イギリスの複数の大学が、これまで蓄積されてきた新型コロナウィルスの感染データを基に子どものコロナ感染について調査を行い、症状のある子どものほとんどは1週間ほどで回復していることが分かった。
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『イタリア24ニュース』とマレーシア
『マレーメイル』によると、英医学誌「ランセット・チャイルド・アンド・アドレセント・ヘルス」に英国の研究結果が掲載された。本研究は、5歳から17歳までの子どもたち25万8790人を対象に行われ、データは、親や介護者のモバイルアプリを介した報告から得られた。2020年9月1日から2021年1月24日の間に、1734人の若者が、症状が出た後にPCR検査で陽性が報告された。彼らの健康状態が定期的に報告され、回復するまでの期間追跡調査が行われた。
その結果、12歳から17歳の子どものほとんどは回復するのに7日間かかったのに対し、5歳から11歳の子どもたちは5日だったことが判明した。なお、陽性と判定された1734人の若者のうち、4%が4週間以上、2%以下が8週間以上、症状が続いた。
症状が長期化した子どもの84%が、回復期に少なくとも一度は疲れを感じたと報告している。他にも頭痛が病気の初期によく報告され、嗅覚の喪失は回復期後半に報告されることが多かった。
コロナではなく、風邪やインフルエンザなどの他の病気にかかっている子どもたちとの比較調査も行われた。その結果、コロナに感染した子どもたちは、他の病気の子どもたちよりも回復するまでの日数が長く(平均6日対3日)、4週間以上症状が続く割合も高いことがわかった。コロナに感染した子どもたちのうち4.4%が長期化したのに対し、他の病気では0.9%にとどまった。
米『ウォールストリート・ジャーナル』は、英国の研究者が英国の国民健康保険システムの医療記録や他国のデータを集めて行った3つの研究結果について伝えている。1つの研究では死亡リスクに焦点を当て、他の2つの研究では重症化と死亡のリスクを調査した。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのグレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所やブリストル大学が行った死亡率に関する研究では、複数の国内データベースを分析し、2020年3月1日から2021年2月28日までにコロナで死亡したイングランド全土の18歳未満の子どもを特定した。
コロナが原因で死亡した子供25人のうち15人には重篤な疾患があり、4人には慢性的な基礎疾患があった。研究者らは、神経系と呼吸器系の疾患を併せ持つ子どもが最も死亡の危険性が高いと述べている。死亡したうちの3人は、感染症の深刻な合併症である多臓器炎症候群が原因だった。死亡した子どものうち6人だけ、基礎疾患がなかった。なお、喘息、糖尿病、てんかん、ダウン症の単独の診断を受けている子どもで、死亡した子どもはいなかった。
他の2つの論文では、普段の健康状態が重症化のリスクに影響すると報告している。グレート・オーモンド・ストリート小児保健研究所のジョセフ・ワード氏は、コロナに感染した際の「重症化のリスクを高める要因は、子どもでも大人でもほぼ一貫しているようだ」と述べている。
糖尿病、喘息、心血管疾患などを有する子どもでは、集中治療室への入室リスクが高いことがわかった。また、複数の疾患を抱えている子どもが最もリスクが高い。それでも、絶対的なリスクは非常に小さかったと、研究者らは述べている。
これらの研究はいずれも、現在、世界各地で主流となっているデルタ株が出現する前の時期に行われたものであるが、著者らは、デルタ株が子どもの重症化や死亡を引き起こすという証拠はまだないと述べている。
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