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『デイリー・コーラー』によると、ロイド・オースティン国防長官は、19日の記者会見で、アフガニスタンでは米軍は「外に出ていって多数の人々を集める能力はない」と述べた。そして、現在の避難活動は米国が望んでいた状況にはほど遠いと述べた。「我々はこれらの活動を促進するために、より多くの軍事的支援を導入するつもりだ。できるだけ多くの人々を避難させるために、本当に懸命に取り組んでいる」、しかし、「率直に言って、避難させる人数という点では、我々が望んでいるところに近づいていないのは明らかだ」と述べた。国防長官は、24時間体制で「可能な限り全員を避難させる」ことを約束した。
アフガニスタンには1万人から1万5千人のアメリカ人がいると言われている。米『ナショナルレビュー』は、1979年のイランの人質事件や、その後すぐに起こったレバノンの人質事件の時と同様に、タリバンは、アメリカ人を人質にすることで得られる影響力を十分に認識していることは間違いないと報じている。したがって、避難は単なる緊急の人道的問題だけではなく、タリバンが米国人を人質にとることを防ぐために不可欠であると伝えている。
しかし『ナショナルレビュー』は、バイデン政権がこの脅威に直面して自信を失っていると指摘している。
17日、国務省はアフガニスタン国内にいるアメリカ人に電報を送り、カブールの空港に向かうようにと伝えたが、「この旅をするにあたって、米国はあなたの安全を保証できないことをご承知ください」と警告した。19日の記者会見では、国防総省のジョン・カービー報道官は、何人がアフガニスタンから脱出できたのか、何人がまだ取り残されているのかを把握していないことを認めた。
さらに同日、ロイド・オースティン国防長官は、アフガニスタンから国民を脱出させるための米軍の能力について質問されたとき、「我々には、外に出て多数の人々を集める能力はない」と答えた。そして、「可能な限り全員を避難させる。時間がなくなるか、能力が尽きるまで。現在、カブールまで作戦を拡大する能力はない」と付け加えた。
『ナショナルレビュー』は、この記者会見での国防長官の回答を非難している。アフガニスタンは20年間にわたって米軍が平然と活動してきた場所であるだけでなく、「このような姿勢は到底受け入れらない。アメリカ的ではない。これは我が軍の本質ではない。アイゼンハワーやダグラス・マッカーサーは言うまでになく、ノーマン・シュワルツコフがこのような答え方をするだろうか」と指摘している。そして、「軍人たちたちはどうしてしまったのだろうか。私たちが国防に費やしている7千億ドル(約77兆円)をどう使っているのか。国内外、民間人、軍人を問わず、危険にさらされているアメリカ人を守るためでなければ、彼らはそのお金が何のためにあると考えているのだろうか。」と批判している。
米『ナショナル・パルス』は、国務省がカブール陥落のわずか数ヶ月前に、アメリカ人を危険地域から迅速かつ安全に避難させることを目的とした国務省の「有事・危機対応局」を閉鎖していたことが取材で明らかになったと伝えている。
海外のアメリカ人に対する医療・外交・物流支援を目的とした「有事・危機対応局」は、今年の初めにアントニー・ブリンケン国務省によって一時活動中止とされ、タリバンがアフガニスタンを占領する数ヶ月前の6月に正式に閉鎖された。
ブリンケン国務長官は、通常表舞台には出てこないこの組織に関して「世界中でアメリカ人の命を救うためのプラットフォームと人材を提供しており、特に危機的な状況下では重要な役割を果たしている。コロナウイルスのパンデミックの初期段階では、各国が国境を封鎖し始めた中、10 万人のアメリカ人をアメリカに避難させ、送還するために不可欠な存在だった。」と説明していた。
しかし、『ナショナル・パルス』が取材したところ、将来、海外のアメリカ人がベンガジのような状況に陥るのを回避するという明確な目的で、有事・危機対応局を創設するというトランプ政権の狙いに、国務省内部のキャリア官僚が反対していたことが分かった。そして、アフガニスタン撤退が迫る中でも、資金提供と活動が取り消されたという。
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