「安保理・拒否権行使に説明義務」決議案提出へ(4月14日)
この決議案はヨーロッパのリヒテンシュタインが取りまとめているもので安保理で常任理事国が拒否権を行使した場合、10日以内に国連総会の会合を開き拒否権を行使した理由を説明することを義務づけるとしている。
リヒテンシュタインの国連代表部によると、すでに40か国以上が共同で決議案を提案する意向を示していて来週にも国連総会に提出する。
決議案について米国・トーマスグリーンフィールド国連大使は声明を発表し共同提案国に加わったことを明らかにした上で「常任理事国の説明責任や透明性に向けた重要な一歩になる」と評価した。...
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この決議案はヨーロッパのリヒテンシュタインが取りまとめているもので安保理で常任理事国が拒否権を行使した場合、10日以内に国連総会の会合を開き拒否権を行使した理由を説明することを義務づけるとしている。
リヒテンシュタインの国連代表部によると、すでに40か国以上が共同で決議案を提案する意向を示していて来週にも国連総会に提出する。
決議案について米国・トーマスグリーンフィールド国連大使は声明を発表し共同提案国に加わったことを明らかにした上で「常任理事国の説明責任や透明性に向けた重要な一歩になる」と評価した。
安保理では今年2月、ロシアに対してウクライナからの軍の即時撤退などを求める決議案がロシアの拒否権によって否決された。安保理が機能不全に陥っていると指摘される中、今回の決議案が常任理事国による拒否権の行使に歯止めをかけることにつながるのか注目される。
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2022年「戦争と平和」(4月11日)
宇宙や環境問題に人々の関心が集まっている2022年において、未だに目を覆いたくなるような残酷で悲惨な戦争がウクライナにおいて行われていることに世界は愕然としている。
多数の施設が破壊され、民間人が巻き添えになり、戦車や戦艦による砲弾が飛び交う重厚長大型の戦争が、よりによって国連安保常任理事国の一角を担うロシアの侵攻によって引き起こされるとは誰も考えていなかった。
「欧州のパンかご」とも呼ばれる穀倉地帯・ウクライナで突然、戦争が始まってしまったことに対して欧州人は困惑している。...
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宇宙や環境問題に人々の関心が集まっている2022年において、未だに目を覆いたくなるような残酷で悲惨な戦争がウクライナにおいて行われていることに世界は愕然としている。
多数の施設が破壊され、民間人が巻き添えになり、戦車や戦艦による砲弾が飛び交う重厚長大型の戦争が、よりによって国連安保常任理事国の一角を担うロシアの侵攻によって引き起こされるとは誰も考えていなかった。
「欧州のパンかご」とも呼ばれる穀倉地帯・ウクライナで突然、戦争が始まってしまったことに対して欧州人は困惑している。彼らは「現代の問題は地球温暖化問題であり、もはや戦争は過去のものだ」と考えていた。
ウクライナはNATOやEUには加盟していないが、民主国であり白人でカトリックが多く、心情的には西欧に近い存在である。そこに戦争を引き起こしたロシアに対する欧州の怒りは大きい。
ロシアにとってはチェチェン戦争やシリア戦争で行ってきた同じ手法をウクライナ対して、用いただけだが、中東やアフリカとはかなり勝手が違っていた。今回の戦争は暴力を批判し、国際秩序のルールメーカーでもある欧州の目にロシアの残虐性が目に留まってしまったからである。
それによって国際世論も大きく動かされた。これまでロシアが行ってきた戦争も含めて世界にロシアの非人道的行為が知れ渡った。結果としてロシアは国連人権委員会から追放され、SWIFTからの除外など、これまで前例のない規模の制裁を科されることになった。プーチンが大統領である間は国際な諸問題について、ロシアが一緒に取り組んでいくべきパートナーでないということを世界は認識した。
今後の関心はこの戦争をどのように平和裏に終わらせるかということである。世界のパワーバランス、世界秩序にも関わってくる問題であるため、世界の注目はウクライナ戦争が、どのように終結させるかの一点に絞られている。
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これからの戦争や紛争への対処方法(4月9日)
いくつもの巨大な建造物が瓦礫と化した場面や、民間人が大量殺戮された現場の映像や動画で次々と送られてくるのを毎日のように、テレビやスマホを通じて目に飛び込んでくる。
ウクライナ戦争はテレビとSNS(スマホ)を駆使し「至近距離で見ることができる戦争」ということができる。
湾岸戦争(1990年)や9.11同時多発テロ(2001年)の時はテレビを主体とし、「茶の間で見ることができる戦争・テロ」とも言われた。...
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いくつもの巨大な建造物が瓦礫と化した場面や、民間人が大量殺戮された現場の映像や動画で次々と送られてくるのを毎日のように、テレビやスマホを通じて目に飛び込んでくる。
ウクライナ戦争はテレビとSNS(スマホ)を駆使し「至近距離で見ることができる戦争」ということができる。
湾岸戦争(1990年)や9.11同時多発テロ(2001年)の時はテレビを主体とし、「茶の間で見ることができる戦争・テロ」とも言われた。当時まだスマホは登場していなかった。
今回のウクライナ戦争では、ロシアの攻撃を恐れ国外逃亡したと言われていたウクライナのゼレンスキー大統領が自撮りをしつつ「自分は逃げていない。キエフにいる」と叫んでいる動画をSNS経由でリアルタイムに配信し、ウクライナ国民・世界に勇気を与えたことは記憶に新しい。
元コメディアンという肩書で紹介されることが多いゼレンスキー大統領は実はテレビ局のオーナーでもあり、メディアの扱いに習熟していることがこうしたことを可能にした。さらにゼレンスキー大統領の妻も脚本家であり、ゼレンスキー大統領のスピーチライターでもあるという。機動性に優れるゼレンスキー政権には映画プロデューサーもいる。
異色な点はそれだけではない。現地にはまるで大規模イベント開催時に世界各国のメディアを受け入れるプレスセンター「プレス・フリーダム・センター」(リヴィウ)がある。このセンターは「国境なき医師団」が作ったもので、安全を考えてカメラマンや記者はここで事前に取材可能な場所と、そうでない場所のブリーフィングを受けるという。
我々はスマホやテレビを通して世界の裏側で起きている戦争の進行状態をリアルタイムに知ることができる。こうした環境下では地域における戦争であってもグローバル化したものと見ることが妥当である。
地域紛争であっても「世界の視線にさらされている」という感覚が出てきたことは中国の台湾や南シナ海での行動にも影響を与える可能性があり、日本もそうした機能を強化する必然性に直面していると言える。
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米英豪・極超音速兵器・共同開発へ(4月6日)
米国、英国、オーストラリアの3か国による安全保障の枠組み「AUKUS」が首脳声明を発表し、極超音速兵器の開発を共同で行うとした。先行して開発しているとされる中国、ロシアに対抗する狙いがあるとみられる。
極超音速兵器はマッハ5以上で飛行することなどから迎撃が難しいとされている。先月、ロシアがウクライナでの実戦で使用したと発表、北朝鮮も今年1月に発射実験を行ったとしている。
去年9月に設立されたAUKUSは、海洋進出を続ける中国を念頭にオーストラリアの原子力潜水艦の配備を技術面で支援するほか、サイバーやAIの分野での協力も行うなど軍事面の連携を深めている。
インドはバランス外交から脱却できるのか(4月2日)
民主主義国家として位置付けられるインドが驚くべきことに、ウクライナを非人道的な形で侵略した専制国家・ロシアを事実上サポートしている。インドはロシアのウクライナへの軍事侵攻を非難しないどころか、一部のインド企業がロシア産の原油を割引価格で購入することを意図的に見逃がしているとも見られている。
それだけでなはない。インド政府はロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、ロシア産原油、少なくとも1300万バレル以上を購入したとされている。...
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民主主義国家として位置付けられるインドが驚くべきことに、ウクライナを非人道的な形で侵略した専制国家・ロシアを事実上サポートしている。インドはロシアのウクライナへの軍事侵攻を非難しないどころか、一部のインド企業がロシア産の原油を割引価格で購入することを意図的に見逃がしているとも見られている。
それだけでなはない。インド政府はロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、ロシア産原油、少なくとも1300万バレル以上を購入したとされている。
4月1日にはロシア・ラブロフ外相とインド・ジャイシャンカル外相との間で今後の原油の支払い方法などが議論されたという。
米国・欧州・日本などの民主主義国家からみればインドの行為は期待するものではなく、米政府高官は「インドのロシア産原油購入は、インド政府を大きなリスクにさらすことになる」と警告した。
自国の利益を最大化するため、テーマごとに組む相手を変えるインド独自のバランス外交が、国際社会が一致団結して行っている「ロシアに対する経済制裁」を骨抜きにしつつある。
なぜインドはロシアを助けるのだろうか。インドとロシアはソ連時代からの伝統的な友好国であり、ロシア製武器の最大の顧客でもある。インド軍の超音速巡航ミサイル「ブラーモス」はロシアと共同開発したものである。
エネルギーでもロシア産原油に多くを依存している。さらには上海協力機構、ブリックスなど、中ロと共通する国際的枠組みに多く参加している。親しい関係と呼んでもいいかもしれない。
仮にこのままインドがロシアに対して経済支援を続けた場合には、インドに対する経済制裁を躊躇なく行う必要が出てくるだけでなく、同じ価値観を有することが原則である「クアッド」のメンバーからインドを除外せざるを得なくなる戦略上の大きな問題も浮上する。
4月後半にもクアッドが開催される予定だが、この時に日米豪はインドに対しロシアへの支援を行わないよう注文をつけるとみられる。これにインドがどのように対応するかに大きな注目が集まっている。
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