想を批判している。日本に友好的な韓国最大の保守政党である自由韓国党の党首や所属議員さえもこの動きに対し、懸念と非難を表明している。時事政治評論家の韓允炯氏によると、李栄薫教授は2000年代半ばの頃、日本軍の「慰安婦」に対する態度は今ほど極端ではないが、この「反日種族主義」の本で新しいの証拠を出せないまま態度を一変させる李氏は、国家が経済、外交などの全面的危機に直面しているこの時、嘘とでっち上げによって、韓国社会に恐怖をもたらすという腹だと批判する。また、韓国社会光復協会の金元雄会長は「ドイツなどではナチスの賛美を法律で禁じている。違反者は刑事責任を問われる。韓国社会では、親日思想が毒瘤のように暴虐されているので、できるだけ早く「親日賛美禁止法」を制定してこれを制止すべきだという。」
ここからは『環球時報』が独自に取材して記した部分で、「韓国の裁判所の第二次世界大戦時の韓国人徴用工賠償事件をめぐる判決に報復するため、日本は7月1日に韓国に対する経済報復措置を発表した。その翌日に開催された国連人権理事会で、「反日種族主義」の作者6人の一人である李友然氏は国連で演説し、「第二次世界大戦時、朝鮮半島の労働者は志願して労働者になった。しかも、朝鮮人労働者は当時の報酬が高く、戦争中は自由で豊かな暮らしをしていた」と述べている。またYTNテレビは26日、李友然氏に国連演説を提案し、すべての経費を支援したのは日本の極右団体のICSAだと報じた」という。
レポートは最後に、この本の日本での出版に言及し、「もうすぐ日本で出版される。又『韓民族報』は25日伝えたところによると、「反日種族主義」の著作権は「李承晩学堂」に属し、その団体の政治傾向は明らかに右寄りで親日的だと報じられている。同学堂の関係者は23日、日本の文芸春秋社と日本での「反日種族主義」の出版を検討していることを明らかにしたうえで、相手から具体的な契約書が送られてきたら、日本で早急に出版するよう働きかけるつもりという。これに対し、ある韓国の評論家は、日本で出版すれば、日本人に誤った歴史観を広め、歪んだ歴史観を日本社会に拡散させることにより、韓国と日本の関係がさらに悪化し、修復できなくなることを憂慮しているとのことだ。また、韓国の東国大学歴史教育学部の韓哲鎬教授も、日本の右翼勢力は今でも「日本が韓国の近代化を支援した」と喧伝しているが、「反日種族主義」を著作した韓国学者がこうした動きを歓迎しているものだと述べている」と、日本での出版をけん制している。
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