日本の消費動向;消費税増税に加えて暖冬及び新型コロナウィルス感染騒動で2020年見通し暗し【米・カナダメディア】(2020/02/07)
日本政府が2月7日に公表したデータによると、昨年10~12月の消費支出は消費税増税や台風被害のために落ち込んでいて、特に12月は市場予想値の3倍近くも減少した。一方、実質賃金も減少していて、日本の消費者にはダブル、トリプルパンチとなっている。日銀は、米中貿易交渉の第一段階の基本合意もあって、今年半ばまでに世界経済も回復に向かい、日本の輸出も再び伸びると予想しているが、米メディアは、新型コロナウィルス流行による世界経済への悪影響があるとみざるを得ず、日銀予想に疑問符を付けている。
2月7日付米
『ロイター通信』:「日本の全世帯の消費支出は消費税増税及び悪天候の影響で大幅減少」
日本政府が2月7日に公表したデータによると、全世帯の消費支出高は消費税増税の影響を受けて、3ヵ月連続の減少となっただけでなく、12月の落ち込みは前年同月比▼4.8%と市場予測の中間値▼1.7%を大きく上回った。
昨年10月1日に4年半振りに消費税が8%から10%に上がったことから、10月の消費支出は▼5.1%と2016年3月以来の大幅落ち込みとなり、11月も▼2%減少している。...
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2月7日付米
『ロイター通信』:「日本の全世帯の消費支出は消費税増税及び悪天候の影響で大幅減少」
日本政府が2月7日に公表したデータによると、全世帯の消費支出高は消費税増税の影響を受けて、3ヵ月連続の減少となっただけでなく、12月の落ち込みは前年同月比▼4.8%と市場予測の中間値▼1.7%を大きく上回った。
昨年10月1日に4年半振りに消費税が8%から10%に上がったことから、10月の消費支出は▼5.1%と2016年3月以来の大幅落ち込みとなり、11月も▼2%減少している。
農林中金総合研究所の南武志チーフ・エコノミスト(調査第二部長)は、“暖冬によって季節商品の売り上げ減少”が大きいとした上で、“新型コロナウィルス感染懸念で1~3月期も消費期待薄”とコメントしている。
政府高官も、暖冬によって冬物野菜やストーブ・ヒーターなどの消費減少のみならず、外食やその他遊興費の支出も落ち込んでいるとする。
一方、昨年12月の実質賃金も全同月比▼0.9%減少し、2019年通年でも▼0.9%落ち込みと、2018年の+0.2%上昇の反発となっている。
なお、2月7日公表データには、新型ウィルス感染拡大の影響が加味されていないため、経済専門家は、観光収入落ち込み含めて今後暫く消費支出への悪影響が見込まれるとしている。
日本経済は、昨年7~9月期には通年ベースで+1.8%成長すると予想されていたが、消費税増税のみならず、大型台風被害を受けて、10~12月期は落ち込むと予想されていた。
一方、日銀は先日、米中貿易交渉の第一段階基本合意を受けて、今年半ば頃までには世界経済も持ち直し、よって日本の輸出も回復すると予想していた。
しかし、新型コロナウィルス感染の世界経済に与える影響が測り知れないことから、日銀の楽観的経済見通しに疑問が投げかけられている。
同日付カナダ『クロニクル・ヘラルド』紙:「安倍首相、関係省庁に新型コロナウィルスによる経済への悪影響軽減対策に万全を期するよう檄」
西村康稔経済再生担当大臣は2月7日、安倍首相が閣議で、新型コロナウィルス感染拡大による経済への悪影響を防ぐため、特別予算支出含めて“あらゆる手段”を講じるよう檄を飛ばしたと語った。
同相は、消費支出減少のみならず、外国人観光客による観光収入落ち込みも懸念されると付言した。
東京オリンピック組織委員会委員長も、7、8月開催の東京オリンピック・パラリンピックに“冷水を浴びせる”ようなものだと懸念を表明した。
一方、麻生太郎財務相は、政府系金融機関のみならず民間金融機関に対しても、新型コロナウィルス感染の影響に立ち向かってもらうため、民間企業へ資金提供等積極的に対応するよう指示した旨明かした。
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トランプ大統領再選に追い風? 同大統領選挙公約の新NAFTAがいよいよ発効見通し【米・カナダメディア】(2020/01/22)
再選を目指すドナルド・トランプ大統領は、弾劾裁判手続きが進められたり、イランとの関係が極度に悪化したりと、逆風にさらされている。そうした中、大統領選で公約に掲げた北米自由貿易協定(NAFTA、1992年12月署名、1994年1月発効)に代わる新協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、2018年12月署名)」が発効する可能性が見えてきた。
1月21日付米
『AP通信』:「カナダが来週、新NAFTA自由貿易協定承認手続きへ」
カナダのジャスティン・トルードー首相は1月21日、来週議会が開会されたら、NAFTAに代わるものとして新たに合意されたUSMCA発効のための承認手続きを進める旨表明した。
同首相は、数百万人のカナダ市民が依拠している北米他国との新貿易協定を、可及的速やかに発効させる必要があると説いた。
ドナルド・トランプ大統領は2016年の大統領選挙時、“史上最悪の貿易協定”であるとして、現行NAFTAを改定することを公約に掲げていた。...
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1月21日付米
『AP通信』:「カナダが来週、新NAFTA自由貿易協定承認手続きへ」
カナダのジャスティン・トルードー首相は1月21日、来週議会が開会されたら、NAFTAに代わるものとして新たに合意されたUSMCA発効のための承認手続きを進める旨表明した。
同首相は、数百万人のカナダ市民が依拠している北米他国との新貿易協定を、可及的速やかに発効させる必要があると説いた。
ドナルド・トランプ大統領は2016年の大統領選挙時、“史上最悪の貿易協定”であるとして、現行NAFTAを改定することを公約に掲げていた。
同大統領によれば、現行NAFTAは米国にとって、貿易赤字と製造業の雇用喪失を招くだけだと批判していた。
なお、メキシコは既に昨年6月に新協定の批准手続きを済ませ、また、米上院も先週、USMCA発効のための法制化について決議している。
一方、同日付カナダ『クロニクル・ヘラルド』紙(『ロイター通信』配信):「トルードー首相はUSMCA協定の速やかなる批准を欲するも、野党は拙速と反対」
カナダは唯一、トランプ大統領主導で進められたUSMCA協定の承認手続きを済ませていない。本協定は、3ヵ国が批准しないと正式に発効しない。
トルードー首相は、来週開かれる議会に承認取得のための法的手続きを踏むとしているが、場合によって決議が4月までずれ込む恐れもあり、今秋の大統領選の再選にかけるトランプ大統領としては、USMCA発効の遅延につながりかねないとイライラさせられることになろう。
何故なら、トルードー首相の与党・自由党は昨年の総選挙(注後期)で過半数割れしてしまい、政策決定・実行に当たっては他の少数党と連携する必要となっているからである。
しかし、野党勢力の本協定に対する不満は強く、最大野党・保守党のランディ・ホバック広報担当は、カナダの酪農家やアルミ産業への損害が疑われるため、当該協定詳細をじっくり精査する必要があると厳しく指摘している。
なお、米国では、上院が先週、本協定を圧倒的多数で承認決議し、トランプ大統領の署名を待つばかりとなっている。
(注)カナダ総選挙:2019年10月実施の下院総選挙(定数338議席)で、自由党157議席、保守党121、ブロック・ケベック32、新民主党24、緑の党3、無所属1と、与党が20議席を失って過半数割れの結果となっている。
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