イーロン・マスクの衛星ネットサービス、ウクライナの人々の生命線に
イーロン・マスク率いるスペースX社の衛星インターネット・サービスが、ロシアのウクライナ侵攻直後からウクライナに提供された。現在では、推定1万台の送受信機が稼動して戦渦の中のウクライナ人を支えているという。
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『NBCニュース』によると、戦争で荒廃したウクライナの一部では、インターネット・サービスが提供できなくなっており、そうした地域では衛星ネット送受信機「スターリンク」を設置して人々に代理のネット接続サービスを提供している。現在では同国の多くの地域でネットにつながるための生命線になっているという。
キーウ周辺やウクライナ西部、北部を中心にサービスを提供しているインターネットプロバイダーFreenetのネットワーク運用責任者、ドミトロ・ジンチュク氏は「これは理想的なインターネットではないが、まったく接続できないとき、スターリンクは何週間も接続できないでいる人々にとってまさに救いの手だ。...
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『NBCニュース』によると、戦争で荒廃したウクライナの一部では、インターネット・サービスが提供できなくなっており、そうした地域では衛星ネット送受信機「スターリンク」を設置して人々に代理のネット接続サービスを提供している。現在では同国の多くの地域でネットにつながるための生命線になっているという。
キーウ周辺やウクライナ西部、北部を中心にサービスを提供しているインターネットプロバイダーFreenetのネットワーク運用責任者、ドミトロ・ジンチュク氏は「これは理想的なインターネットではないが、まったく接続できないとき、スターリンクは何週間も接続できないでいる人々にとってまさに救いの手だ。」と語っている。
キーウ在住のスターリンク愛好家、オレグ・クトコフ氏は電話インタビューで、ダウンロード速度が毎秒200メガビットになることがよくあると述べた。アメリカでは通常、このサービスのために月額110ドル(約1万4千円)を支払っている。
スターリンクは、地球低軌道衛星群との間で送受信される信号に依存しており、地球をはるかに高い高度で周回する衛星を持つ競合他社とは異なっている。NASAは、スターリンク衛星が増えると小惑星の監視に支障をきたす可能性があると警告しているが、一般的にはより速く、より信頼性の高いサービスを提供できる。ウクライナ政府は、学校、病院、村役場、消防署にもスターリンク送受信機を設置しているという。
米『ビジネスインサイダー』によると、3月から戦っているウクライナ兵士は、スターリンクの提供がウクライナ軍の大きな後押しになっていると述べたことが報じられている。兵士は、「イーロン・マスクのスターリンクは、ウクライナに有利なように戦争を変えた。ロシアは我々の通信をすべて爆破してきた。しかし、今はそれができない。スターリンクは、ロケット砲などの砲撃の下でも機能する。マリウポルでも機能している」と語った。
『ヤフーファイナンス』によると、イーロン・マスクは、ウクライナのイルピン市とボロディヤンカ市の2つの外来診療所への電力供給を目的として、テスラ社の蓄電装置「パワーウォール」もウクライナに提供している。ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル改革担当大臣は、「パワーウォールは高度の自律性を有し、供給が途絶えた際にバックアップの電力を提供してくれる。ロシアとの戦争で最も深刻な影響を受けた地域のウクライナ人を助ける革新的な機器である。」と絶賛している。
なお、宇宙に関するニュースサイト『スペースニュース』によると、日本も今年中にスターリンクのインターネット・サービスが始まる。KDDIがスペースXと業務提携を結び、全国約1200カ所に順次設置していく。日本の山間部や被災地域でも高速通信が可能になる。スターリンクは、自然災害や停電の際に地上通信回線が途絶えた場合のバックアップとしても機能するとしている。
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米メディア;日本が米国の有人月面探査計画に日本人宇宙飛行士送り込みを模索、と報道
岸田文雄首相(64歳)は12月28日、宇宙開発戦略本部長として同本部会議に出席して、日本の宇宙基本計画の工程表を改定する結論を出した。それによると、日本も参画している米国の有人月面探査計画に、日本人宇宙飛行士を送り込み、米国人以外で初めて月面着陸させるとしていると、米メディアも関心を持って報じた。
12月29日付
『スペースニュース』(1989年創刊の宇宙・衛星業界のビジネス・政治ニュース):「日本、米国が計画している有人月面探査計画に“米国人以外”で初となる日本人宇宙飛行士を送り込みへ」
岸田文雄首相は、十数年抱えてきた計画の最終目的として、米国が推進する有人月面探査「アルテミス計画(注後記)」に日本人宇宙飛行士を送り込む目標を掲げた。
同首相が12月28日開催の宇宙開発戦略本部の会合において、“日本として、米国主導で進められているアルテミス計画に基づく有人月面探査計画実現に向けて貢献していくとともに、2020年代後半に日本人宇宙飛行士を送り込んで月面着陸させたい”と発言した。...
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12月29日付
『スペースニュース』(1989年創刊の宇宙・衛星業界のビジネス・政治ニュース):「日本、米国が計画している有人月面探査計画に“米国人以外”で初となる日本人宇宙飛行士を送り込みへ」
岸田文雄首相は、十数年抱えてきた計画の最終目的として、米国が推進する有人月面探査「アルテミス計画(注後記)」に日本人宇宙飛行士を送り込む目標を掲げた。
同首相が12月28日開催の宇宙開発戦略本部の会合において、“日本として、米国主導で進められているアルテミス計画に基づく有人月面探査計画実現に向けて貢献していくとともに、2020年代後半に日本人宇宙飛行士を送り込んで月面着陸させたい”と発言した。
同首相は、同目標を含めた宇宙基本計画の改定工程表を閣議にかけた上で、来年度(2022年4月~)以降具体的に取り組んでいく意向としている。
同改定工程表には、民間企業による有人月面車や“その他月面での飛行士による作業に必須となる諸システム”の開発が含まれている。
アルテミス計画は米航空宇宙局(NASA、1958年設立)主導で進められていて、1972年の初めての月面着陸以来となる有人月面探査計画で、2025年に打ち上げられるアルテミス3号搭乗の2人の宇宙飛行士に月面着陸させる予定となっている。
ただ、この2人の宇宙飛行士は米国人となることが決まっていて、その前の2024年に打ち上げられる、月周回飛行の後に地球に帰還するミッションを司るアルテミス2号には、3人の米国人宇宙飛行士に加えて1人のカナダ人飛行士が加わることが昨年12月、NASAとカナダ宇宙庁(CSA、1989年設立)間で合意されている。
一方、2026年に打ち上げ予定のアルテミス4号以降(計画では2031年のアルテミス10号まであり)の搭乗宇宙飛行士の人数及び国籍等はまだ明らかにされていない。
なお、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA、1969年前身設立、2003年航空宇宙3機関が統合されて設立)は、目下抱えている7人の宇宙飛行士の平均年齢が52歳となっていることから、13年振りに新たに宇宙飛行士を募集することになった。
12月20日に募集が開始され応募期限は来年3月4日、そして2023年2月に最終選考される。
(注)アルテミス計画:2019年5月に明らかにされた、米国政府が出資する有人宇宙飛行(月面着陸)計画。2025年以降に人類を再び月に着陸させ、継続的な月面開発を目指している。この計画は、主にNASAとNASAが契約している米国の民間宇宙飛行会社、そして欧州宇宙機関 (ESA、1975年設立)、JAXA、CSA、オーストラリア宇宙庁(ASA、2018年設立) などの国際的パートナーによって実施される。同計画では、月への中継基地として月を周回する宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設し、飛行士はそこから月着陸船で月面に降り立つことになる。なお、アルテミスはギリシア神話に登場する月の女神で、アポロ計画の由来となった太陽神アポロンとは双子とされる。
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