国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」(本部:仏パリ)は18日、世界180の国・地域を対象とした「報道の自由度ランキング」の2019年版を発表し、記者たちに向けられた憎しみが暴力となり、恐怖や危険を高めていると指摘した。
『AFP通信』や英
『ガーディアン』の他、各国メディアが自国の順位などとともに報じた。RSFは、ポピュリストや独裁的な指導者らによって、記者たちへの憎悪が煽られ、世界中で暴力行為に発展していると警告している。
RSFのクリストフ・ドロワール事務局長は、「政治的な論争が内戦のような雰囲気を醸成し、記者たちをスケープゴートとして扱うようになれば、民主主義は非常に危険な状況に陥る。」と述べた。メディアに対する政治家の敵対的態度により、記者たちへの暴力行為が頻繁に発生し、記者たちはかつてないほどの恐怖や危険を体験しているという。
こうした世界情勢を背景に、RSFは、記者たちが安全に活動できる国の数が激減したと危機感を示した。ランキング対象となった180の国・地域の内、報道の自由度が良好と評価されたのは、全体の4分の1以下にとどまる。
ランキングトップは3年連続のノルウェーで、2位はフィンランド、3位はスウェーデンとなり、例年通り北欧諸国が上位を占めた。米国は昨年の45位から48位に順位を下げ、日本は昨年と同じ67位だった。この他では、韓国が41位、ロシアが149位、中国が177位、北朝鮮が179位で、最下位は中央アジア南西部のトルクメニスタンだった。
RSFは48位の米国について、トランプ大統領の反メディア的言動や、女性や有色人種のジャーナリストなどに対する攻撃的な発言を引き合いに出して、現政権下の状況を「米ジャーナリズム界の暗黒時代」の1つであると痛烈に批判した。また、メリーランド州の新聞社での銃乱射事件などに言及し、米国の記者たちがこれほど事件の標的になったことはないとコメントした。
日本については、基本的にメディアの多様性は尊重されているが、国の伝統や経済的利益などが優先され、民主主義監視の機能が十分に果たせていないとしている。また、政府を批判したり、福島第一原発や沖縄の米軍基地などの問題を取材したりする記者たちは、国家主義的な集団からSNS上で、「非愛国的」と攻撃されていると指摘した。
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