中国とオーストラリア間の貿易収支上、ワインが大きな役割を担っていることからすると、今回の中国側の決定は、オーストラリアにとって大きな痛手となる。
これまで北京や上海の食料品店の棚にはオーストラリア産ワインが並び、中国にとってはオーストラリアが最大の輸入ワイン国となってきた。
中国の商務省の正式発表では、オーストラリア産ワイン(2リッター容量およびそれ以下)への割増税は、暫定的に107.1-212.1%となる。...
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中国とオーストラリア間の貿易収支上、ワインが大きな役割を担っていることからすると、今回の中国側の決定は、オーストラリアにとって大きな痛手となる。
これまで北京や上海の食料品店の棚にはオーストラリア産ワインが並び、中国にとってはオーストラリアが最大の輸入ワイン国となってきた。
中国の商務省の正式発表では、オーストラリア産ワイン(2リッター容量およびそれ以下)への割増税は、暫定的に107.1-212.1%となる。
割増税の割合は、中国政府が8月実施した2019年度のオーストラリア産ワインに対する「ダンピング」総額の調査結果から算定している。
中国政府としては、オーストラリアのワインが「ダンピング」して中国ブドウ園栽培者に損害を与えた額を割増税として徴収する考えである。
なお、オーストラリアのリトルプラウド農務大臣は、今回の中国側の措置に対してブドウ園農家に対し、経済的な補償対策を提案しており、さらに世界貿易機関(WTO)に提訴することを計画しているという。
ところで中国とオーストラリアの関係悪化は、2018年にオーストラリア政府が、国家の安全保障を理由に中国通信機メーカー、ファーウェーの5G携帯ネットワークシステム構築を排除させたことに始まる。その後、オーストラリアが中国側にコビッド19感染原因の独自調査を要求して中国側の怒りを高めた。
今後、オーストラリアとしては、2015年に締結した中国との2国間貿易協定の更新時期に当たり、難しい局面に立たされている。
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