欧州連合(EU)はアイルランドの米アップル社に対する課税優遇措置が違法だとし、アップルに最大130億ユーロの追徴税をアイルランドに納付するよう命じた。アップルとアイルランド双方は決定を不服として控訴する方針。欧州委員会によると、アイルランドにおける法人税率は12.5%であるが、これまで同社への課税を最低水準にする特別措置を行ったという。
米政府はこの決定を痛烈に批判しEUとの関係悪化を懸念。一方米政府内では税制改革議論が再燃している。アイルランド政府はEUの調査対象がEU小国と米企業を対象とし限定的だと批判。この決定で同国の法人税率や他企業に影響は及ばないとしている。
8月31日付
『ロイター通信』は「EUのアップルへの命令により米で税改革論高まる」との見出しで次のように報道している。
・ EUがアップルへの追加徴税を命じた事で、米オバマ政権下ではすぐに批判と税制改革議論が再燃。与野党からは税法改正が必要だとの指摘が上がった。政府と財務省は当件がEUとの経済関係に影響すると懸念。国内の主要企業トップが会員のビジネス・ラウンドテーブは、この決定を法治下の企業への「侵略行為」とした。...
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8月31日付
『ロイター通信』は「EUのアップルへの命令により米で税改革論高まる」との見出しで次のように報道している。
・ EUがアップルへの追加徴税を命じた事で、米オバマ政権下ではすぐに批判と税制改革議論が再燃。与野党からは税法改正が必要だとの指摘が上がった。政府と財務省は当件がEUとの経済関係に影響すると懸念。国内の主要企業トップが会員のビジネス・ラウンドテーブは、この決定を法治下の企業への「侵略行為」とした。
・昨年公開の左派非営利団体2社による調査によると、アップルは米企業最高の1810億円のオフショア会社を所有。
・欧州委員会までもが米国の租税法を間接的に批判、政府がアップルのアイルランドでの収益を親会社に回し研究開発費に充てれば、税制改革が進むだろうと非難。
・米政府内には欧州委員会の決議は政権干渉であり、米に不利になるとの意見もある。
・アップルとアイランド側はEUの決定に控訴する予定だが、アナリストによれば、敗訴すればアイルランドのように低税率の欧州の国での増税により、海外資本対策の見直しを迫られるだろう。租税政策センター研究者は税逃れのオフショア手法は終焉に向かうとする。
・アマゾンやマクドナルドも既にルクセンブルグでの税調査を受けており、スターバックスはオランダへの3000万ユーロの支払い命令を受けている。
8月30日付英
『IBT』は「アップルはアイルランドからの違法な補助金授受で追加租税か」との見出しで次の様に報道している。
・アップルは欧州で過去最高の税ペナルティに瀕している。欧州委員会はアイルランドが違法にアップル対し税免除を行い、見返りに同国内の雇用創出を図っていたと主張している。「ロイター通信」は欧州で企業によるペナルティの中で最高額となると予想。
・アイルランドの低法人税は外資系企業には大変魅力であり、またアイルランドの労働者の10人に1人がこのような企業に勤務。
・だが一方EU法では国税当局による税の優遇は認められていない。欧州委員会はアイルランド政府が1991年と2007年にアップル社の課税を最低水準にする特別措置をしたと訴えている。
・一方、米政府はアップルその他米企業への調査を痛烈に批判、財務省はEUは「越境した国税局」だという。EU側は米企業をターゲットにしているとの疑惑を否定、国を限定せず税逃れを許さないようEUの法を順守していると主張。
8月29日付アイルランド
『アイリッシュタイムズ』は「アップルへ命令、政府文書はEUによる差別だと批判」次の様に報道している。
・ 欧州委員会による徴税命令の前に、アイルランド政府内には機密文書が回覧された。当命令はアイルランドの評判を落とし国際税法に抵触するものだという。独立同盟にも配られた20ページに及ぶ文書には文書は、米国の130億ユーロの税逃れを痛烈に批判。なぜ国は税金を公共施設や学校建設に充てられないのか、無責任で短絡的であるとする。
・アイルランド政府はアップル社を優遇した事実はないとし、EUの決定に非常に不服であり、これは
同国の12.5%の法人税や他企業への影響はないとする。批判は対象が限定的である点にも及び、EU加盟小国と米企業をターゲットにするとは委員会の選定には偏向がみられるとする。
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