日銀“経済・物価への影響極めて不確実性高い”(4月11日)
日銀は3か月に1度支店長会議を開いていて、今回はおよそ2年ぶりに各支店長らが本店に集まる形で行われた。この中で黒田総裁は景気の現状について「新型コロナウイルスの影響などから一部に弱めの動きも見られるが基調としては持ち直している」という見方を改めて示した。
そのうえで物価の先行きについて「当面、エネルギー価格が大幅に上昇し原材料コスト上昇の価格転嫁も進むもとでプラス幅をはっきりと拡大すると予想される。...
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日銀は3か月に1度支店長会議を開いていて、今回はおよそ2年ぶりに各支店長らが本店に集まる形で行われた。この中で黒田総裁は景気の現状について「新型コロナウイルスの影響などから一部に弱めの動きも見られるが基調としては持ち直している」という見方を改めて示した。
そのうえで物価の先行きについて「当面、エネルギー価格が大幅に上昇し原材料コスト上昇の価格転嫁も進むもとでプラス幅をはっきりと拡大すると予想される。基調的な物価上昇圧力は高まっていく」と述べ、物価の上昇傾向が続くという見方を示した。
またリスク要因として変異株を含む新型コロナウイルスの感染動向に加えてウクライナ情勢を挙げ、国際金融資本市場や資源価格、海外経済の動向などを通じてわが国の経済物価に及ぼす影響は極めて不確実性が高いという認識を示した。
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日銀の動き(4月10日)
世界の中央銀行間では、これまで行われてきた中央銀行が紙幣を印刷し、市中にばら撒く金融緩和を見直し、正常化に向かう流れを加速させている。
一方で、日本に目を向けると日銀は金融緩和路線を堅持するという、世界とは真逆の政策を採っている。
今から10年前の2012年12月に日銀総裁に就任した黒田総裁はデフレ脱却に向けて、異次元の金融緩和に踏み込んだが、今になってもこの方針を堅持している。黒田総裁の任期は残り1年であるが、任期中はこの方針を変えないとしている。...
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世界の中央銀行間では、これまで行われてきた中央銀行が紙幣を印刷し、市中にばら撒く金融緩和を見直し、正常化に向かう流れを加速させている。
一方で、日本に目を向けると日銀は金融緩和路線を堅持するという、世界とは真逆の政策を採っている。
今から10年前の2012年12月に日銀総裁に就任した黒田総裁はデフレ脱却に向けて、異次元の金融緩和に踏み込んだが、今になってもこの方針を堅持している。黒田総裁の任期は残り1年であるが、任期中はこの方針を変えないとしている。
日銀が米国・FRBのような急速な利上げにはなかなか踏み込めない理由は、例えば金利を2%上げると約1000兆円ある日本の借金の年間の利払いコストが20兆円増えることになるため、簡単には金利を上げられないということがある。十分な税収が見込めないままに金利が上昇すれば、利払い費の増加で国の財政が大きく揺るがされることになる。
一方で金融緩和措置を維持し、円安をこのまま放置した場合、賃金が上がらない中、物価が高騰しスタグフレーションを招く可能性があるとして黒田総裁への風当たりも強くなってきている。
政策を維持するか修正するかのジレンマに置かれた黒田総裁だが、一部投資家からは「任期中の政策修正もあるのではないか」との声も聞こえてきている。
急激な円安に振れる前に行われたみずほ証券の調査「3月投資家動向調査」によると、次に予想される日銀政策について「金融引き締めに動く」と答えた投資家が85.7%で、「緩和」と答えた14.3%を大幅に上回った。
この1年間、黒田総裁の動きから目が離せない。
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黒田日銀・円安と金融緩和のジレンマ(4月8日)
円安の背景に米国・FRBが政策金利を連続して引き上げる一方で日銀は大規模な金融緩和を続けていることにある。円を売ってドルを買う動きが高まり円安に。しかし輸入物価の上昇を通じて日本経済にマイナスの影響をもたらす恐れがある。
日銀・黒田総裁は円安は日本経済をトータルで見てプラスとの見方を崩していない。
ちばぎん総合研究所・前田栄治社長は円安は非常にプラスであるというメッセージが強すぎるのではないかとコメント。
日本総合研究所・河村小百合主席研究員は局面が大きく変化しているので柔軟な金融政策運営をやってもらいたいとコメントした。
黒田総裁の任期は残り1年となった。
日本の成長の見通し・+2.4%に引き下げ(4月7日)
IMF(国際通貨基金)は、日本経済に関する審査の結果を報告書にまとめ、日本時間の今日公表した。それによると、今年1月時点ではプラス3.3パーセントとしていた日本の成長率の見通しについて、プラス2.4%に引き下げた。
理由についてIMFは、消費がニッポン経済の回復を牽引するものの、原油などの原材料価格の上昇や、ウクライナ情勢による不確実性の高まりによって、国内需要の回復のペースが鈍化するほか、外需についてもウクライナ情勢に伴うヨーロッパ経済の減速の影響などを受けるためだとしている。...
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IMF(国際通貨基金)は、日本経済に関する審査の結果を報告書にまとめ、日本時間の今日公表した。それによると、今年1月時点ではプラス3.3パーセントとしていた日本の成長率の見通しについて、プラス2.4%に引き下げた。
理由についてIMFは、消費がニッポン経済の回復を牽引するものの、原油などの原材料価格の上昇や、ウクライナ情勢による不確実性の高まりによって、国内需要の回復のペースが鈍化するほか、外需についてもウクライナ情勢に伴うヨーロッパ経済の減速の影響などを受けるためだとしている。
今後のニッポン経済については、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる不確実性とウクライナ情勢が重大な下振れリスクだと指摘した上、生産性を向上させ、持続可能な成長を達成するための取り組みが重要だとしている。
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日本経済「円安のリスク」に直面(4月2日)
円安は12年前ぐらいまでは日本経済にとってプラスに作用してきた。戦後、日本経済は安くて品質が高い「メイドインジャパン」を武器にして、日本国内で製造した自動車や機械などを輸出することによって大きく成長してきた。その時代には円安は輸出をする企業にとって追い風として作用していた。
風向きが変わってきたのは2008年に起きたリーマンショック、2011年に発生した東日本大震災によってであり、この時、日本の製造業は輸出型から現地生産型に構造転換せざるを得なくなったため、円安になってもかってほど稼げなくなってしまった。...
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円安は12年前ぐらいまでは日本経済にとってプラスに作用してきた。戦後、日本経済は安くて品質が高い「メイドインジャパン」を武器にして、日本国内で製造した自動車や機械などを輸出することによって大きく成長してきた。その時代には円安は輸出をする企業にとって追い風として作用していた。
風向きが変わってきたのは2008年に起きたリーマンショック、2011年に発生した東日本大震災によってであり、この時、日本の製造業は輸出型から現地生産型に構造転換せざるを得なくなったため、円安になってもかってほど稼げなくなってしまった。
現在の日本の製造業にとって、円安は逆風であり、円安と資源高で原材料の調達コストが上がり、企業収益が圧迫されているという悲鳴が上がっている。
円安はエネルギー調達コストにもボディブローのように効いてきている。産業の血液とも言われる原油やLNGについて日本は海外からの調達にその多くを依存している。
ところが現在、OPECプラスの価格調整、ウクライナ危機などによって原油価格は急騰し、さらに円安の進行によって、結果的に日本はより高い値段でエネルギーを買わされる状況に陥っている。
追い打ちをかけるように、米国FRBをはじめとする各国中央銀行による利上げが迫っている。
日銀・黒田総裁は「円安は総じて日本経済にプラスである」と主張しているが、行き過ぎた円安は当然厳しい結果を伴うことになる。
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