東南アジア諸国の有識者の多くが、新世代移動通信システム含めた中国の影響力増大を懸念【米・シンガポールメディア】(2020/01/17)
ドナルド・トランプ大統領は、中国の最先端技術分野での躍進を特に恐れていて、例えばファーウェイ(華為技術)等の進める第5世代移動通信システム(5G)の採用を思い止まるよう米同盟国に呼び掛けている。しかし、東南アジア諸国(ASEAN)の政府職員・大学教授等の有識者のほとんどが、5G含めた中国パワーの影響力がASEAN域内で膨張していることに懸念を抱いていることが分かった。一方で、米中攻防が続く中、むしろ日本と組むことが望ましいと考える有識者が多くいることも判明した。
1月16日付米
『ロイター通信』:「調査報告;米国が撤退する中、中国のASEANにおける影響力が激増」
ASEAN域内の政府職員、大学教授他の有識者に行ったアンケートの結果、ドナルド・トランプ政権下での対アジア政策縮小に伴い、中国による政治・経済面での同域内における影響力が増大していることに懸念を抱いていることが分かった。
1月16日にリリースされた結果によると、アンケートに回答してきた1,300人のうち、60%以上の人が中国への不信感を抱いており、2019年時の52%より増えている。...
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1月16日付米
『ロイター通信』:「調査報告;米国が撤退する中、中国のASEANにおける影響力が激増」
ASEAN域内の政府職員、大学教授他の有識者に行ったアンケートの結果、ドナルド・トランプ政権下での対アジア政策縮小に伴い、中国による政治・経済面での同域内における影響力が増大していることに懸念を抱いていることが分かった。
1月16日にリリースされた結果によると、アンケートに回答してきた1,300人のうち、60%以上の人が中国への不信感を抱いており、2019年時の52%より増えている。
そしてそのうち40%近くが、中国は“歴史修正主義を貫いて東南アジアを影響下に収め”ようとしているとみている。
特に、南シナ海領有権争いで長く中国と対峙してきた、ベトナムとフィリピンの回答者が最も多く中国への不信感を露わにしていた。
シンガポール在のある専門家は、南シナ海領有権に関わる一方的主張といい、中国製武器取引の増強といい、中国の台頭は自身が標榜しているような“平和と安定”をもたらすものではない、と断言している。
また、5G普及について言及すると、米国が中国のファーウェイ製機器がスパイ活動に使われていると糾弾しているが、ASEAN域内におけるファーウェイ及びその他中国移動通信機器メーカーの勢いは計り知れないとする。
そして、アンケートの結果においても、80%近くの有識者が、中国の経済的影響力が最も大きいと回答しており、これは2019年の73%より増えている。
一方、75%以上が、オバマ政権の時より、トランプ政権下での対東南アジア政策が弱まっていると回答している。
同日付シンガポール『トゥデイ・オンライン』:「調査報告;米中が鎬を削る中、ASEANにとって日本が最良のパートナー」
東南アジア問題研究所(ISEAS、1968年創立、シンガポール拠点)がASEAN域内の有識者らに行ったアンケートの結果が1月16日にリリースされた。
それによると、米国の対アジア重点政策が後退し、代わって中国が影響力を増大してくる状況下、ASEANにとって最良のパートナーは日本ではないか、とみている人が過半数を占めている。
すなわち、ASEAN 10ヵ国における回答者1,300人のうち、61.2%の有識者が、日本は世界の平和と安定、安全保障や統制において“正しいことを行っていく”と信じている。
この数値は、前回アンケート時の65.9%より若干減少してはいるが、全体として50%以上の信頼を得ているのは日本だけとの結果となっている。
また、米国の対アジア政策後退に当たって、ASEANにとってどの国が望ましいパートナーか、との質問に対して、日本と答えたのが31.7%、欧州連合(EU)が20.5%、そして中国と答えたのは20.2%であった。
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人権蹂躙批判に曝されてきたドゥテルテ大統領率いるフィリピン、国連総会の投票で人権理事会理事国に再任されて無罪放免?【米・シンガポールメディア】(2018/10/16)
既報どおり、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(73歳)は、就任以来推進してきた麻薬犯罪撲滅政策が超法規的殺人を容認しているとして、バラク・オバマ前大統領はもとより、国際人権擁護団体、はては国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)からも激しく非難されてきた。しかし、同大統領はこれら批判者に罵詈雑言を浴びせたり、国連からの脱退まで嘯くなど、徹底的に対抗してきた。かかる状況下、出過ぎた釘は打たれないのか、この程行われた国連総会での人権理事会(UNHRC、注後記)の理事国選任投票で、フィリピンが理事国として再任されてしまった。同国政府は当然のことのように、同国政策が国連によって信任されたと強気の発言をしている。
10月14日米
『ロイター通信』:「フィリピン政府、国連人権理事会の理事国として再任されたことで、ドゥテルテ大統領の麻薬犯罪撲滅政策は信任されたと表明」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2016年に就任以来、麻薬犯罪撲滅政策を強力に推進してきたが、警察官等による超法規的殺人が容認されているとして、国際社会からの厳しい批判に曝されてきた。
実際問題、麻薬犯罪取調べ時の止むを得ない事態との理由で、当局によって4,800人余りの被疑者が殺害されている。...
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10月14日米
『ロイター通信』:「フィリピン政府、国連人権理事会の理事国として再任されたことで、ドゥテルテ大統領の麻薬犯罪撲滅政策は信任されたと表明」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2016年に就任以来、麻薬犯罪撲滅政策を強力に推進してきたが、警察官等による超法規的殺人が容認されているとして、国際社会からの厳しい批判に曝されてきた。
実際問題、麻薬犯罪取調べ時の止むを得ない事態との理由で、当局によって4,800人余りの被疑者が殺害されている。
しかし、10月12日に行われた国連総会において、フィリピンがUNHRC(47の理事国で形成)の理事国として再任(任期は3年)されるに至った。秘密投票によるものだが、193ヵ国のうち165ヵ国が賛成票を投じたとする。
フィリピンのアラン・ピーター・カエタノ外相は、これまでフィリピンの人権政策について根拠のない誹謗中傷がされてきたが、今回の国連総会投票結果を受けて、それらが全くのデタラメだったことが証明されたと表明した。
同外相は更に、人権問題を政治的、また財政政策に利用しようとしてきた人や団体こそ非難されるべきだと付言した。
一方、ドゥテルテ大統領を強硬に非難する一人であるギャリー・アレヤノ国会議員は、数多くの人権蹂躙問題を起こしてきた国がUNHRC理事国として再任されるなど、“全くの皮肉”でしかないとコメントした。
同日付シンガポール『トゥデイ・オンライン』:「国連人権理事会の理事国としてフィリピンが再任され、非難の応酬が勃発」
国連総会の投票でフィリピンがUNHRCの理事国として再任された件につき、国際人権擁護団体等、これまでフィリピン政府の人権問題を非難してきたグループは、“道理から外れた事態”だと批判すれば、フィリピン政府は“信任が得られた”と欣喜雀躍している。
フィリピンのカエタノ外相は、国連総会の投票の結果、フィリピンの政策を中傷してきた人・グループに対して、同国人権政策が価値あるものだと評価されたことを証明してみせたとコメントした。
フィリピンはこれまで、2007~2009年及び2012~2014年の間、UNHRC理事国として活動してきていた。
なお、フィリピン警察は最近、麻薬犯罪撲滅政策の下、これまで約4,500人の麻薬常習者及び密売人が死んでいると発表している。
しかし、国際人権擁護団体等は、無抵抗の容疑者や無関係の犠牲者を含めて、少なくとも1万2千人が当局や自警団によって殺害されていると非難している。
(注)UNHRC:国連総会の補助機関のひとつ。国連加盟国の人権の状況を定期的・系統的に見直すことによって国際社会の人権状況を改善しつつ、深刻かつ組織的な人権侵害などに早急に対処するための常設理事会。OHCHRがその事務局機能を担っている。前身である、国連経済社会理事会の機能委員会のひとつであった国連人権委員会を改組・発展させた組織であり、2006年6月に正式発足。なお、47ヵ国からなる理事国は、アジアグループ13ヵ国、アフリカグループ13ヵ国、ラテンアメリカ・カリブ海グループ8ヵ国、西欧・その他グループ7ヵ国、東欧グループ6ヵ国に割り当てられ、それぞれのグループの代表理事国が、国連総会秘密投票(絶対過半数)によって選任される。任期は3年で連続2期までの制限。
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