米国大統領選挙は乱戦になるか(8月23日)
バイデン氏に批判されたトランプ大統領はこれからバイデン氏に対し猛烈な反撃を開始するとみられる。単なる大統領選のやりとりではなく、これから11月3日の大統領選までの約73日の間、我々は剥き出しの、弱肉強食社会・米国の本当の姿を目にする可能性がある。
おそらく73日では済まない。その理由はコロナの第2波、第3波などがあった場合、選挙戦の一部が郵便投票に持ち込まれる可能性が高いからである。郵便投票の結果が出るまでは数日から数週間かかる場合もある。...
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バイデン氏に批判されたトランプ大統領はこれからバイデン氏に対し猛烈な反撃を開始するとみられる。単なる大統領選のやりとりではなく、これから11月3日の大統領選までの約73日の間、我々は剥き出しの、弱肉強食社会・米国の本当の姿を目にする可能性がある。
おそらく73日では済まない。その理由はコロナの第2波、第3波などがあった場合、選挙戦の一部が郵便投票に持ち込まれる可能性が高いからである。郵便投票の結果が出るまでは数日から数週間かかる場合もある。郵便投票が増えれば民主党に有利になるとも一部では言われているが、民主党サイドはトランプ政権が米国郵便公社USPSに圧力を加え、郵便局の業務を縮小させていると主張している。ちなみにUSPSの総裁デジョイ氏はトランプ大統領の息がかかった人物であると言われている。
いずれにせよ共和党は投票率が低い方が有利だとみていて、できるだけ投票率を低くしようと郵便投票をあらゆる手法を使って妨害してくる可能性がある。郵便事業の見直しによって配達が遅れ、多くの無効票が出る可能性もある。
こうしたトランプ陣営の圧力は選挙結果そのものに影響することはもちろん、もし僅差でバイデン氏が勝利した場合にはトランプ大統領が敗北を認めない可能性さえある。
最終的には裁判にして最高裁まで持っていき争おうとするかもしれない。2000年に行われた共和党・ブッシュと民主党・ゴアの選挙では最後まで勝敗がもつれ、最高裁まで持ち込まれた前例がある。
この時は最終的に5対4の判決でブッシュが勝利した。最高裁判所は今回も5対4で共和党寄りの裁判官が揃っているため、トランプ大統領の戦略としては結果を認めずに最高裁までいく可能性がある。その時、米国には一時的ではあるが2人の大統領が存在するような事態も出てくるかもしれない。
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米国大統領選いよいよ(8月22日)
米国大統領選挙まで残りわずか73日となった。民主党・バイデン前大統領はオンラインで開催された民主党・党大会の最終日に指名受諾演説を行った。バイデン氏は妻や子どもを事故や病気で失うなどした経験を語り、逆境に立ち向かう姿を現在の米国と重ね合わせてみせ、名指しこそ避けたものの、新型コロナウイルスで感染者500万人、死者17万人を出したトランプ大統領について「現職大統領は国を守るという最も基本的な義務を果たし損ねた。...
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米国大統領選挙まで残りわずか73日となった。民主党・バイデン前大統領はオンラインで開催された民主党・党大会の最終日に指名受諾演説を行った。バイデン氏は妻や子どもを事故や病気で失うなどした経験を語り、逆境に立ち向かう姿を現在の米国と重ね合わせてみせ、名指しこそ避けたものの、新型コロナウイルスで感染者500万人、死者17万人を出したトランプ大統領について「現職大統領は国を守るという最も基本的な義務を果たし損ねた。これは許されないことだ」「米国民は事実を基に大統領に審判を下してほしい」「米国が独裁者にすり寄る時代はもう終わりだ」と痛烈に批判した。
一方、トランプ大統領はこの同じ日にわざわざバイデン氏の故郷であるペンシルバニア州に出向いて支持者に対して「バイデン氏は最低の悪夢だ」「バイデン氏が選ばれれば米国は破壊されることになるだろう」とバイデン氏を批判する演説を行った。共和党の全国大会は24日から始まり、27日にはホワイトハウスからトランプ大統領が指名受諾演説を行う予定であるが、共和党内部ではトランプ大統領にとっては不都合な事態が生じている。歴代共和党政権で国家安全保障を担ったジョンネグロポンテやマイケルヘイデン、リチャードアーミテージ氏ら総勢70名以上がバイデン氏を支持するとの声明を連名で発表したのである。声明は「トランプ大統領の行動はこの国を統率するために必要な人格と能力の欠如を示している」などと10項目を挙げてトランプ大統領を激しく批判しており、トランプ大統領にとって向かい風となっている
現在、選挙人の数ではバイデンがトランプ大統領を100人ほどリードしているものの、問題となるのは激戦州の選挙人211人がどちらに流れるかという点である。前回は激戦州で圧倒的にトランプが強かった。現時点ではバイデンが優勢だが、これから11月3日までに起きることによって選挙結果が左右される可能性が高い。
コロナの感染が落ち着き、景気が回復してくれば現職のトランプ大統領が有利になり、ワクチン完成は当然、追い風となる。さらにイスラエル・UAEの国交正常化を軸に中東和平機運を盛り上げてキリスト教福音派へのポイントを稼ぐこともトランプ大統領は狙っている。加えてトランプ大統領が目論んでいるのは9月から10月にかけて行われる1対1討論会においてバイデン氏の失言を呼び込むことである。この中で中途半端な民主党の中国叩きをやり玉に挙げると同時に、息子の汚職疑惑、20年前のバイデン氏のパワハラ疑惑を追及していくことは間違いない。現在、コロナ禍で郵便投票が増える可能性があるといわれているが、トランプ大統領の最後の奥の手は郵便投票の有効性を認めず、大統領の座に居座ることである。
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米国大統領選・米郵政公社トップ・郵便投票妨害の指摘に反論(8月22日)
11月の米国大統領選挙では新型コロナウイルスへの感染を防止するために郵便投票が大幅に増加すると見られている。
米国上院・国土安全保障委員会は公聴会を開き投票用紙の集配を担う米国郵政公社トップ・ディジョイ総裁が証言した。
郵政公社は作業効率化のため郵便物を仕分ける機械や郵便ポストの撤去などを進めていて民主党からは共和党への大口献金者であるディジョイが郵便投票に反対のトランプ大統領支援のために妨害しようとしているとの批判の声が上がっている。...
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11月の米国大統領選挙では新型コロナウイルスへの感染を防止するために郵便投票が大幅に増加すると見られている。
米国上院・国土安全保障委員会は公聴会を開き投票用紙の集配を担う米国郵政公社トップ・ディジョイ総裁が証言した。
郵政公社は作業効率化のため郵便物を仕分ける機械や郵便ポストの撤去などを進めていて民主党からは共和党への大口献金者であるディジョイが郵便投票に反対のトランプ大統領支援のために妨害しようとしているとの批判の声が上がっている。
公聴会で米国郵政公社・ディジョイ総裁は「投票用紙をきちんと遅れることなく配達し努力もする」と話し“仕分けの機械や郵便ポストの撤去は定期的に行っていることだ”と説明した。
ただ郵政公社をめぐっては全米6つの州などがディジョイ総裁の政策は違法だとして裁判所に訴えを起こしており郵便投票をめぐる議論が熱を帯びてきている。
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激選へ・どうなる米国大統領選・両陣営の戦略は(8月22日)
米国大統領選挙について。政権奪還を目指す民主党の党大会ではバイデン前副大統領は77歳という高齢の候補者だけに不安視する見方もあったがそれを吹き飛ばす演説と米国メディアは高く評価している。
民主党はいまの米国が直面する“3つの危機”(新型コロナウイルス、深まる分断、建国以来の理念の喪失)を強調し国民に結束を強く呼びかけた。
また、妻や子を亡くした逆境からの「復活力」と共感力をアピールした。...
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米国大統領選挙について。政権奪還を目指す民主党の党大会ではバイデン前副大統領は77歳という高齢の候補者だけに不安視する見方もあったがそれを吹き飛ばす演説と米国メディアは高く評価している。
民主党はいまの米国が直面する“3つの危機”(新型コロナウイルス、深まる分断、建国以来の理念の喪失)を強調し国民に結束を強く呼びかけた。
また、妻や子を亡くした逆境からの「復活力」と共感力をアピールした。
史上初のオンラインでの開催だったが、選挙でカギを握ると言われる無党派層や共和党の穏健派にも支持を訴えることができたとみられる。
共和党・トランプ大統領は党大会で民主党が政権を奪えば米国の根幹が揺らぎかねない、増税や社会主義的な政策が実行され資本主義、民主主義も失われると強い危機感を訴える見通しだ。
また、郵便投票問題について、トランプ大統領は不正を招くとして郵便投票に反対してきたが、郵政公社の総裁が郵便ポストの撤去などを行い、民主党はトランプ大統領の意を受けて郵便投票を妨害しようとしていると激しく非難している。
郵便投票は新型コロナウイルスの影響で大幅に増える見通しだが無効票も大量に出るのではと懸念されている。
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壁建設の寄付・私的流用か・トランプ大統領元側近逮捕(8月21日)
米国の司法省はトランプ大統領の側近だったバノン元首席戦略官がメキシコ国境での壁の建設のために募った寄付の一部を個人的な出費に充てていたとして詐欺の疑いで逮捕したと発表した。
バノン容疑者は仲間と共謀しインターネットを通じてメキシコ国境での壁の建設費用で集めた2500万ドル以上の寄付のうち、約100万ドル(日本円で1億円)を自身が関係するNPOを通じて受け取った疑いがもたれている。
バノン容疑者はトランプ大統領の側近として2016年大統領選挙で重要な役割を果たし政権入りしていたが翌年解任されていた。...
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米国の司法省はトランプ大統領の側近だったバノン元首席戦略官がメキシコ国境での壁の建設のために募った寄付の一部を個人的な出費に充てていたとして詐欺の疑いで逮捕したと発表した。
バノン容疑者は仲間と共謀しインターネットを通じてメキシコ国境での壁の建設費用で集めた2500万ドル以上の寄付のうち、約100万ドル(日本円で1億円)を自身が関係するNPOを通じて受け取った疑いがもたれている。
バノン容疑者はトランプ大統領の側近として2016年大統領選挙で重要な役割を果たし政権入りしていたが翌年解任されていた。
トランプ大統領は秋の大統領選挙を前に、自身の看板政策でもある国境の壁建設にマイナスイメージがつかないよう、無関係を強調した。
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