中国;米中貿易交渉再開直前にも拘らず、またしても米軍艦が南シナ海の中国領有権を侵害したとクレーム【米・香港メディア】
既報どおり、今週米中間で、両国貿易問題解決のための交渉が再開された。中国側は、交渉進展に期待を持っているようだが、そうした最中、米軍艦が南シナ海の中国が主張する領海域に進入したという。米側の真意が測りかねるが、穿った見方をすれば、ドナルド・トランプ大統領がよくやる、ある重要な会談や交渉直前に、相手方当事者・国を一方的に腐した上で交渉に臨むという方策を、再度実行に移したのかとも取れなくもない。
1月7日付米
『AP通信』:「中国、米中貿易交渉直前に米軍艦が南シナ海の中国領有権を侵害したと非難」
中国外交部(省に相当)の陸慷(リウ・カン)報道官は1月7日、南シナ海における中国が主権範囲と主張する領海内に、米軍艦が再び侵入してきたと非難した。
今週、米中実務者による、米中貿易交渉が再開することになっているが、その直前の蛮行は許せないとして、同報道官は、“(重要な会議・交渉に当って)双方はより良い環境作りを果たす責任がある”と強調した。...
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1月7日付米
『AP通信』:「中国、米中貿易交渉直前に米軍艦が南シナ海の中国領有権を侵害したと非難」
中国外交部(省に相当)の陸慷(リウ・カン)報道官は1月7日、南シナ海における中国が主権範囲と主張する領海内に、米軍艦が再び侵入してきたと非難した。
今週、米中実務者による、米中貿易交渉が再開することになっているが、その直前の蛮行は許せないとして、同報道官は、“(重要な会議・交渉に当って)双方はより良い環境作りを果たす責任がある”と強調した。
同報道官によると、中国の領海内に侵入したのは米ミサイル駆逐艦“マッキャンベル”で、中国側はすぐさま戦闘機と軍艦を派遣し、同艦に対して領海内から退去するよう警告を発したという。
目下のところ、中国によるかかる非難声明に対して、米側のコメントは得られておらず、また、この騒動によって、現行の米中貿易交渉に如何なる影響を及ぼすのか不詳である。
一方、経済専門家は、12月1日に米中両首脳が合意した、90日間の停戦期間というのは、両国間の難題を解決するにはあまりに短いとコメントしている。
ただ、米中間での関税賦課合戦という貿易紛争に突入して以来、米中両国の経済見通しに陰りが見え始めていることから、米中双方の交渉団にとって、早期合意という強いプレッシャーになりつつあるともみている。
一方、同日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「米軍艦、米中貿易交渉開始直前に南シナ海のパラセル(西沙)諸島海域を監視航行」
米太平洋艦隊のレイチェル・マックマー報道官は、ミサイル駆逐艦“マッキャンベル”が南シナ海のパラセル諸島(ベトナムの約240キロメーター東、中国/海南島の約300キロメーター南東にある、約50の島嶼からなる諸島)海域を監視航行したと発表した。
同報道官は、如何なる国による“行き過ぎた海洋進出”も許されないことを明らかにするため、航行の自由作戦を展開したものだと付言した。
なお、中国外交部の陸報道官が1月7日、重要な米中貿易交渉が再開される直前に、交渉環境を乱すような米側行為は看過できないと非難の声を上げている。
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米中貿易交渉再開;中国側は楽観的だが実際には両国間隔たりは大きいとの見方【米・香港メディア】
1月6日付米
『AP通信』:「中国、米中貿易交渉再開を前に楽観的、しかし実際には両国間に大きな隔たり」
米中間貿易交渉が1月7~8日、北京で再開される。
これに先立って中国外交部(省に相当)の陸慷(リウ・カン)報道官は1月4日、双方の交渉団は“前向き、かつ建設的な交渉”を行うだろうとのコメントを発表していた。
米国側は、ジェフリィ・ゲリッシュ通商代表部副長官を団長として交渉に臨むが、中国側のメンバーは依然明らかになっていない。...
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1月6日付米
『AP通信』:「中国、米中貿易交渉再開を前に楽観的、しかし実際には両国間に大きな隔たり」
米中間貿易交渉が1月7~8日、北京で再開される。
これに先立って中国外交部(省に相当)の陸慷(リウ・カン)報道官は1月4日、双方の交渉団は“前向き、かつ建設的な交渉”を行うだろうとのコメントを発表していた。
米国側は、ジェフリィ・ゲリッシュ通商代表部副長官を団長として交渉に臨むが、中国側のメンバーは依然明らかになっていない。
そして、在中国米大使館からも、また中国商務部からも、交渉に臨む具体的方針などは明らかにされていない。
しかし、そもそもドナルド・トランプ大統領が、中国側の知的財産窃取等への制裁として中国製品に25%の関税を賦課すると通告して、現行の米中関税賦課合戦が始まったことから、根本問題が解決されない限り、米中貿易紛争の鎮静化は全く容易ではない。
特に、米国側は、2015年に習近平(シー・チンピン)国家主席がぶち上げた「メイド・イン・チャイナ2025計画(注後記)」に基づき、中国が西側諸国の先端技術を窃取したりして、結果的に安全保障にも影響のある情報通信等の分野に殴り込みをかけてくることを非常に懸念している。
ただ、習指導部は「メイド・イン・チャイナ2025計画」を容易に断念するとは考えられない。
なお、UBS(スイスに根拠を置く、世界最大級の金融グループ)が1月4日に発表した調査結果によると、トランプ大統領による中国製品への追加関税賦課を恐れて、調査対象200社の製造業者のうち37%が、直近1年の内に中国外へ生産拠点を移しているという。
一方、1月7日付香港『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』オンラインニュース:「一部に楽観論があるものの、米中貿易交渉は妥結を見ないで継続との見方」
トランプ大統領は先週、習国家主席及び自身も本交渉に深く関わっていることから、何らかの進展・合意が期待できるとコメントしていた。
米側交渉団として北京入りしたゲリッシュ通商代表部副長官一行は1月7日、記者団等メディアの問いかけに一切答えず、中国側交渉団との交渉に臨んでいる。
なお、大方の見方は、今週の交渉での合意は期待できないものの、来週から訪中する米側のロバート・ライトハウザー通商代表部長官と、中国側の劉鶴(リウ・ホー)国務院副総理との間での交渉への足掛かりとなるとしている。
(注)メイド・イン・チャイナ2025計画:2025年までに、次世代通信・先端ロボット・宇宙分野等において中国製品を世界で競争できるレベルまで引き上げ、建国100周年に当る2049年までに、その分野において世界最強国として君臨できるレベルにするとの計画。
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