仏メディアが見る北朝鮮核実験:中国の意向と巧妙な北朝鮮(2016/09/13)
国連決議を無視して北朝鮮が5度目の核実験を実施した。今回の実験によって、直接脅威にさらされる日米韓だけでなく、北朝鮮の核開発能力は国際社会の評価よりずっと高い可能性が高まり、欧米各国も深刻に受け止める。国連安全保障理事会は北朝鮮に対してさらに厳しい制裁を課すべく準備を始めたが、中国の出方が注目される。フランスメディアは次の通り報じる。
『ルモンド紙』によると、国連安全保障理事会は「国連決議の目に余る違反」「国際平和と安全保障への明白な脅威」として経済制裁決議案準備を決定した。全会一致だったが特に米仏が厳格な制裁を求め、国連憲章第41条(軍事力を伴わない経済制裁に関する条項)に沿って協議を開始。「新たな制裁の適用と現行制裁の厳格化を大きく左右する」と見る中国の意向は「控えめなまま」である。安保理会議後に中国大使は「(北朝鮮も国際社会も)双方とも緊張を悪化させる挑発や行動を慎むべき」と述べ、「韓国への米国防衛ミサイル設置計画」をほのめかす発言をしたという。...
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『ルモンド紙』によると、国連安全保障理事会は「国連決議の目に余る違反」「国際平和と安全保障への明白な脅威」として経済制裁決議案準備を決定した。全会一致だったが特に米仏が厳格な制裁を求め、国連憲章第41条(軍事力を伴わない経済制裁に関する条項)に沿って協議を開始。「新たな制裁の適用と現行制裁の厳格化を大きく左右する」と見る中国の意向は「控えめなまま」である。安保理会議後に中国大使は「(北朝鮮も国際社会も)双方とも緊張を悪化させる挑発や行動を慎むべき」と述べ、「韓国への米国防衛ミサイル設置計画」をほのめかす発言をしたという。
『リベラシオン紙』も国連決議の効力は「中国の支持があるかどうかで決まる」が、中国が北朝鮮の核実験に「断固とした反対姿勢」を表明するも「外交的には慎重姿勢」であると報じる。米国の防衛ミサイル設置が中国の激しい怒りを招いただけでなく、「中国は北朝鮮が完全に崩壊する事を恐れている」ためだとの味方を示す。「中国と国境を接する北朝鮮が米国の軍事的配下に置かれる事になる」事を中国は懸念している。また韓国の朴大統領はミサイル設置に関する集会に反対を促した。
一方で、
『レゼコー紙』は北朝鮮の強気について「非常に巧妙な北朝鮮は現在の地政学的模様を理解し、核開発に最適とみる」と報じる。「北朝鮮を核開発から退去させるのに強制力のために各国が意見を一致させるより、北朝鮮の核を認めざるを得ないと踏む」という専門家の見解を「レゼコー紙」は引用する。また「米中の不信感が大きな障害となる」と報じ、金正恩第一書記が国連制裁を嘲笑するのを虚勢と片付けるのは早いと戒める。また「米国支援と韓国統制下での南北統一」を避けたい中国の今後について、「北朝鮮への控えめな経済制裁を受け入れるしかない」が、「制裁案の全面適用を渋る」との見通しを示した。
また
『AFP通信』は「北朝鮮は、核保有国として米国が認識する事を求める」と報じる。
問題の北朝鮮の軍事力は次の通り報じられる。「北朝鮮は長・中距離弾道ミサイル用の核弾頭の小型化に成功した」、「15から20の爆弾を含む核兵器のストックを持つ」(レゼコー紙)。「これまで核実験の間隔は3年に1度だったが、今回の5度目と4度目の間隔は8か月」(リベラシオン紙)
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仏メディア:国連高官トランプ氏を名指し非難(2016/09/08)
ついに国連高官までもが米国共和党の大統領候補トランプ氏を名指しで非難した。国連の職員が公式な立場で発表するする演説や声明は通常抑制的で極めて官僚的であるのは国際機関でも変わらない。しかし国連高官がハーグで表明した右傾化への懸念は、国連の外交スタンスにおいて極めて異例なものとして世間を驚かせた。フランスメディアは次の通り報じる。
『レゼコー紙』は「国連がトランプ氏とルペン氏を標的とする」と見出しをつけて異例の発言を報じる。異例の発言をしたのはヨルダン人の国連人権高等弁務官のザイード・ラアド・アルフセイン氏で、オランダのハーグでの安全保障関連の会合の就任演説の場だった。アルフセイン氏は欧米民主主義におけるポピュリズム演説の高まりを嘆き、仏極右政党党首ルペン氏やオランダ極右政党のウィルダース氏と共に米国共和党大統領候補のトランプ氏を名指しで激しく非難した。...
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『レゼコー紙』は「国連がトランプ氏とルペン氏を標的とする」と見出しをつけて異例の発言を報じる。異例の発言をしたのはヨルダン人の国連人権高等弁務官のザイード・ラアド・アルフセイン氏で、オランダのハーグでの安全保障関連の会合の就任演説の場だった。アルフセイン氏は欧米民主主義におけるポピュリズム演説の高まりを嘆き、仏極右政党党首ルペン氏やオランダ極右政党のウィルダース氏と共に米国共和党大統領候補のトランプ氏を名指しで激しく非難した。「恐怖の戦略に頼る扇動政治家」、「嫌悪に満ちた空気はいつでも大規模な暴力に変質しうる」と懸念を示す。
ここまでの非難であれば、国連高官の発言だとしても世間を驚かせなかっただろう。しかしアルフセイン氏は、極右政治家が発信する声明を過激派組織イスラミック・ステート(以下、略称IS)と関連付けた。
『ルモンド紙』によると、アルフセイン氏は、自身がヨルダン人イスラム教徒で人権を擁護推進が任務と明言した上で、「欧米極右のポピュリズムに共通する特質は、ISが提唱するイデオロギーと全く類似する」と述べた。「恐怖のプロパガンダで市民を煽って操り、過度な単純化に基づく」点で、「程度の差はあれIS同様の戦術と思想」という。また極右が約束する「単一の民族と宗教で統一された人々が平和に暮らした輝く過去への回帰」は、「ありそうだが実際には過去にもこれからも決して存在せず」、「ペテン師の作り話」とオランダ司法の責任者や職員の前で述べた。
「ルモンド紙」によると、アルフセイン氏は「行為ではなく、発信や宣伝の手法の類似」である事を強調した。また、排他的な極右を「グロテスク」と非難したアルフセイン氏に対してオランダ極右政党PVVのウィルダース氏はツイッターで「官僚を排除しよう」と応酬した。ウィルダース以外はまだ反応を見せていない。
『リベラシオン紙』はアルフセイン氏の発言に同意するようだ。イスラムの過激化とテロ対策に迫られるオランド政権にとっては極右の台頭は頭痛の種だ。トランプ氏がパリ襲撃とフランスを度々選挙キャンペーンで持ち出して煽る事を「全く迷惑な演説」と報じる。
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