フランス大統領選決選投票、グローバル主義のマクロンVS国家主権のル・ペン(2022/04/12)
フランスのマリーヌ・ル・ペンは10日のフランス大統領選の第1回投票で23.15%の票を獲得し、国民連合党党首としては過去最高の成績を収めた。再選を目指すマクロン大統領とはわずか4ポイント差であった。2人は24日に第2回投票で直接対決することになるが、世論調査では2017年の戦いよりも僅差の対決になると予想されている。ル・ペン候補は第2回投票で49%の票を獲得し、勝利の誤差の範囲に収まると現時点では予測されている。
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『デイリーメイル』は、マクロン政権による黄色いベスト運動、燃料費高騰、欧州連合への統合の強化を5年間我慢してきたフランスの労働者層は、決選投票でマリーヌ・ル・ペン候補を政権に押し上げることになるかもしれない、と報じている。
極左の指導者ジャン・リュック・メランションなど、敗れた候補者の多くが第2回投票でル・ペンを支持しないよう支持者に伝えているものの、生活者目線のル・ペンのメッセージが政党を超えて共感を集めている。...
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『デイリーメイル』は、マクロン政権による黄色いベスト運動、燃料費高騰、欧州連合への統合の強化を5年間我慢してきたフランスの労働者層は、決選投票でマリーヌ・ル・ペン候補を政権に押し上げることになるかもしれない、と報じている。
極左の指導者ジャン・リュック・メランションなど、敗れた候補者の多くが第2回投票でル・ペンを支持しないよう支持者に伝えているものの、生活者目線のル・ペンのメッセージが政党を超えて共感を集めている。
エコノミスト誌のパリ支局長、ソフィー・ペデルは、「彼女はブルーカラーの有権者、低賃金者、サービス業に従事する人々、月末の請求書の支払いに苦労している人々、ガソリンを車に入れるのに本当に苦労している人々にとても人気がある。彼らの多くは地方に住んでいたり、通勤に車が必要な地域に住んでいたりします。彼女が持つこの生活者目線は、急進左派のメランション支持者にはとてもよく響くのです。」と述べている。
選挙戦を通じてル・ペンは、黄色いベスト運動が巻き起こった町や村の市場を訪れ、労働者階級の有権者に会い、マクロンがフランスを分裂させ、自分こそがフランスを統一するというメッセージを押し出してきた。あるル・ペン支持者は、「彼女は素晴らしい選挙活動をした。人々に近かった。テレビにはあまり出ず、現場や街で私たちと一緒に行動していた。2017年はマクロンが新人で、誰も彼を知らないから、まあ試してみようかという感じで、みんなマクロンに投票した。試してみたら、ひどかった」と語っている。
今回のル・ペンとマクロンの決選投票は、2017年の大統領選と同じ顔合わせである。第1回投票の結果はマクロン24.01%、ル・ペン21.03%だった。その後、マクロンは決選投票で66パーセントと圧倒的な強さでル・ペンを打ち負かした。
しかし、専門家たちによると、今回の選挙は、マクロン大統領がグローバル主義、親ヨーロッパ政策を5年間続けてきたことに対して有権者が幻滅しており、ル・ペンは反マクロンのメッセージで有権者の結束を図ろうとするため、大きく異なるものになるだろうという。
元国民戦線の議員であったブルーノ・ゴルニッシュ氏は、「マクロン氏の政策に失望している人が多いので、5年前とは状況がかなり違うと思う。右派であれ左派であれ、今の本当の議論は、一方ではグローバリズム、他方では国家主権という違いになるだろう」と指摘している。
仏ニュースサイト『ランテルノート』によると、ル・ペン候補は、特に移民問題でフランス国民を優先する政策を展開していきたいと訴えている。例えば、フランスでの滞在権を獲得した外国人が残りの家族をフランスに呼び寄せることが出来るという権利の廃止、出生地主義の廃止、帰化の厳格化、亡命申請を海外のみで処理など、いくつかの施策を提案している。また、社会扶助の利用を少なくとも5年間の就労を条件とすることを目指している。社会住宅や雇用へのアクセスについても市民権を持つ国民を優先させ、過去12ヶ月間働いていない外国人に対する滞在許可を廃止、そして、不法移民や外国人犯罪者を「組織的に」追放することも望んでいる。
新型コロナウイルスに関しては、「停職になったワクチン未接種の医療従事者をすべて復帰させる」と宣言している。また、ワクチンパスポートは「個人の自由を侵害する」ものだと述べており、子供のワクチン接種や強制接種に反対していることを明らかにしている。
欧州政策に関しては、2017年のようにEU離脱を望まなくなった一方で、「国家で構成されたヨーロッパ」を擁護し、EUを「元の場所に戻す」とし、欧州法に対する各国の憲法の優位性を確立したいと述べている。
購買力に関しては、エネルギーの付加価値税を20%から5.5%に下げ、雇用者負担を免除して給与を10%上げることを認め、高速道路会社を再国有化し、公共放送を民営化したいと考えている。
仏日刊紙『ルモンド』は、4月24日は、「経営者と退職者のフランスvs従業員と労働者のフランス、都市vs周辺部、欧州統合vs国家主権」の国民による選択になると伝えている。
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フランス、5-11歳のワクチン接種に7割の親が反対(2021/12/17)
フランスでは15日から基礎疾患を持つ5歳から11歳までの子どもへのコロナワクチンの接種が始まった。調査会社エラブがBFMTVやレクスプレスなど仏メディアのために世論調査を行ったところ、フランス人の親の10人中7人は、我が子にワクチンを接種させることには反対していることが判明した。
『BFMTV』は、5歳から11歳の子供へのワクチン接種は、フランス人の間で受け入れられているとは言い難い状況にあると伝えている。
フランス人全体を対象に「5歳から11歳の子どもへのコロナワクチンの予防接種に賛成ですか、反対ですか」という質問には、代替半分に意見が分かれた。「賛成」が51%、そのうち34%が「まあ賛成」、17%が「とても賛成」であった。逆に、「とても反対」は27%、「まあ反対」は21%と、全体で48%が反対と回答した。...
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『BFMTV』は、5歳から11歳の子供へのワクチン接種は、フランス人の間で受け入れられているとは言い難い状況にあると伝えている。
フランス人全体を対象に「5歳から11歳の子どもへのコロナワクチンの予防接種に賛成ですか、反対ですか」という質問には、代替半分に意見が分かれた。「賛成」が51%、そのうち34%が「まあ賛成」、17%が「とても賛成」であった。逆に、「とても反対」は27%、「まあ反対」は21%と、全体で48%が反対と回答した。
一方で、新しく接種対象となった年齢層の子どもを持つ親は、明確な傾向が確認された。68%、つまり10人中7人が接種に反対している。「とても反対」は47%、「まあ反対」は21%だったのに対し、賛成は31%にとどまり、「まあ賛成」は24%、「とても賛成」はわずか7%にとどまった。
仏の民間ラジオ局『ヨーロッパ1』によると、同じ世論調査で、マクロン政権による疫病対策への信頼度に関する質問では、信頼しているが44%、信頼していないが55%と、信頼度は低い。ウイルスの感染拡大に対して「懸念している」は、1ヶ月でやや増加(64%、+4)したのに対し、「心配していない」は36%にとどまった。
また、フランス人の10人に4人が、クリスマスに6人以上で集まる予定だと回答し、6人以下の集まりを予定している割合と同じであることがわかった。大晦日には、17%が6人以上の集まりを予定している。4分の1はまだわからない、15%は大晦日を祝う予定がないと回答した。
なお、フランス人の5人に1人は、ワクチンを未接種者とはクリスマス休暇中に一緒に過ごしたくないと回答している。10人中3人は、ワクチン未接種の親族とクリスマス休暇を過ごすのは不安を感じるため、さらに感染対策を強化すると回答している。しかし3分の1は「問題ない」と回答している。
フランス人の4人に1人は、クリスマス休暇中に友人や家族と会う時、事前に検査を受けることを予定しているという。
仏主要ニュースサイト『ランテルノート』によると、フランスは今、重症化するリスクのある子どもへの接種のみが承認されているが、政府は近い将来、任意の形で「すべての子どもに」拡大する計画があるとし、カステックス首相も今週、接種の「必要性」に言及した。ヴェラン保健相は、5歳から11歳までのワクチン接種を「12月20日頃」に一般化したい旨を明らかにしており、フランス国立衛生局(HAS)の承認待ちであるという。
この世論調査は、12月14日から15日にかけて、18歳以上のフランス人1千人を対象にインターネットで実施された。
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