深刻化する日本の人口減少問題(2016/02/29)
2015年に実施された国勢調査によると、日本の人口は1億27百万人と5年前と較べ約95万万人減少した。人口が減少したのは1920年に国政調査が開始されて以来初めてである。しかし今後は急激に人口減少と老齢化が進んでいくと予測され、日本の政治経済や社会制度に今後深刻な影響が出てくることが懸念される。
26日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は日本の人口が約1世紀振りに減少し転じたことを報じている。
・2015年の国勢調査によると、日本の昨年秋時点での人口は2010年の128.1百万人から0.7%減少し127.1百万人となった。人口減少は1920年に国勢調査が開始されてから初めてである。日本は65歳以上が27%を占め、世界中で最も人口老齢化が著しい国の一つである。
・沖縄県や東京都は人口が増加しているが、大阪府をはじめ47都道府県のうち39、全国自治体のうち82%にあたる1719の自治体で人口が減少した。...
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26日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は日本の人口が約1世紀振りに減少し転じたことを報じている。
・2015年の国勢調査によると、日本の昨年秋時点での人口は2010年の128.1百万人から0.7%減少し127.1百万人となった。人口減少は1920年に国勢調査が開始されてから初めてである。日本は65歳以上が27%を占め、世界中で最も人口老齢化が著しい国の一つである。
・沖縄県や東京都は人口が増加しているが、大阪府をはじめ47都道府県のうち39、全国自治体のうち82%にあたる1719の自治体で人口が減少した。
26日付
『ABCニュース』は「AP電」として、2015年の国勢調査によると日本の人口が過去5年間で百万人減少し、人口減少が深刻な問題となっていると報じた。
・安倍首相は人口1億人を維持することを最優先課題として、現行出生率1.4を1.8に引き上げることを目標に掲げているが、専門家は1億人を維持することは不可能と指摘する。日本の人口は2050年までに108百万人、2060年には87百万人まで減少すると予想されている。
・世界銀行の昨年の報告書では日本の医療・年金支出は急激に増加するとして、女性やシニア層を労働力として活用すること、育児・老人介護の強化、年金・医療制度の改革などを勧告している。
・人口の大幅減少は、所得および消費の増加に依存してきた戦後日本の経済モデルにとって、最大の試練である。「東洋経済」誌のリチャード・カズ氏は、日本の労働人口は2045年までに13%減少すると予測し、現在の生活水準を維持するためには生産性を13%以上向上させる必要があると指摘している。
26日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、日本の人口が最近5年間で百万人減少したことを伝え、戦争や疫病などを除き未曾有の人口急減であるとともに日本の経済停滞の一因となっていると指摘している。
・日本は世界でも指折りの低出生率であるうえ移民が少ないため、この事態は予想されていた。しかし、政府の出生率向上策は殆ど効果を上げず、移民の増加については国民の支持が得られていない。
・安倍首相は国勢調査の結果を受け、人口が1億人を割り込まないことを中長期目標とすることを再度強調しているが、国連の最新の調査では、日本の人口はピーク時から40%減少し、今世紀末に83百万人まで落ち込むと予測している。
・日本の場合問題が深刻なのは、人口構成ピラミッドが縮小するだけではなく形が大きく変形することにある。
・日本人の4分の1が65歳以上で2060年には40%に達する見込みであり、少ない働き手が増加する年金や医療費を支えなければならい。また、東京などでは人口が増え、地方では減少が著しいなど人口の不均衡が拡大していることも大きな問題である。
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欧州に飛火するディーゼル車不正排ガス問題(2016/02/08)
米国で発覚したフォルクスワーゲン社(VW)のディーゼル車不正排ガス問題は、同社が提出したリコール計画がまだ当局から承認を得られず、長期化することが懸念されている。また、補償についても当初の想定を上回る金額になりそうな状況である。
こうした中、欧州委員会はVWの排ガス規制逃れをめぐり、欧州でも米国同様の補償を検討するよう求めているが、VW以外の欧州自動車メーカーもディーゼル車の排ガス規制問題を抱えていることが明らかになってきた。欧州は米国より対象となるディーゼル車の台数がはるかに多く、リコールと補償問題は欧州自動車メーカー全体の問題に発展する可能性がある。
2月3日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は、VWが米国環境保護庁(EPA)に対し3リットルディーゼルエンジン車8万5千台のリコール計画を提出したと報じている。
・VWと米当局の間では、どのようにして問題のディーゼル車をクリーンエア基準に適合させるかや全米でのリコールを実施する方法について、未だ合意に達していない。
・VWが米国でディーゼルエンジンのリコール修理をおこなうためには、車の性能や顧客に不利益となることを伝えなければならない。...
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2月3日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は、VWが米国環境保護庁(EPA)に対し3リットルディーゼルエンジン車8万5千台のリコール計画を提出したと報じている。
・VWと米当局の間では、どのようにして問題のディーゼル車をクリーンエア基準に適合させるかや全米でのリコールを実施する方法について、未だ合意に達していない。
・VWが米国でディーゼルエンジンのリコール修理をおこなうためには、車の性能や顧客に不利益となることを伝えなければならない。また、どのような対策であっても実施前にEPAによる承認が必要であり長期化が予想される。
7日付
『ブルームバーグ・ビジネス』は、排ガス規制不適合ディーゼル車の米国ユーザー60万人に対し、VWが手厚い補償をおこなう見込みであると報じている。
・米国でVWディーゼル車の不正排ガス問題が発覚してから4カ月以上が経過しているが、VWは未だに修理計画の承認を受けていない。米国当局は先月VWの排ガス不正ソフトウエアを搭載した2リットルディーゼル車のリコール計画を却下しており、VWの補償費用がさらに嵩むのではないかと懸念されている。
・VWは既に数万人の米国ユーザーに対し、1000ドル相当の贈答パックを提供することを決めており、欧州委員会や当局は欧州のユーザーに対しても同様の対応をするよう勧告している。VWは2015年に67億ユーロ(75億ドル)をリコール費用として引当てているが、更に20~30億ユーロ必要となる可能性がある。
2月7日付
『ニューヨークタイムズ』紙は、欧州当局はVWだけでなく他のメーカーのディーゼル車についても排ガス規制不適合問題があることを、数年前から把握していたと報じている。
・欧州委員会は2007年に7車種のディーゼル車の排ガス路上試験を実施した。試験の目的は規制違反を取締まることではなく、ラボ試験のみに依存することの欠陥を検証するとともに路上排ガステストの試験装置を評価するためであった。このため、当初は社名や車種を公表しなかった。
・今回明らかとなった車種ごとの試験結果では、ラボ試験より路上試験ほうが窒素酸化物の排出が多く、VWゴルフはラボ試験では基準合格であったものが基準の3倍となり、ルノー・クリオは同7倍の数値であった。
・フィアット・ブラボー、プント、BMB120dは路上試験で2~4倍基準を上回った。また、試験で使用したゴルフが不正ソフト搭載車ではないことは注目される。
・排ガス不正問題に係る車の台数は米国より欧州がはるかに多く、当地では各自動車メーカーの取り組み姿勢に対し不満が高まっている。VWは米国で実施している贈答補償を欧州ではおこなわない。
・VWは米国では排ガス規制を誤魔化すため、不正ソフトウエアを搭載したことを認めた。しかし同社は、同じ装置を使っても欧州の法律では違法にはならず、メーカーが試験業者を指定し、試験車を選び、エンジンの設定を調整することは認められていると主張している。
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