イスラム過激派に対するフランスの対応をめぐり、イスラム圏にフランス製品をボイコットするよう呼び掛けているトルコのエルドアン大統領。実は、エルドアン大統領も自身の外交政策に反発しているサウジアラビアのトルコ製品のボイコットに直面している。
『RFI』は、サウジアラビアは、10月上旬から、トルコに対し無言の攻撃を開始したと報じている。トルコの製品、企業、投資に対するボイコットの呼びかけが、政府ではなく、サウジアラビア商工会議所協会の会長によってツイッターで発表された。サウジアラビアは、アラブ諸国で政治的・軍事的な活動を積極的に展開しているトルコに対する対抗策として、このような経済的攻撃に出ているという。
トルコのビジネス界ではこの貿易上の報復の影響が感じ始められており、ビジネス界からは、ボイコット運動を終わらせるための友好的な和解を求める声が上がり始めている。...
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『RFI』は、サウジアラビアは、10月上旬から、トルコに対し無言の攻撃を開始したと報じている。トルコの製品、企業、投資に対するボイコットの呼びかけが、政府ではなく、サウジアラビア商工会議所協会の会長によってツイッターで発表された。サウジアラビアは、アラブ諸国で政治的・軍事的な活動を積極的に展開しているトルコに対する対抗策として、このような経済的攻撃に出ているという。
トルコのビジネス界ではこの貿易上の報復の影響が感じ始められており、ビジネス界からは、ボイコット運動を終わらせるための友好的な和解を求める声が上がり始めている。
トルコが世界のファッションの重要な工場であることから、繊維産業が最も深刻な影響を受けているという。欧米ブランドがサウジアラビアのお店で販売するために、トルコで製作された衣類をサウジアラビアに輸出しているが、そうした発注が減り始めた。トルコ製品は税関で足止めを食らうため、サウジ市場に入るまで時間がかかるようになってしまったことが理由だ。スペインの人気ブランド「マンゴー」も、トルコのサプライヤーに対し代替品を探していると伝えたという。
新鮮な農産物の輸出業者も、サウジの国境で足止めされるため貨物が傷んでしまい、困っているという。また、トルコはカーペットや化学製品、鉄鋼も輸出しているが、こうした製品もサウジアラビアの税関で足止めされる対象となり関係するトルコ企業にとって厳しい打撃を受けている。
『ザ テレグラフ』によると、サウジアラビアの大手スーパーマーケットのアル・サダハングループがキャンペーンへの支持を表明するなど、ボイコットの動きはここ数週間サウジ国内で活発化しているという。これに続いて、乳製品会社のタミミ・マーケッツがトルコ製品へのボイコットに参加を表明した。また、多くのオンラインファッション小売業者も加わった。
しかし、サウジアラビアへの輸出額は約26億ドル(約27千億円)で、トルコにとって15番目の輸出市場にとどまっているため、ボイコットが壊滅的な影響を与える可能性は低いと考えられる。
一方で、トルコ製品に対するボイコットが他の中東諸国でも行われ始めているという兆候が見られる。モロッコはトルコのスーパーマーケットの商品に制限を設け、輸入税を大幅に引き上げたことが報じられている。モロッコはトルコにとって主要な輸出市場であるが、2006年に調印された二国間協定を巡りエルドアン大統領と衝突しており、モロッコ政府は自国の経済的利益を損なっていると主張している。
ワシントンのアラブ湾岸諸国研究所の上級研究員フセイン・イビシュ博士は『エルサレムポスト』によるインタビューで、「経済学という言語は、各国が実践している最も強力な言語である 」と述べた。米国と中国の間、ロシアと欧州連合の間で「貿易戦争や経済制裁が政治的な道具として使われているが、それをサウジアラビアもやっている」と指摘している。
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