フランスの公立中学校の教師が、イスラム教原理主義の若者に殺害された事件で、殺害のきっかけが保護者の投稿した動画とヘイトスピーチであったことから、警察はFacebook、Twitter、Youtube、Whatsappなどのソーシャルメディアの役割についても調査を進め始めた。
『フランスアンフォ』によると、殺害された教授はネット上で「ファトワー」の対象になっていたという。ファトワーとは、イスラム教では、宗教、教育、消費、金融、健康など、生活のあらゆる側面に関わる様々な事柄について、宗教的権威者によって与えられる法的意見のことを指している。
ダルマナン内相は「ヨーロッパ1」のインタビューで、殺害された教師が教えていた中学校の生徒の父親が、イスラム原理主義活動家であるアブデルハキム・セフリウイ氏 と共に、ネット上で教師に対する「ファトワー」を発令し、SNSを活用して糾弾運動をすすめていたと述べた。...
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『フランスアンフォ』によると、殺害された教授はネット上で「ファトワー」の対象になっていたという。ファトワーとは、イスラム教では、宗教、教育、消費、金融、健康など、生活のあらゆる側面に関わる様々な事柄について、宗教的権威者によって与えられる法的意見のことを指している。
ダルマナン内相は「ヨーロッパ1」のインタビューで、殺害された教師が教えていた中学校の生徒の父親が、イスラム原理主義活動家であるアブデルハキム・セフリウイ氏 と共に、ネット上で教師に対する「ファトワー」を発令し、SNSを活用して糾弾運動をすすめていたと述べた。両氏は、教師が授業でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を生徒に見せたことで、処罰を求めていた。
『ロシアトゥデイ』によると、両氏は教師に会うことを拒否し、その代わりに中学校の校長に対し、事件を世間に公表し、学校の前でデモをする計画を立てていると警告していたという。ダルマナン内相は、数十人のイスラム教徒が警察の捜査対象となっており、80件のネット上のヘイトスピーチに関する捜査がすすめられていると発表した。
『LCI』によると、生徒の父親とアブデルハキム・セフリウイ氏は、教師を糾弾する動画を作成してSNSで拡散させていた。両氏は警察に身柄を拘束されたものの、殺害事件の責任を否認している。
しかし、多くの捜査官、警察、判事は、ソーシャルネットワーク上で組織された中傷キャンペーンがなければ、このようなことは起こらなかったと確信しているという。当初WhatsAppで拡散された教師に対する抗議の動画は、回りまわって10月9日、95,300人以上のフォロワーを持つパリにあるモスクのFacebookページに投稿された。多くの人が動画を閲覧できるようになり、400以上のコメントや反応を誘発した。拡散が拡がる中、動画は教師を殺害した容疑者の目にも留まり、その後犯行に及んだことが判明している。
ある中学生は仏テレビ局「TF1」のインタビューに対し、生徒の父親は「なぜソーシャルネットワークでそのことを話したのか?」と問いかけている。学校内でおさまるはずの話が、ソーシャルメディア上で拡散される中で、どんどん変えられていった。預言者の風刺画は「裸の人の写真」となり、市民と道徳を扱う授業は「ポルノ画像の流布」に変わり、表現の自由を尊重する教師は「イスラム嫌悪」と評されるようになり、結果的に悲劇を招いてしまった。中学生は「こうした表現が人に本当に恐ろしい欲望を引き起こしてしまった」と語っている。
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