自民党の茂木敏充幹事長(66歳)は6月5日、今月末にスペインで開催される北大西洋条約機構(NATO、1949年設立、現加盟国30ヵ国)首脳会議に岸田文雄首相(64歳)が出席する可能性を示唆した。これに関し、欧米メディが、前任者らと違って対ロシア戦略を勇猛果敢に進めようとしている同首相の姿勢に加えて、NATO側も日本の他に豪州・NZ・韓国首脳を同首脳会議に招いて、アジア太平洋圏の主要国も交えた上で対ロシア強硬姿勢を貫こうとしている思惑もあると報じている。
6月5日付欧米
『ロイター通信』は、「岸田首相、NATO首脳会議出席を検討」と題して、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア強硬政策を進めるNATO諸国との連携強化を図ろうとしていると報じた。
日本の岸田文雄首相は、6月末に開催されるNATO首脳会議に出席して、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア強硬政策を進めるNATO諸国との連携を促進することを検討している。
日本の首相がNATO首脳会議に出席することは異例なことであるが、岸田首相自身、ウクライナへの軍事侵攻を“戦争犯罪”と繰り返し非難してきている。...
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6月5日付欧米
『ロイター通信』は、「岸田首相、NATO首脳会議出席を検討」と題して、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア強硬政策を進めるNATO諸国との連携強化を図ろうとしていると報じた。
日本の岸田文雄首相は、6月末に開催されるNATO首脳会議に出席して、ウクライナ軍事侵攻に伴う対ロシア強硬政策を進めるNATO諸国との連携を促進することを検討している。
日本の首相がNATO首脳会議に出席することは異例なことであるが、岸田首相自身、ウクライナへの軍事侵攻を“戦争犯罪”と繰り返し非難してきている。
これまで、日本の歴代首相は、未解決の北方領土問題を抱えていることから、対ロシア政策には慎重姿勢を貫いてきていた。
NATO首脳会議は、6月29~30日の間、スペインの首都マドリードで開催されるが、日本では、7月10日が参議院議員選挙の投票日となるため、その選挙運動期間とかち合うことになる。
『共同通信』の6月4日報道では、政府関係者の話として、当該選挙情勢を見た上で同首相が最終決断をすることになるという。
更に、同首相がNATO首脳会議に出席することになれば、対ロシア政策で国際社会の団結を示すことになるため、NATOも歓迎することになろうと報じている。
なお、NATOは、アジア太平洋圏の主要国として、日本に加えて豪州・NZ・韓国首脳も同首脳会議に招待している。
一方、NATOが毎年開催している「バルトプス」(注後記)は、今年は6月5~17日の間にバルト海周辺で実施されるが、NATO主要14ヵ国に加えて、NATO加盟を申請しているスウェーデン・フィンランドも参加する。
同日付米国『ブレイズ・メディア』オンラインニュース(2018年設立の保守系メディア)は、「日本の首相、近々開催されるNATO首脳会議への出席見通し」と、ウラジーミル・プーチン大統領(69歳)への強硬政策を推進する西側諸国に同調する意向だと報じている。
シンガポールの『ザ・ストレイト・タイムズ』紙(1845年創刊)報道によると、岸田首相がNATO首脳会議に出席するとすれば、“日本の首相としてはかつてない程の積極果敢な姿勢”だという。
岸田首相のNATO首脳会議への出席検討との報道は、6月4日に『共同通信』によって初めてなされた。
ただ、政府報道官は、同首相がNATOに出席した場合の協議事項等についてまだ一切コメントできないとしている。
なお、同首相がNATO首脳会議に出席するとなれば、対ロシア強硬政策を推進している西側諸国にとって、ロシアに対する国際社会一致の強いメッセージとなるとみられる。
但し、NATOにおける日本の存在感が強まることは、昨今頻りに噂されている、中国による台湾軍事侵攻の具体的進捗に繋がる恐れがあるかも知れない。
(注)バルトプス(バルト海作戦):バルト海とその周辺地域で1971年以来、NATO司令官、米海軍欧州によって開催される毎年恒例の軍事演習。目的は、砲兵、海上での補充、対潜戦、レーダー追跡と傍受、捜索救助、海上妨害作戦、潜在的な現実世界の危機と海上安全保障に対処するシナリオを訓練すること。
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