1月10日中国外務省は習近平国家主席がスイスを公式訪問し、17日に世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に出席すると発表した。中国の国家主席がダボス会議に出席するのは初めてであるが、世界第2位の経済大国として存在感を増す中国を世界にアピールする意図があるものと思われる。今年は米国トランプ新大統領の動きとこれに対抗する中国の動きに目が離せない。
1月10日付
『ヤフーニューズ』(AP通信引用)は、「習主席、中国の主席として初めてダボス会議に出席」という見出しで、中国の習近平国家主席が来週世界経済フォーラムに出席する予定であるが、中国の国家元首としてスイスアルプスの町ダボスで開催され、ビジネス、政治、文化の指導者が年に一度集まる会議へ初めて出席することになると報じた。習主席はスイス公式訪問の一部として1月17日にダボス会議に出席するが、中国が会議に40数年前に初めて出席して以来最大の代表団を伴うことになる。習主席の出席は、中国が世界における影響力を強め、保護主義に反対しグローバリゼーションの安定的な擁護者としての存在感を示す中で行われる。ダボス会議は1月20日米国トランプ新大統領の就任式が行われる週に開催される。世界経済フォーラムの創始者であるクラウス・シュワブ氏は火曜日ジュネーブで記者に対し「我々すべてが、世界は現在地政学、地経学的に多国化、多極化の途上にあるという認識にある。中国は経済力に関する限り程なく米国に比肩する勢力になる。ダボス会議の精神で主席及び代表団と出来るだけ関わりを持ちたい」と語った。
中国の王毅外相は先月、中国は世界の政治変動の中で主導的な立場をとる。国際的混乱の中で確固たる位置を保つ。激しく複雑な競争の中で自己の利益を守ると語った。一方習主席は更に市場経済の力を利用して中国経済の競争力と生産性を強化すると公約してはいるが、改革派から見ると国営企業の圧倒的な力は残っており、外資は今後有望なITなどの分野からは締め出されているという不満があると報じている。
1月10日付
『ブルームバーグビジネス』は、「トランプ新大統領と世間の注目を競う中、中国がダボス会議に出席」という見出しで、スイスアルプスの中で金属探知機とコンクリート製防護壁に囲まれて来週世界の現状を議論するために開催されるエリート集団のダボス会議は、色々な意味で世間から孤立することになるだろうと報じた。1月17日から20日まで約3千人のビジネス、政治、学界の指導者が集まる世界経済フォーラムの年次総会は、大西洋の両岸でエリートがかき回す政治に対する大衆の反発を見た昨年の後での開催であり、従来以上に政治的な見解の相違を見るであろう。米国のトランプ次期大統領が規制緩和を行うという期待で株式市場が高騰する中、フォーラム最終日に行われる大統領就任式は攻撃的なポピュリスト大統領の到来を感じさせるであろう。
世界経済フォーラムの創始者クラウス・シュワブ氏は記者会見で「年次総会が複雑化していることに圧倒されるかもしれないが、現実から逃げるわけにはいかない。世界の複雑な課題を単純な方法で解決することは失敗する運命にある。ポピュリスト的な解決方法では上手く行かない」と語った。最も高名なゲストは中国の習主席であり、中国の元首として最初の出席となる。過去最大の経済界の代表団を率いての出席となるが、他の大国が国内問題でもたついている中で世界で主導的立場に立つという決意を表すものである。これと対照的なのは今回欠席の欧米の指導者達である。ドイツのメルケル首相、カナダのトルドー首相、イスラエルのナタニエフ首相が欠席するが、現職は退任間近であり、新任者は上院の承認待ちの状態にある米国の高官は誰も出席しないと報じている。
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台湾の蔡英文総統は、中米訪問の経由地米国テキサス州ヒューストンで、予備選挙で敗退した後トランプ次期大統領を承認した同州のテッド・クルーズ上院議員やグレッグ・アボット州知事と面会した。これに対し事前に、また会談後に「一つの中国」を主張する中国は米中関係を損なう行為だとして抗議している。中国は蔡氏が昨年12月にトランプ氏と電話会談した際も米国に抗議していた。
クルーズ氏とは武器売却や経済関係の強化について会談、アボット知事とは農業やガス貿易を話しあったという。クルーズ氏は「米国では訪問者との面会は自分たちで決定する。この会談に中国は関係ない」とし、中国側の動きを牽制。蔡氏の帰路サンフランシスコでも次期政権の幹部と面会する可能性もあるという。
1月10日付
『ヤフーニューズ』は「テッドクルーズとテキサス州知事が台湾総統と会談、タブーのギフトを贈る」との見出しで以下のように報道している。
日曜に台湾葵総統が渡米しクルーズ上院議員とグレッグ・アボット知事と会談したことを月曜、中国は「断固反対」と表明した。葵氏はクルーズ氏との会談では武器販売、外交、経済関係を、アボット氏とは、より具体的な農業やガスの貿易について話し合ったという。
アボット知事はテキサスの州紋が入った置時計を贈ったが、これは文化的にタブーなギフトだった。...
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1月10日付
『ヤフーニューズ』は「テッドクルーズとテキサス州知事が台湾総統と会談、タブーのギフトを贈る」との見出しで以下のように報道している。
日曜に台湾葵総統が渡米しクルーズ上院議員とグレッグ・アボット知事と会談したことを月曜、中国は「断固反対」と表明した。葵氏はクルーズ氏との会談では武器販売、外交、経済関係を、アボット氏とは、より具体的な農業やガスの貿易について話し合ったという。
アボット知事はテキサスの州紋が入った置時計を贈ったが、これは文化的にタブーなギフトだった。中国(北京)語では「時計を贈る」は「葬式に出る」に似ているため、時計を贈ることはタブーとなっている。一昨年英国大使は台湾の市長にポケットサイズの時計を贈り、市長は迷信は信じない主義だと言いいながらもリサイクルに出すだろうと冗談を言ったという。英国では腕時計は「時は金なり」という理由で貴重なものとされる。しかし今回、迷信は信じないのか米国との良好関係を保とうとしたのか、葵氏は失言はしなかった、
中国のけん制に対し、クルーズ氏は葵氏との会談は台湾を公式に擁護するためでない、とし、会談相手に関して中国が口をはさむ権利はないとした。なぜテキサスでトランプ氏に強烈に批判されていたクルーズ氏との会談だったのか、台湾との関係に変化があるとすれば、国レベルなのかテキサス州としてなのかという点に疑問が残る。
同日付中国
『新浪(sina)』は「米高官の葵氏との会談は挑発の表れ、分析結果」との見出しで次のように報道している。
中国は米高官と葵氏の会談に断固反対であると表明。葵氏は中南米への経由地、ヒューストンでクルーズ氏と会談、テキサス州のアボット知事とも会談した。
外交部ルカン報道官は定例会見で、もっともらしい口実での会談と米中関係を損なう行為に断固反対する、と述べ、また、米国に対し中国一国主義に従い台湾との関係問題については「慎重な配慮をもって対処する」よう要請した。
米高官は米国政治の有力者ではないが、トランプ次期大統領就任直前のこの時期の会談は強いメッセージとなる。テキサスよりもカリフォルニアがより重要であり、葵氏がサンフランシスコで誰か高官に会うのではないかとの観測もある。
アモイ大学台湾研究所研究員は、軍事的解決は得策でなく、中国本土は台湾に経済的苦痛を与える必要があるという意見もある。
同日付台湾
『台北タイムズ』は「葵がホンジュラスで歓迎」との見出しで次のように報道している。
葵総統は、中南米への初渡航とし75年の外交関係のあるホンジュラスの空港に到着、副大統領から大歓迎を受けた。今後ニカラグア、グアテマラ、エルサルバドルも訪問予定。葵氏は米国テキサスでテッドクルーズ上院議員とグレッグアボット知事とも面会した。
台湾はテキサス州にとってアジアで第5位の貿易相手。フォルモサプラスチック、ホンハイ精密工業、インベンテッック、長栄などの企業グループが米国へ100億ドルの投資をしている。テキサス州は、エネルギー、バイオテクノロジー、軍事分野が発展しており、葵氏は台湾との協力を呼びかけた。アボット知事は「台湾企業による投資は、テキサスのビジネス環境の改善や規制の緩和を受けて拡大してきた。今後も台湾との関係を深めたい」と述べた。
予備選での敗退後トランプ次期大統領を承認したクルーズ共和党議員は、トランプ氏と葵氏の電話会談を公的に支持表明しており、「米国では訪問者との面会は自分たちで決定する。この会談に中国は関係ない、合法な台湾と米国の関係」だと述べた。
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