中国が2020年の国勢調査の結果を発表する予定となっている。しかし、出生率の低下に歯止めがかからない中、半世紀ぶりに人口の減少が発表と予想されている。インドが世界で最も人口の多い国になる可能性が出てきた。
英
『ファイナンシャルタイムズ』は27日付の記事で、中国政府が60年ぶりの人口減少を発表すると報じた。2020年の国勢調査の結果は、4月上旬に発表される予定となっていたが、国家統計局が「追加の準備作業」があったとして発表を延期した。ソーシャルネットワークでは、世界に公表したくない不都合な数字があるのではないかとの憶測を呼んでいる。
専門家は、中国の人口が減少すれば、消費から高齢者介護まであらゆる面で影響を及ぼし、アジア最大の経済大国に大きな打撃を与える可能性があると指摘している。また、人口が13億8,000万人と推定されるインドが中国の人口を超える可能性も出てきた。
北京のシンクタンク、「Center for China and Globalization」の特別研究員であるHuang Wenzheng氏は、「中国の人口減少のペースと規模は、想像していたよりも速く、大きく、中国に壊滅的な影響を与える可能性がある。」と指摘している。
中国の出生率は、2015年に数十年続いた一人っ子政策が緩和された後も低いままとなっている。公式発表では、若い女性の数が減っていることと、子育てにかかる費用が急増していることが減少の原因とされている。
中国人民銀行は「中国が出生率を過大評価していたことはほぼ事実である」と述べている。「中国の人口動態の変化によってもたらされる課題は、(予想よりも)大きくなる可能性がある」と述べている。北京在住のある政府顧問は、このような過大評価は、教育や治安などの予算を決定するために人口動態の数字を使用している財政システムにも起因すると述べている。地方自治体にとってはより多くの資源を得るために、人口数を誇示するインセンティブとなっているためだ。
香港の英字紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』によると、ウィスコンシン大学マディソン校の上級研究員であるFuxian Yi氏は、「アメリカの経済学者や政府関係者は、中国が世界一の経済大国となり、アメリカと競争することになると考えている。しかし実際には、中国は彼らが期待したほど強くはない。」と述べている。
専門家によれば、中国政府は必ずしも正直に人口データを発表してこなかったという。Yi氏は、「データが間違っているということは、政策立案が間違っているということであり、中国は非常に深刻な高齢化問題に直面している。」と指摘している。
先月、中国政府の有力な研究者は、中国政府が労働者の定年を徐々に引き上げ始めるだろうと述べた。これは、高齢者が通常の年齢で退職できるほど中国の労働人口が十分ではないことを示している。
仏金融紙『レゼコー』によると、コンサルティング会社の「Capital Economics」は、「国勢調査前のデータに基づく当社の予測では、すでに中国は2030年までに毎年0.5%ずつ労働力が減少し、GDPにも同様の影響が出ることが示唆されていた。成長が鈍化すると、経済的に米国に追いつくことが難しくなる。」と指摘している。
中国人民銀行は、中国政府が、人口動態が変化したことを認識し、「教育や技術の進歩は、人口減少を補うことはできないことを理解しなければならない」と警告している。
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昨年来既報どおり、オーストラリア(豪州)と中国間のつばぜり合いは、スパイ活動事件、新型コロナウィルス(COVID-19)感染原因究明問題、更には豪州産物貿易取引制限等で益々ヒートアップしている。そうした中、中国が影響力最大化のために直近10年で膨大な資金をつぎ込んだ太平洋島嶼国に対して、COVID-19問題で中国の動きが鈍ったことを幸いに、豪州が影響力拡大に注力していることが判明した。
1月4日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「豪州、中国の動きが鈍る中、太平洋島嶼国への影響力拡大」
豪州は最近、太平洋島嶼国との関係強化に動いている。
これら諸国には中国が、習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)主導の“一帯一路経済圏構想(OBOR)”の下、巨額の投融資によるインフラ整備で影響力を高めてきていた。
しかし、現行吹き荒れるCOVID-19感染流行でこれら島嶼国も入国制限していることより、多くの中国人の往来が途絶え、ほとんどの中国プロジェクトが進捗していない状況にあった。...
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1月4日付
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「豪州、中国の動きが鈍る中、太平洋島嶼国への影響力拡大」
豪州は最近、太平洋島嶼国との関係強化に動いている。
これら諸国には中国が、習近平国家主席(シー・チンピン、67歳)主導の“一帯一路経済圏構想(OBOR)”の下、巨額の投融資によるインフラ整備で影響力を高めてきていた。
しかし、現行吹き荒れるCOVID-19感染流行でこれら島嶼国も入国制限していることより、多くの中国人の往来が途絶え、ほとんどの中国プロジェクトが進捗していない状況にあった。
そこで、いろいろな問題で中国と対峙する豪州が、これら島嶼国の“全国的防疫体制”を具体化するためとして、2021年に5億豪州ドル(約385億円)相当のCOVID-19用ワクチンを提供すると発表した。
豪州は更に、当該島嶼国で2番目に多い人口を有するフィジー(89万人、1970年英国より独立)と“画期的な”協定に合意し、各々の軍隊の駐留や共同訓練を実施することになった。
豪州シンクタンクのロウィ研究所(2003年設立、本拠シドニー)南太平洋地域研究トップのジョナサン・プライク氏は、“当該島嶼国へのCOVID-19関連の支援に関わる中国の陰は、明らかにみえなくなっている”とし、“一方、豪州は、危機が迫っているときこそ当該島嶼国のことを気にかけているとの姿勢をみせている”と分析した。
中国は直近十数年間で、14ヵ国からなる太平洋島嶼国に対して、中国マネーで以て影響力を高めてきた。
しかし、このことが米国や豪州に対して危機感を覚えさせた。すなわち、外交官や情報機関高官によれば、中国が当該島嶼国に軍事基地を設営して覇権を強めようとしていると警鐘を鳴らしたからである。
当該島嶼国をめぐる豪州・中国間の対立は、スコット・モリソン首相(52歳)が主張した、中国発症のCOVID-19感染問題の国際機関の調査要求を契機として、両国間の深刻な貿易問題にまで発展していることも背景にある。
中国は、一方的に豪州産ワイン、ロブスター等の輸入制限を行ったが、これに対して豪州は、中国による大麦への関税賦課は不当だとして、世界貿易機関(WTO、1995年設立)に提訴している。
そして豪州は、当該島嶼国がCOVID-19防疫対策の一環で、すぐさま海外からの航空便やクルーズ船の受け入れ停止措置を講じたにも拘らず、それら諸国にしっかり入り込んでいる。
一方、中国は、OBOR一環のインフラ建設プロジェクトに従事する中国人に帰国を命じただけでなく、台湾と断交し中国と国交を結んでいる10ヵ国に派遣している外交官を減員している。
ただ、当該島嶼国の中で最多人口を誇るパプアニューギニア(861万人、1975年豪州から独立)は、中国から島嶼国中最高額の投資を受けている。
同国のシンクタンク国事研究所(INA、1976年設立)のポール・バーカー代表によると、中国は同国北海岸のマダン地区に海事産業ゾーンを設営して、マグロ漁の中心基地にすべく、同国に少なくとも7,300万ドル(約76億円)を融資しているという。
目下、同地区に滞在していた中国人スタッフは全て帰国してしまい、同建設プロジェクトは停滞したままであるが、同代表は、“COVID-19問題が沈静化すれば、中国は戻ってくる”とコメントしている。
ただ、“パプアニューギニアとしては、自国に有利な条件提示が新たに出されることを望んでおり、また、同国としては宗主国だった豪州は「南半球の友好国」と捉えていることから、豪州からの魅力ある提案に期待している節もある”とも付言している。
一方、中国としても、2019年に台湾から中国に乗り換えたソロモン諸島(人口65万人、1978年英国から独立)及びキリバス(同12万人、1979年英国から独立)への影響力行使は怠っておらず、中国外交部(省に相当)によると、COVID-19禍の最中の2020年においても両国との関係強化は続いているとする。
具体的には、COVID-19に関わる治療治験や医療器具を提供しており、また、ソロモン諸島で建設中の競技場も“しっかり進捗”させているという。
また、キリバスについても、豪州国営戦略・防衛シンクタンクの豪州戦略政策研究所(2001年設立、本拠はキャンベラ)が昨年9月にリリースした報告書によると、2つの大型積み替え港建設計画が進んでいてOBOR構想に組み込まれるとみられていて、中国は、“そこに海外軍事基地を設営して、ハワイを含めた米国海外基地に睨みを利かせようと考えている”という。
以上の経緯より、ニューサウスウェールズ大学(1949年設立の公立大学)国防研究所長のポール・マディソン教授は、“COVID-19禍の最中であろうと、中国の南太平洋戦略が抑制されるはずはない”とし、“既に中国はこれら島嶼国に17億ドル(約1,770億円)も注ぎ込んでいる以上、むしろ、感染流行問題で弱っている島嶼国に更に付け込んでくるだろう”と分析している。
そこで、同教授は、“バイデン新政権の下、豪州含めた西側諸国が連携して、これら島嶼国に対して、どちらを選択したら独立した自治が営めるか、という点をよく理解させるようにアプローチしていくことが肝要”だと強調している。
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