したたかな中国;米軍の艦船内ウィルス禍拡大で監視が手薄となる中で南シナ海の制海権拡充(2)【米メディア】(2020/04/12)
4月8日付Globali「
したたかな中国;米軍の艦船内ウィルス禍拡大で監視が手薄となる中で南シナ海の制海権拡充」で報じたとおり、米政権が自国内の新型コロナウィルス感染問題で忙殺されている隙に、中国は、南シナ海における人工島の軍事拠点化強化等好き勝手をやり始めようとしている。そして続報として、同海域周辺国の天然資源探査活動を中国海警艦で妨害する一方、コロナウィルス禍対応のための医療用品等を送って当該国を手なずけたり、また、人工島に同海域の環境調査用と称した天然資源探査研究所を設営したりして、着々と同海域の制海権を拡充していると報じられている。
4月10日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「新型コロナウィルス感染流行中でも止まらないもの、それは中国による南シナ海制海権拡充」
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、新型コロナウィルス感染問題を“人類の戦争”だと称して、率先して戦いを挑む姿勢を表しているが、それと同時進行で、中国の軍艦等を南シナ海に派遣して同海域の制海権拡充を着々と進めている。
具体例を挙げると以下のとおりである;
●先月下旬、中国人民解放軍(PLA)は南シナ海において、駆逐艦、潜水艦、戦闘機等を大動員して実弾訓練を実施。...
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4月10日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「新型コロナウィルス感染流行中でも止まらないもの、それは中国による南シナ海制海権拡充」
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、新型コロナウィルス感染問題を“人類の戦争”だと称して、率先して戦いを挑む姿勢を表しているが、それと同時進行で、中国の軍艦等を南シナ海に派遣して同海域の制海権拡充を着々と進めている。
具体例を挙げると以下のとおりである;
●先月下旬、中国人民解放軍(PLA)は南シナ海において、駆逐艦、潜水艦、戦闘機等を大動員して実弾訓練を実施。中国側は、先月に米軍艦が3度も南シナ海の中国主権領海内に無断進入したことに対抗して、主権擁護のための訓練だと主張。
●同海域周辺国の天然資源探査活動や漁船操業を妨害すべく、数多くの中国海警艦や武装漁船を派遣。4月初めには、パラセル諸島(西沙諸島、中国実効支配)内で操業中のベトナム漁船が海警艦と衝突して沈没。
●マレーシア国営企業のペトロナスが、スプラトリー諸島(南沙諸島)内で天然ガス・石油掘削を行っている海域に中国軍艦が何か月も張り付き、無言の圧力。一方で、ウィルス禍に喘ぐ同国に、医療用N95マスク、防護服及び人工呼吸器200台を進呈し、同国を懐柔。
●3月20日、中国国営メディアが一斉に、イタリア・エチオピア・韓国等向けに医療品・検査キット・防護服を進呈したと挙って報道。しかし、同日に、南シナ海の人工島ファイアリークロス礁及びスビ礁(既に滑走路・ミサイル発射台・レーダー塔・兵舎設営済み)に、同海域の環境調査用民間研究所設営と報道。しかし、多分に同海域天然資源調査用であることは明らか。
以上の中国活動に関し、シンガポールの南洋理工大学(1981年設立の国立大学)海洋安全保障問題専門家のコリン・コー氏は、“新型コロナウィルス感染問題など無関係で、PLAにしても中国海警艦にしても、南シナ海における活動は通常どおり”だと分析している。
また、米民間シンクタンク戦略国際問題研究所アジア海洋問題透明性調査部門責任者のグレゴリー・ポーリング氏は、トランプ政権が目下、新型コロナウィルス感染問題で手一杯でアジアに注力できない状況下、“中国が米国に代わってウィルス禍対応救済の手を差し伸べていることから、アジアの米同盟国もその他の国々も、中国支援を断れない状況となっている”とコメントしている。
更に、別の保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート主任研究員のザック・クーパー氏は、“マレーシアの例のように、領有権問題でささやかな睨み合いをする一方、遥かに膨大な経済・外交支援を行うことで南シナ海周辺国を懐柔するという長期的戦略を講じている”とし、“米国からの強力な後ろ盾がなければ、かかる弱小国は中国とまともに対峙することは不可能だ”としている。
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夏季オリンピック;かつて中止は2度、延期は1度あったがいずれも戦争が理由【米メディア】(2020/03/28)
麻生太郎財務相は過日、夏季オリンピックは40年毎に災難が起きるとして、例によって“呪われた大会”と無頓着な放言をしていた。ただ、1940年東京大会が日中戦争勃発のため中止となり、また、1980年モスクワ大会が冷戦下の西側諸国ボイコットに遭い、そして今回の新型コロナウィルス感染問題による延期騒ぎと、偶然の巡り合わせとは言え重なるものである。米メディアも、過去の夏季大会中止、あるいは延期となった事情について詳報している。
3月27日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「夏季オリンピック;過去に延期されたことはある?」
国際オリンピック委員会(IOC)は3月24日、収束見通しの見えない新型コロナウィルス感染問題に鑑み、7月24日開催予定だった2020年東京オリンピックを来年に延期するという異例な決定を行った。
異例な決定としたのは、1896年に始まった近代オリンピック大会は過去3度中止されているが、いずれも第一次世界大戦、第二次世界大戦という戦禍に伴うもので、今回は感染症世界流行という初めてのケースだからである。...
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3月27日付
『ロスアンゼルス・タイムズ』紙:「夏季オリンピック;過去に延期されたことはある?」
国際オリンピック委員会(IOC)は3月24日、収束見通しの見えない新型コロナウィルス感染問題に鑑み、7月24日開催予定だった2020年東京オリンピックを来年に延期するという異例な決定を行った。
異例な決定としたのは、1896年に始まった近代オリンピック大会は過去3度中止されているが、いずれも第一次世界大戦、第二次世界大戦という戦禍に伴うもので、今回は感染症世界流行という初めてのケースだからである。
延期決定発表の際、安倍晋三首相は、“中止ではなく延期”であると強調した。
また、IOCも、“東京大会を来年の夏季までを期限に延期することとした”との声明を発表している。
なお、過去に中止された大会は以下のとおりである。
●1916年第6回ベルリン大会(ドイツ帝国):第一次世界大戦のため中止。
●1940年第12回東京大会:日中戦争のため、日本が開催地返上。代わってヘルシンキ(フィンランド)が指名されたが、1939年にナチスドイツ軍がポーランド侵攻したしたため、結局中止。
●1944年第13回ロンドン大会:第二次世界大戦終結していないため、中止。なお、大戦後の1948年に第14回大会としてロンドンで開催されている(後記参照)。
一方、IOCは声明の中で、“延期された東京大会は、現在直面している感染症世界流行という難題を乗り越えたとの「宣言」となり、かつ、聖火は世界の人々への「希望の光」として輝くものと信じる”と強調している。
(参考)1.夏季大会は、中止、延期に拘らず、第1回から通し回次で数えられるため、実際に大会が行われなくとも、1回とカウントされる。
2.冬季大会は、中止、あるいは延期された場合、大会回数が次回に持ち越される。従って、1940年第5回札幌冬季大会は日本の開催地返上で開催されなかったが、1944年第5回コルチナ・ダンペッツォ(イタリア、第二次世界大戦で中止)、1948年第5回サンモリッツ(スイス、実際に開催)と呼称される。
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