2024年1月、更新を終了します
(北朝鮮制裁に動き出した米中)
北朝鮮のテロ支援国家再指定を受け、北朝鮮への追加制裁に動き始めた米国だが、中国も及び腰ながら制裁に向けて動き始めた。24日、中国は中国遼寧省丹東と北朝鮮の新義州を結ぶ鉄橋を補修工事を行うため、12月中旬に一時閉鎖すると発表。丹東は中朝貿易の7割が通過する最大拠点で、北朝鮮向け貨物の大半はこの鉄橋を往復するトラックで運ばれている。今回の閉鎖は事実上の「貿易制限措置」となる。...
全部読む
(北朝鮮制裁に動き出した米中)
北朝鮮のテロ支援国家再指定を受け、北朝鮮への追加制裁に動き始めた米国だが、中国も及び腰ながら制裁に向けて動き始めた。24日、中国は中国遼寧省丹東と北朝鮮の新義州を結ぶ鉄橋を補修工事を行うため、12月中旬に一時閉鎖すると発表。丹東は中朝貿易の7割が通過する最大拠点で、北朝鮮向け貨物の大半はこの鉄橋を往復するトラックで運ばれている。今回の閉鎖は事実上の「貿易制限措置」となる。一方、米国財務省の新たな追加制裁は、北朝鮮の海運会社と船舶20隻に加え、北朝鮮と取引のある中国の貿易会社「丹東科華経貿有限公司」「丹東祥和商貿有限公司」「丹東市鴻達貿易有限公司」の3社と、北朝鮮と取引のある「丹東東源実業有限公司」の経営者・孫嗣東を新たな制裁対象としている。米国、中国ともに丹東エリアを狙い撃ちにしている。
(キーパーソン・孫嗣東とは何者か?)
丹東東源実業有限公司は、軍用、民生のデュアルユースの北朝鮮への輸出に関わり、2016年6月に79万ドル(8810万円)分の弾道ミサイルの誘導システムに転用できるナビゲーション装置や、トラックなどを北朝鮮に輸出したとされている会社だ。その経営者である孫嗣東(サンシドン)はFBIのブラックリストにもその名前が掲載されているほどの闇取引のキーパーソンだ。数年間で自動車や電気機械、通信機器など2800万ドル(約31億4千万円)以上の物資を北朝鮮に輸出し、大量破壊兵器に関わる北朝鮮系企業とも取引があったといわれている。この中には原子炉関連の部品も含まれていたとされる。孫嗣東は2016年8月に、北朝鮮から鉄鉱石や約3万発のロケット弾を搭載し、スエズ運河付近で、エジプト政府に拿捕された貨物船を保有していた船会社の経営者でもある。当然のことながら孫嗣東も朝鮮族である。
(進む北朝鮮への兵糧責め・最終的な落としどころは?)
ティラーソン国務長官は今回の制裁は象徴的なもので効果も限定的なものであるとしている。少なくとも北朝鮮と隣接する遼寧、吉林、黒竜江の中国3省には中国全土の朝鮮族180万人の大半が住んでおり、朝鮮族を中心とする「朝鮮幇」によって、北朝鮮と中国を結ぶ闇ネットワークが形成されているとする見方が根強くある。米国・サンマイクロシステムズ社の調査担当官は多くのアナリストが想定していたよりも、長い期間、北朝鮮の闇取引ネットワークはより密接につながっていたとし、ここ(丹東エリア)にメスを入れることによって、北朝鮮の貿易体制を、弱体化できる可能性があるとしている。北朝鮮包囲網を狭めるのには、この他にもその存在がささやかれている東南アジアルートや、アフリカルートも潰していく必要がある。北朝鮮問題は米中にとっては、安全保障上、経済との問題も絡むため、バランスの取り方が難しいのは確かであり、特に中国は金正恩体制の崩壊を望んでいない節も見え隠れしており、緩衝地帯としての北朝鮮を本気で潰したいとは考えていないと思われる。最終的な落としどころとしては、徐々に包囲網を縮めながら、米中ともに外交交渉(6者協議や米朝協議など)によって北朝鮮をテーブルにつかせて平和裏な解決を望んでいると見る識者もいる。動きが止まっているかのように見える北朝鮮だが、ここ1、2か月が今後を占う上で大事な分岐点とみることができる。神経戦はしばらく続く。
閉じる
米国“北朝鮮をテロ支援国家に再指定” (11月21日)
中国の特使が北朝鮮を訪問し、帰国した。世界がその成果を注目していた。
そうした中、米国・トランプ大統領は20日、ホワイトハウスで行われた閣議の冒頭で、北朝鮮をテロ支援国家に再び指定したと発表した。
また、米国財務省が21日にも北朝鮮に対し大規模な追加制裁を発表することも明らかにし、圧力を一層強めていく姿勢を強調した。
米国政府は1988年に北朝鮮をテロ支援国家に指定、2008年に当時のブッシュ政権が北朝鮮の核開発計画の検証方法をめぐって北朝鮮と合意したのを受け、指定を解除していた。...
全部読む
中国の特使が北朝鮮を訪問し、帰国した。世界がその成果を注目していた。
そうした中、米国・トランプ大統領は20日、ホワイトハウスで行われた閣議の冒頭で、北朝鮮をテロ支援国家に再び指定したと発表した。
また、米国財務省が21日にも北朝鮮に対し大規模な追加制裁を発表することも明らかにし、圧力を一層強めていく姿勢を強調した。
米国政府は1988年に北朝鮮をテロ支援国家に指定、2008年に当時のブッシュ政権が北朝鮮の核開発計画の検証方法をめぐって北朝鮮と合意したのを受け、指定を解除していた。
しかし、キムジョンナム殺害事件に加え、北朝鮮に拘束された米国人大学生が脳に重い障害を負い、ことし6月に死亡したことで、米国議会などから再指定を求める声が上がっていた。
北朝鮮は核ミサイル開発を受けて、すでに多くの制裁が科されているため、テロ支援国家への再指定は象徴的な意味合いが強いとの見方もある。
米国政府が北朝鮮をテロ支援国家と位置づけるのは9年ぶり。北朝鮮の強い反発が予想される。
閉じる
(沈黙守る北朝鮮・狭まる北朝鮮包囲網)
北朝鮮がミサイルを撃ってからほぼ2か月が経過し、北朝鮮は不気味な沈黙を守っている。一方で、核・ミサイル開発、拉致問題で北朝鮮に対する国際的包囲網が強化されている。トランプ大統領は北朝鮮のテロ支援国家の再指定を検討中で、ティラーソン国務長官はアフリカ諸国に北朝鮮への圧力強化を呼びかけた。また安倍総理は衆参両院の本会議の所信表明演説で、北朝鮮について「国際社会と共に圧力を一層強化していく」と強調した。...
全部読む
(沈黙守る北朝鮮・狭まる北朝鮮包囲網)
北朝鮮がミサイルを撃ってからほぼ2か月が経過し、北朝鮮は不気味な沈黙を守っている。一方で、核・ミサイル開発、拉致問題で北朝鮮に対する国際的包囲網が強化されている。トランプ大統領は北朝鮮のテロ支援国家の再指定を検討中で、ティラーソン国務長官はアフリカ諸国に北朝鮮への圧力強化を呼びかけた。また安倍総理は衆参両院の本会議の所信表明演説で、北朝鮮について「国際社会と共に圧力を一層強化していく」と強調した。
(北朝鮮への制裁は効いているのか?)
果たして国際社会による北朝鮮への制裁は効いているのか。13日、北朝鮮のエリート兵士(JSA所属の副士官の下士官)が南北境界線上のパンムンジョムで白昼、堂々と韓国側に亡命したが、この事件を経済制裁が効いていて北朝鮮が追い込まれているということを象徴的に示しているという見方がある。南北で軍が顔を突き合わせるこの場所での亡命というのは異例中の異例で、兵士は北朝鮮から40発の銃弾を浴び、2度の手術を受けたものの、腸内から数十匹の寄生虫が見つかるなど、極端に衰弱した状態で生命が危ぶまれている。韓国の識者によると北朝鮮は人口の5%に及ぶ兵力を抱える財力がなく、兵士の困窮が限界にきているという。制裁が効果をあげてきていることだけは確かなようだが、問題はそこから先だ。北朝鮮が実戦配備や核・ミサイル技術の完成に向けて突き進むという見方と、中国やロシアを介在させて外交的対話の方向に進むのではないかという見方に分かれてきている。
(中国が北朝鮮に特使を派遣)
注目されるのは、対話を探る新たな動きが出てきたことだ。これまで外交に目を向けてこなかった北朝鮮が外交に踏み込んだのだ。習近平国家主席の特使として中国共産党・宋涛が北朝鮮を訪れ、核・ミサイル開発をめぐる一連の問題に関して意見を交わしたとみられる。これについてトランプ大統領はツイッターに「大きな動きだ」と投稿した。トランプ大統領は中国訪問以来、圧力一辺倒だった姿勢を軟化させている。中国は3つのカード(中朝国境の封鎖、断油、中朝軍事同盟の破棄)をちらつかせながら北朝鮮を威嚇し、対話にもっていこうという戦略なのかもしれない。しばらく中国の外交力にフリーハンドを与え、この一連の訪問の結果を精査して、来週にもテロ支援国家の再指定にするかどうかを判断するものとみられる。今後の中国外交の成果は要注目だ。
閉じる
バノン前大統領首席戦略官がトランプ大統領の後フォローするかのようにこのタイミングで来日した。
トランプ大統領にホワイトハウスを追い出された形のバノン氏だがトランプ大統領との関係は切れていないどころか、トランプ大統領への影響力はまだ強くあるとみられる。
バノン氏は「北朝鮮問題は膠着状態にはなく進行中だ」と語り、「トランプ大統領は軍事行動をしたがっているのではないし、軍事行動の選択肢は非常に限られている」と指摘した。...
全部読む
バノン前大統領首席戦略官がトランプ大統領の後フォローするかのようにこのタイミングで来日した。
トランプ大統領にホワイトハウスを追い出された形のバノン氏だがトランプ大統領との関係は切れていないどころか、トランプ大統領への影響力はまだ強くあるとみられる。
バノン氏は「北朝鮮問題は膠着状態にはなく進行中だ」と語り、「トランプ大統領は軍事行動をしたがっているのではないし、軍事行動の選択肢は非常に限られている」と指摘した。
最善の選択は中国に影響力を持つ米国が、中国を動かすことにより、中国の従属国である北朝鮮を動かすことだと語った。
その理由を「中国が石油から経済まですべてのインフラを提供しているからだ」と簡潔明快に語った。
ただ対中強硬派のバノン氏の持論は「中国が豊かになれば、自由な民主国家になる」という考えは誤りで中国はそうはならないという考えで、将来的に中国は米国と対立するかのように考えているように見えた。
閉じる
米国大統領・中国特使の北朝鮮派遣に期待(11月17日)
中国共産党で対外交流を担当している宋涛部長はきょう、習近平国家主席の特使として北朝鮮を訪問予定。
米国・トランプ大統領はツイッターで「中国が特使や代表団を北朝鮮に派遣する大きな動きだ。何が起きるか見てみよう」と書き込んだ。
大統領はアジア歴訪を総括する演説でも中国の影響力に期待を示している。
トランプ大統領としては“北朝鮮に対する国際的な包囲網を狭めるため、中国の協力が欠かせない”。
「米中覇権争い」内の検索