アメリカ・ウィスコンシン州のクリスマスパレードの参加者にSUV車で突っ込んだ疑いのある男が第一級殺人容疑で訴追された。22日、当局はダレル・ブルックス・ジュニアが単独で行動し、事件がテロと関連している証拠はないと発表していた。
米メディア
『OANN』と
『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』によると、ブルックス・ジュニア容疑者には、20年前まで遡る長い犯罪歴の持ち主であり、裁判所の書類によると、ネバダ州では性犯罪者として登録されている。数日前にはガソリンスタンドで自分の子供の母親を車でひいたとされた後、保釈されたばかりだった。
ブルックス・ジュニア容疑者は39歳で、ウィスコンシン州ミルウォーキー市の北部に住み、女性と子供をもうけていたが、その後彼らとはほぼ関係を切っていた。
今回の事件が起きたウォーケシャの警察署長ダン・トンプソンによると、ブルックス・ジュニア容疑者は直前に「家庭内の騒動」に巻き込まれていたという。しかし、車がパレード参加者の群れに突っ込む前に警察が追跡したことはなく、この出来事がテロ行為であった可能性も低いとしている。
ブルックス・ジュニア容疑者は、他人の安全を脅かした罪でこの2年以内に3回起訴されており、最近では家庭内暴力事件の一環として11月5日に起訴され、警官への抵抗または妨害の罪でも起訴されていた。容疑者の子供の母親である女性が警察に語ったところによると、事件の前、ブルックス容疑者は女性と喧嘩した後に女性を尾行し、ガソリンスタンドの駐車場を歩いていた女性を、わざと「車で轢いた」と証言している。その女性は怪我をして入院したと裁判記録に残っている。
ミルウォーキー郡保安官事務所によると、容疑者は直近の事件で11月11日に1千ドル(約12万円)の保釈金を支払い、11月16日にミルウォーキー郡拘置所から釈放された。また、2020年7月には、危険な武器を使用して他人の安全を脅かした第2級の重罪2件で起訴されていた。しかし、この時もたった500ドル(約5万8千円)の保釈金で釈放されていた。
ミルウォーキー郡の地方検事は、保釈金は、罪の重さから見て「不適切に低い」と述べ、「今後の方針を決定するために、現在、最近の保釈金設定について内部調査している」との声明を発表した。今回のパレード事件では、保釈金は500万ドル(約5億8千万円)に設定された。
『フォックスニュース』によると、当日、事件が起こったパレードに見物客として来ていたスコット・アレン州議会議員は、「保釈金の条件を守れないなら、次の保釈金の条件も守るとは思えない。保釈の目的は何なのか、正直に話し合う必要がある」と述べている。
ウィスコンシン州の現行法では、裁判官は被告人が裁判所に出頭することを保証する金額でしか保釈金を設定できない。しかし、23日に急遽新しい法律が発表された。新しい法律の下では、裁判官は犯罪者の公共安全のリスクも考慮することができるようになる。「もし誰かが潜在的に暴力的であると考えられる場合、保釈金は高額であるべきだ」とアレン議員は述べている。
保釈金の議論は以前からあったものの、今回の悲劇が起きた後、新たな注目を集めている。新しい法律は、より多くの犯罪者、特に最も危険な犯罪者を裁判前に拘束することを目的としているが、多くの州では逆に、貧困層に対する差別だとして、金銭による保釈の使用を制限している。今年初め、イリノイ州は、現金による保釈制度を完全に廃止した最初の州となった。
ウィスコンシン州のパレード事件では、6人が死亡、60人以上が負傷した。
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